【昔話】 ✿ 西方ヒストリア5

エピソード文字数 1,204文字

山賊たちを「生け捕りにせよ」というお殿様の命により、


忍者・忠平(ただひらと、家臣たちは夜の森にひそんでいた。

黒木様。


賊たちは皆、寝入った模様です。


攻め入るなら今が好機でございます

ご苦労。ーーでは、皆の衆、これより賊のねぐらへ攻め入る

お殿様の家臣はもちろん、腕っ節が強い者など、村の男たちが30人集まっていた。

米も肉も、ぶんどりやがって。落とし前はつけねぇとなぁ!
任せてくだせぇ、黒木の旦那!

くれぐれも賊を殺めるでないぞ。


一人残らず生け捕りにせよ との命である。


 忠平(ただひら)、「あれ」に火を点けよ

はっ。ただちに

火薬の入った竹筒を、結びつけたものだ。

忠平が、竹筒の一つに点火した。


 バンッ、バンッ、パパンッバン!!


するとつながった筒が、連続して爆発していく。


あたかも、百の銃一斉に火を噴いたかのようである。

な、ななっ、なんだぁ!? 今の音は!

おかしら、銃声だ!


お、おれたちを狙っているようだぞ!

逃げようぜ、兄貴!

あ、ああ。  っ!?

おかしらの首に、何者かの腕が回り、冷たい鉄が当てられた。

騒ぐな。首がとぶぞ

おかしらの首に苦無を近づけ、賊らの顔ぶれを、今一度見回す。

なっ、なにもんだぁ、てめえ!

こ…こいつ、どこから出てきたんですぁ!?


や、やいっ。おかしらをはなしやがれ!

できぬ

バンッ、パパンッバン!!



雷銃はつづいていた。賊らは、驚き、あわてふためく。


おかしらが捕まり、賊らは「逃げるべきか、どうするべきか」分からないのだ。


忠平がまずおかしらを狙ったのは、賊らの士気・統制を奪うためだった。

みな、かかれぇ――!!

そこへ、村の男たちが、武器を手に、山の斜面を駆け下る。


雷銃の破裂音、男たちの雄叫び足音が重なる。 


 だけ聞くと、二百を超える大軍が、山の上から迫るようであった。

ちっ、とてもかなわねぇ! おい、逃げるぞ!

泥棒たちは、蜘蛛の子散らすように逃げ出した。


けれども、左に逃げたものは右に、右に逃げたものは左へと集まる。


左右で「雷銃」がとどろいたからだ。銃声の鳴る方へ、逃げる阿呆はいない。

(ねぐらを中心に、左右雷銃を仕掛けて正解だった。


 高所の利を活かし、上から攻め入れば、賊どもは下方へと逃げる。そして…)

ぎゃああ! だれかぁ! 助けてくれ!!
よし。上手く落ちたか。

賊らの逃げ道に、あらかじめたくさんの落とし穴や、ワナをつくっておいたのだ。


村の男たちは、獣捕りのワナがとても得意だった。

おい、離しやがれ! 仲間の悲鳴が聞こえるぞ、こんちくしょう!

五月蠅(うるさ)

苦無をさらに強く彼の首に押し当て、ひとにらみ。


冷徹さ漂う忠平の面持ちに、おかしらは思わず身をふるわせた。

お、おまえ、一体…何者だ…? 


気配もなく、俺の背後をとるとは…。


村の者ではないな?

答える義理はない
忠平(ただひら)
黒木様! いかがされました!? 
それが…
 黒木の様子から、ただごとではないと忠平は察した。
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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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