第3話

文字数 416文字

 ウヴァロヴァイトはスプーンを舐めて皿に置くと、指を組んで笑った。
 「おまえが、愛する人の子供が欲しいなんて殊勝なタマか? そんなことを言ったら私だって、両足の感覚がないんだ、子供については……分かるだろう? だが、それが理由じゃ無い。私だっておまえだって、自分より幸せなものを見るのが嫌いなだけさ」
 シャウラはただ首を傾げ、にこにことするばかりだ。
 「……ま、そう言うことだから。私、帰るわね?」
 赤い鞄を小脇に抱えて立ち上がる。そんな小さい鞄に何が入るというのだろう。
 「遊園地だって、本当は来たかった訳じゃないの。皆が笑ってる顔なんて見たくもないんだから。でも、このあと此処で、大物を始末するっていう仕事があるから序にお食事してあげただけよ」
 「まぁまぁ。そう慌てるな」
 ウヴァロヴァイトは手でシャウラを制し、窓の外を指した。
 「見てくれ。これからおまえへのプレゼントがある」
 其処には巨大な観覧車がある。
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