第30話 楽しい夏休み

文字数 659文字

「どう、蔵の中は?」
「はい、いろいろ見ました」
「何か興味がわいた?」
「はい、かまど。いや、かみだ…」
 少ししどろもどろになってしまった。
「ああ、竈ね。不思議でしょ、蔵に竈が付いてるなんて。なぜかはアケミが詳しいから、迎えに来た時でも聞いたらええよ」
「はい。それと、今日は午前中は宿題をします」
「ああ、二人は私が見とくけん、ええよ」
「えー、お兄ちゃん遊ぼうよ」
「いけん、お兄ちゃん勉強やから。お昼ご飯終わったら、遊んでもらい。わかった?」
 二人はしぶしぶ納得したようだった。とりあえず、宿題頑張ろう。
 やろうと思った宿題を終え、お昼ご飯を食べると、シュンたちは祖母の車で総合公園に連れて行ってもらった。いとこ二人の喜びようはすさまじく、ローラーコースターの上がり降りだけで、サッカー部の試合位の運動はしたんじゃないかと思うほどだ。
 夕方、おばさんが二人を迎えにきた。二人はちょうど疲れて寝ていたので、みんなでそっと車に運んだ。帰り際、叔母がシュンに近づいてきた。
「マドカとカドマに会えたんだって」
「えっ?」
「カドマから聞いたよ、いいやつらだろ」
「はい」
「仲良くしてやってよね」
「はいっ!」
 叔母はウィンクをすると、運転席に乗り込んだ。きっとマドカとカドマは、今もあの車を見守っているのに違いない。
 翌日からは、とても充実した毎日を過ごした。ちょうど宇和島の牛鬼祭りがあるので、マドカたちと三人で出かけた。鍾乳洞の冷やしそうめんや、ニホンザルのいる渓谷に出かけた。ちょっと遠いけど、愛南町と言うところまで海水浴にも行った。
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