第5話 案ずるよりも…

文字数 623文字

 仕事が決まった。
 週4、フルタイム、時給1100円。交通費も出る。
 施設長も、足に地が着いている印象を受けた。母体は、ダウン症の方、障がい者の援助団体であるという。
 しっかり、働かせて頂こう。

 今回、お世話になった派遣会社は、前回やめた派遣会社。1年前、ぼくを世話した担当の人は、支店長に出世している。彼が、「かめさん、良い人だよ」と、今回私の担当をする人に言っていたらしい。ありがたいことだとも思った。
 バス通勤は15歳の時の、セブンイレブン以来だ。
 しかし決まる時は、ほんとうにさっさと決まる。

 週4の勤務を希望した。少し身が軽い。心も軽い。「どうせやるなら週5」としか思えず、今まで働いてきたけれど、長く勤めたい。一生懸命になり過ぎる傾向があるから、ちゃんと休んで、自分の時間を大切にして、という自分への配慮。

 館内を案内してくれた方が(私より年長の職員さんだった)、精神的にキツいと仰っていた。私の担当予定のフロアは、寝たきりの方もいらっしゃらず、車椅子の方もいらっしゃらないとか。自分で歩く人が多いから、転倒の恐れも多いし、あれこれとわがままを言われることも少なくないらしい。それを、こちらがどれだけ「受け止められるか」という精神的な部分が、しんどい、とのこと。

 私はそのために、モンテーニュや荘子の哲学を身につけようとして読んで来たつもりだし、たぶん大丈夫だろうと思った。机上でなく、現実生活に、精神的な学びが、生きてくると思った。
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