第23話 修学旅行(最終日の夜)

文字数 2,607文字

USJを終えバスでホテルに戻るともうクタクタ…
俺は部屋のベッドに寝っ転がった。
ちゃんと風呂入れよ(笑)てか、冬月さん頑張ってたな。空回りしてたけど(笑)
俺達同じ班の人しか知らないからいいけど、あれじゃああからさますぎてバレバレだよな(笑)


でも一生懸命龍一のために坂木さんと上手くいくように頑張ってくれたんだから、結果はどうあれお礼はちゃんと言ったほうがいいぞ?

二人共人ごとだから、面白いんだろ(汗)


あれは俺のためにはたしてなっていたのか?(汗)


でも、お礼ちゃんと言うよ。

なんて会話をしていたら、俺のスマホが鳴る…着信相手は冬月さん…


(ちゃんとお礼言わなきゃな)

スマホの着信を出ると、お礼を言う前に冬月さんが物凄い勢いで話しだした。
千春「おい!大変だ!!愛さんが隣のクラスの男子に告白される!呼び出された!龍一負けてられねーぞ!とりあえず、ホテルのロビーに集合な!」
冬月さんは一方的に話すと、まだ何もひと言も俺が喋ってないのに通話は切られた…
何だったんだ?男らしく何かすんのか?
頑張れな。
二人は何か勘違いしている…
急用らしいから、ちょっといってくるよ。
俺はホテルのロビーに向かうと冬月さんがいたけど、違うクラスの男子と一緒にいる?
なんて思っていると、その男子に冬月さんが「無理、生理的に無理。タイプじゃない」と色々と散々言って俺の方へ来た。
あれ?告白されるのって愛じゃなかったの?


酒井さんは一緒じゃないの?

愛さんで間違ってねーよ。


酒井さんは風呂はいってんだよ。


私は、あいつは誰だかわかんねーよ。


外に行ったから、行くぞ。

俺は冬月さんに着いていき外に出た。
場所はホテルの外の噴水とか言ってたから、あそこらへん。


いたいた。

冬月さんが指さした方を見ると、確かに愛はいた。


隣のクラスの男子と…

冬月さんと物影に隠れながら見る。


冬月さんはお風呂あがりなのだろうか、いい匂いがする。

おい。キメーから匂い嗅ぐな変態野郎。


龍一は汗臭せぇーから、あんまりくっつくな。

(うわっ…匂い嗅いでたのバレた…そんなこと言われても、そっちいかないと俺の身体はみ出るし…)
す、すいません…


でもそっちいかないと俺はみ出るんだよね(汗)

冬月さんの方にもっと行こうとすると押された…


ドサッという鈍い音がして、俺は尻もちをついた…


ちょっと向こうにいる愛と男子が俺を見ている…


(気まずいだろ…)

物影に隠れている冬月さんが小声で俺に言った…
何やってんだよ(汗)どんくせーな…


早く告白邪魔してこいよ。

(えぇ(汗)邪魔する権利俺にないでしょ…)
いや…その…
俺がもじもじしていると二人がこっちに来てしまった…
冬月さんは隠れているので見つかってない。
龍一君?!こんな所で何してるの?
ちょっと気分転換に散歩かな。なんちゃって(笑)
この人坂木さんの知り合い?
そうだよ。知り合いも何も、幼馴染だよ(笑)
へぇー。一人で散歩?
明らかに俺が邪魔した感じがこの男から伝わってくる…
まぁ、なんとなくですよ(笑)だれでも一人で歩きたいこともありますよね?
俺はそんなことないけど。
(こいつなんか機嫌悪いな…でも、そうだよな…邪魔されたくないよな…)
じゃああっちに行こう。
俺が考えてる間に、愛と隣のクラスの男子は行ってしまった…
冬月さんが隠れていたけど出てきた…
なんで邪魔しねーんだよ(汗)このまま、取られていいのか?


もしこのまま告白されて付き合うことになったらどうすんだよ。


龍一は祝福してやる第一号にでもなりてーのか?

そりゃあ嫌だけど…


人の告白邪魔するのってなんか違う気がするんだよね…

俺がそう言うと冬月さんは泣き出した…


(え?なんで冬月さんが泣くの?!(汗))

だって…


なんか…こんなんで、万が一…


龍一の恋がもし、終わったら…悔しいだろ(泣)

あ、ありがとね。でもさ、そん時はそん時だよ。


ごめんヘタレで…

謝るな…私の方こそ、勝手に自分の意見…


押し付けてすまねーな…

結局、その後俺達がいた場所に愛は戻って来ると、告白されたらしが断ってきたとのことだった。


愛が戻ってきたときには、冬月さんは泣き止んでいたのでよかった…


愛は冬月さんが何でいたのか疑問に思っていないのか、何も聞いてこずに二人で、部屋に話をしながら戻っていった…

冬月千春 Side








USJで私はみんなが絶叫系に乗りたいと言うので、苦手なことを我慢して、みんなに合わせて乗ったら具合が悪くなった…


1回目でもきつかった…2回目は最悪だ…


もう吐きそうだ…もう1回みんなは行くらしい…


そんな時…龍一は気づいてくれた…


トイレで吐く私に嫌な顔一つせず、付き添ってくれた…


そんな龍一が好きな人は愛さんなんだろう。


学校に一緒に行ってる時もそんな感じはしてたけど。


多分、二人は両思いなんだ。お互いに幼馴染の関係が壊れるのが怖くてどちらも言い出せずにいるだけ。


そんな気がする…



だから、きっかけを何かつくってあげたかった。


でも、私のやることはあまりうまくいかなかった…申し訳ない…


ホテルに戻ると愛さんが隣のクラスの男子伝えたいことがあるからとに喚び出された…


多分告白されるんだろう…


私は龍一に連絡した。


龍一が邪魔して愛さんとその勢いのままくっつけば、いつも私の面倒を見てくれる龍一に少しは恩返しが出来るような気がした。


でも、龍一は違った…


人の告白邪魔するのは違うって言われた…


このまま、愛さんが一緒に行ったやつと万が一、くっついてしまったらと思うと、なんか歯がゆく悔しくて涙が出てきた…


結果的にさらに龍一を困らせてしまった…


余計なことしか出来なくてごめんって思うとさらに悲しくなった…


結果は愛さんが告白を断ったということだから、よかったと言えば、よかったと思う。


愛さんと部屋に話をしながら戻ると、ベッドで寝る前に考えた…


最初転校してきた時は龍一みたいな可もなく不可もないようなやつまではいいけど、友達いるやつが席が隣で最悪だと思った…


出来れば人とあんまり関わらなくて済むようなボッチのやつの隣の方が気楽かなと思っていたから。


心を開くつもりもなかったし、仲良くするつもりもなかったのに、気がつけば、私は龍一に助けられ、周りに温かい人がいて、修学旅行も楽しく過ごせた…


愛さんと龍一にはお互いに幸せになってほしいと思う。


でも…私の中で…そう思う反面、それを考えると少し歯がゆい気持ちになることに気づき始めていた…

※冬月 千春(白石 千春)高校2年生


修学旅行2日目の夜

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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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