第5話

文字数 883文字

背中を叩かれた痛みに驚きながら振り返り、見上げた先にはコチラも驚いた顔をした父と少し離れた場所には会社の同僚らしき人がいた。
父は息子の泣き顔に驚きながらも背中で颯斗を隠すようにしながら同僚に別れを告げる。
「息子が迎えに来たから、オレはここで別れるわぁ」
「はぁ?お姉ちゃんとこいけねーの?」
「てか、息子も連れてこーぜw‪‪w‪」
「あほ!未成年だっての!悪いけどまた今度な!」
同僚から隠すようにして颯斗の肩を抱き、同僚にヒラヒラと手を振って父と息子は帰路につく。
しばらく無言で歩いた後、泣き止んだ息子の様子を確認してから、気恥しいであろう
颯斗に声をかけた。
「メシは?もう食べたか?」
無言で首を振る颯斗に顔は正面を見たまま、たまたま近くあった居酒屋を指さした。
「食べてくか?」
「いい」
「そうか?じゃ、家でなんか作るか?」
「.......冷蔵庫の中、なんもねーよ」
「え!?まじか!?悪い.......そりゃ、飯食えなくてひもじかったなぁ」
バツの悪そうな表情で額をかきながら父、悠斗は泣いていた息子に次なる言葉をかけることを躊躇していた。
夜とはいえそこまで遅い時間では無い。
だが、大事な一人息子を見つけ声をかけたら泣いている。
とっさに本当につい声をかけたが、颯斗の心境を考えたら声をかけない方が良かったのではないかとも思う。
自分が息子の立場なら気まずいだろうし、放っておいて欲しいと、思う。
(失敗したなぁ)
そう思うが、起こした行動を取り消すことはできない。
悠斗はもう思い切って颯斗の涙の理由を聞くことにした。
「な.......なぁ颯斗」
無言の一瞥という返事に一瞬たじろき 言葉を失いかけるが言の葉を紡ぐ。
「こんな遅い時間にどうしたんだ??」
悠斗の普通の質問に颯斗は何も応えない。
だって、逆にどう応えろと??
(寂しくて飛び出しましたとか、言えんわ!!)
「あ、あれか?家にメシ無くて買いに来たとか?」
父の絶対違うとわかってるだろう優しさに颯斗は素直に乗っかることにした。
「そう。だけど金なくて腹減ったら.......」
そう、ココで言葉を濁せば父に罪を押し付け誤魔化せる‪w‪‪w‪
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