第四幕(1)
文字数 433文字
ハーラハッド・アナー。冬第四の月、九日。
出発の日から数えて――75日目。
もはや運ぶほどの食糧もない。荷物を二つにまとめて背負い、スキーをはき、そりを捨てた。
私が最後にそりを撫で、「よくやってくれた」としみじみ言うと、ゲンリーは不思議そうな顔をしていた。
物質文明の最先端から来たかれには、ものにいつくしみと感謝をささげるという感覚が、わからないらしい。
文字数 433文字
ハーラハッド・アナー。冬第四の月、九日。
出発の日から数えて――75日目。
もはや運ぶほどの食糧もない。荷物を二つにまとめて背負い、スキーをはき、そりを捨てた。
私が最後にそりを撫で、「よくやってくれた」としみじみ言うと、ゲンリーは不思議そうな顔をしていた。
物質文明の最先端から来たかれには、ものにいつくしみと感謝をささげるという感覚が、わからないらしい。