第47話  龍子さんとデート? 2

エピソード文字数 3,378文字


 ※


 田舎者の俺にとってこの街の繁華街は、色んな所が初体験だった。

 こんな風景がマジで現実なのかと思うほど、夜の街なのに人の多いこと多いこと。


 どの道を見渡しても人だらけであり、引っ切り無しに喋り声やら大声が聞こえてくる。

 暫く歩いていくと路上でライブしてる奴もいたり、本当にテレビで見かけるような風景が広がっていた。

あ、すみませんね。こんな場所に夜中来るの初めてでして。

田舎者でしたから。

ははっ。こんな場所すぐ慣れますよ。

まぁもっとも。楓蓮さんにはこーいった場所にはあまり慣れて欲しくはありませんけど

 龍子さんと喋ってる間にもナンパされる。一体何人目なんだっていう話だ。

 最初は戸惑っていた俺だったが、あまりにも鬱陶しいので聞こえないフリをして龍子さんの後を追う。

あそこのアーケード内に飯食える場所があったと思います。

あれ? ここって……

凄い有名な場所では? ほら、1月になるとすっごいイルミネーションで飾られる……

そそそ、あの入り口はテレビでもお馴染みですよね。

 本当だった。まさか自分がそんな場所に来ているなんて……

 田舎からここへ引っ越してきた時、近所だとは思ってたけど、バイクで十五分ほどの場所にあるとは。

来年の一月。来てみます? それこそ喫茶店の連中全員で。
はいっ! 一度……目の前で見てみたいです!
俺も初めて見るし、じゃあ来年の一月を楽しみにしておきましょう

その頃には……楓蓮さんとの関係はどうなっているのだろうか。

それまでには俺のことを全て知ってくれている。そんな仲でありたい……

 全国的にも有名なアーケードを潜ると、丁度時計が目に入ってくる。


 十一時半か。


 楓蓮に入れ替わったのは5時過ぎ。後30分ほどで最初のリミットが来る。

 そこから一時間はわりとセーフティ。なので俺の制限時間は約二時間半。

 つまり、午前二時までに帰れば問題ない。

 

俺のリミットはあと90分ほど。午前一時までに帰ればいい。


龍子の場合、喫茶店に出勤してから遊ぶなんて自殺行為だが……

普通の人間なら、バイトの帰りに飯を食いにいくのが普通だろ。

くそっ! この制限時間さえなければ……気にせず楓蓮さんと一緒にいられるのに。


 ※


 アーケード内は昼間のように明るかった。

 ここにも人はごったがえしており、いつの間にか龍子さんと手を繋いでいた。

 別に龍子さんなので平気だし、こーいう場所に詳しそうな彼女に付いていくのが正しいのだろう。

へぇ。こんな時間にドラッグストアというか、薬局? が開いてるんですね。
ですね。まあ色々と需要があるんでしょね。

 何故急にこんな事を言ったのか。その理由は……

 話題を出したドラッグストアの向かい側に、レディースファッションっぽいお店があった為である。


 つまり、龍子さんの視線を逸らしたかったというのが本音で、ああいう店の話題になると非常につらいからだ。

ふぅ。なんとか切り抜けたか。

楓蓮さんにあのランジェリーショップに寄ろうとか言われたら、やばかったぜ。


っつーか。100%話題についていけない自信がある。

いあ、龍子だからこそ。あの店に入って楓蓮さんに色々と教えてもらうのはどうだろうか?

ついでに楓蓮さんの好みも分かるかもしれねーし……


っつーか。これじゃ下心満載じゃないか。煩悩よ。消え去れぃ!

ん。どうしました? 

いえいえ、何もありませんよ。

次は左に曲がりますよ。そこも全国的に有名な中華街です。

 龍子さんについていくと、景色は一変して本当に中華っぽい場所に出た。

 俺は周りの景色をチラチラ見ながら歩いていると、龍子さんが「ここにしましょ」と指を差した。


 おっと。こんな場所に入るのは初めてなので緊張するが、あまりにも無知ガールなのもどうかと思ったので平然を装う楓蓮であった。

ここは姉妹みんなで一回だけ来たことがありまして。

 店に入り、どんなメニューがあるのかを見る前に、値段が全て四桁なのに驚いた。


あ、俺のおごりでいいですから、好きなのを頼んでください。
いえいえ、そういうわけには……

ここは素直におごられてください。ね。

こればかりは、曲げるつもりはありませんので。

 おごられるのは申し訳ない。

 俺も結構粘ったが、龍子さんはダメですの一点張り。

 

楓蓮さんは俺の中で特別なんで。だからお願いします。

 特別。そう言われると……とうとう俺が折れてしまう。

 本当は男だから。そんな概念は今だけは捨てたほうがいいのだろう。 


 今は楓蓮なんだ。 

 とはいえ……龍子さんも女性ですし、ワリカンが良かったのか?

 いやいやいや。ワリカンって言うのは個人的にあまり好きじゃないし。


あとは……粗相のないように食べなければ。

楓蓮さんがいる手前、龍一のようにガツガツ食っちゃダメだ。

気をつけなければならないのは、こーいう高級料理店なのだからマナーがあるだろ。

龍子さんに見られても恥ずかしくないように食べなければ。

 ほどなく注文した料理が届くと、ここからは真剣勝負であった。

 とにかく。龍子さんや店員にも笑われないよう、他の客が食べている様子を必死に真似る。


 龍子さんがラーメンの汁を服に付けても笑っちゃダメだ。

 気づかないフリで凌いで、笑顔を振りまこうじゃないか。


 ※


 中華料理を食べ終わると、時間は12時過ぎ。

 さっき入れ替わりのサインが頭に届いた所である。


 あと二時間弱。なんとかなるだろう。

どうします? ちょっとブラブラしましょっか。
はい。龍子さんにお任せします。

じゃあ、こっちに行きましょう。ゲーセンとかありますんで。

ちょろっとだけ見て、地元に帰りましょうか。

うんうん! よろしくです。

 その方がありがたい。

 安全に入れ替われる場所が遠いと、時間に余裕があっても不安になるんだよ。


 他にもどんな場所があるのか知りたいが、こればかりはしょうがない。 

 

あと、40分……


くそっ! せっかく楓蓮さんと二人きりなのに、この身体が……

 龍子さんの後を追うと、でかいゲーセンが見えてきた。

 まぁ繁華街のど真ん中だから、あって当然だろう。

あの、楓蓮さん。一枚撮りませんか? あれで。
はい。いいですよ。龍子さんとなら全然おっけです
俺ならいいって……嬉しすぎる。

 龍子さんはプリクラをご所望であった。

 こういう時の彼女はいつも顔が赤くなる。だから今日はあえて突っ込んでみよう。

そいえば、龍子さんって……私と喋ってる時に、赤くなったりするの。どうして?

そ、それわですね。実を言うと、楓蓮さんみたいな女性に凄く憧れちゃってですね……

あっ! だけど! そーいう変な趣味じゃなくって、そこは間違えないで下さい

私も龍子さんから色々と学ぶ部分も多くて、ほんと尊敬してます。

料理とか凄かったし、バイクも乗れるなんて……なんだか同じ19とは思えないくらい大人びてて……

いえいえ、全然そんなことないっすよ!

楓蓮さんの女子力がもうね神がかってて、一緒にいるだけで……その……

私なんて全然です。

龍子さんの方がとっても魅力的だと思いますよ。

楓蓮さん……

龍子ならばそうやって笑ってくれる。

だけど龍一ならば……見ることのない笑顔。


こんなに近くにいるのに……遠い。

どうしました?

あの、楓蓮さん。

俺はその……あなたとずっと仲良くありたい。そう思ってます。

 急に沈んだような顔になってしまった龍子さん。

 今言われた言葉は、彼女の本気が存分に入っている。そんな気がした。


 仲良くありたい。それは俺だって同じ気持ちなんだ。

 ここまで波長の合う女性なんて、龍子さんが初めてじゃないだろうか。


私だって、同じ気持ちです。

龍子さんとはずっと仲良くありたいです。

ありがとうございます。楓蓮さんにそう言われて本気で嬉しいです。

だから俺は、楓蓮さんはもちろん、喫茶店の連中も大事にしたい。


うん。私もそう思ってます……みんな。いい人達だから。

だから私も……

 ああ、あなたと仲良くやればやるほど……

 俺の正体をカミングアウトするのが怖くなる。

  

 特に龍子さんは、染谷くんの従姉弟だから……

あ、そうだ。今なら……


染谷くんのことを龍子さんに聞いていいかもしれない。

竜王さんの件で、彼をあまり使って欲しくないと。


染谷くんは確かに、ケンカとかバイオレンス関係には強そうだが……

彼は俺の……蓮の大事な友達なのだから、あまり危険な行動をして欲しくないんだ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色