序章:『職業:人事』という事を教えよう。

文字数 1,718文字

 『続いてのニュースです。現在開催中の銀河系惑星総会議において【銀河系人事法容認案】が可決されました。』



 街頭の巨大モニターに宇宙服や水槽に身を包んだ様々な人種が映し出される。



 一昔前ならこの映像をE.T.だスターウォーズだと騒いでいただろう。しかし、この時代、総会議を見てそんな反応をする人間はいない。



 銀河系惑星総会議。銀河系にある星々の人類代表者が集まり、銀河系内のあれこれを決める会議である。



 今回決まった【銀河系人事法容認案】は銀河系の『人事』という職業を銀河系に認めさせる法案である。



 これでやっと『人事』という職は陽の目を見る事が出来る。



 「やっと決まったぁ。」



 私は胸を撫で下ろした。やっと、やっと。やっと!



 私達の仕事が認められた!







 『職業:人事』



 「人事」というのは一昔前まで職場の部署。つまりは管轄を意味する単語であった。



しかし、今現在。地球と宇宙、人間と宇宙人の距離が近くなった現代において、その言葉は別の意味を持ち始めた。



 開星(地球規模の開国)して数年、地球にも色々な宇宙人が来るようになった。



 宇宙人、今は外星人と呼ばれるが、彼らを相手に商売を始めた人間は多く、外星人ビジネスで成功した者は多い。



 銀河系でもこの星は中々環境が良いらしく、観光客も多い。



 しかし、地球在住外星人、地球永住外星人は異常に少なかった。









その理由はなんだ?









 法律が邪魔をしている?



NO。法律では禁止されていない。むしろ地球の全土の法律。地球法の『外星人の永住に関する法律』は銀河系でも中々に緩い法律であった。









 人種差別が酷いからか?



NO。そんなことない。一部では良い顔をしない人間もいるが、地球外から初めて来訪した外星人が地球の環境問題解決に尽力してくれたお陰もあって外星人嫌いは少ない。









 ならば衣食住と言った環境か?



NO。惜しいが違う。衣食住環境は海洋系・陸上系外星人共に約3割が現地球環境で適応可能である。(基本的にこの数字が3割を超えれば高いと言われている。)

















 衣食住は惜しい。しかし、外星人永住者の少なさはもっと根本的に、それ以前の問題だった。



 それは、『職』である。





 衣食住を成り立たせるには「職」つまりお金を稼ぐ方法が必要であった。



 最初に述べたように地球人は、「外星人で稼ぐ」ノウハウはあった。



 しかし、この星には、「外星人が稼ぐ」ノウハウが全くなかった。



 環境が変れば職も変わる。「宇宙にある仕事でこの星に無い仕事」がある。逆に「この星に有る仕事で宇宙には無い仕事。」なんてものも有った!



 そう、外星人は『職』で地球環境と適合不全を起こしたのだった!





 職が無ければ金は無い。金が無ければ衣食住は成り立たない。つまり生きていけない。



 故に永住外星人に関する地球法の法整備がされても、実際に永住する外人の数は少なかった。







 しかし!









 そんな状況を覆すべく活躍する職業もまたこの地球に生まれた。



 外星人が一生この星で住むことが出来るように天職を探し出す、『職業』と『外星人』を知り尽くしたプロフェッショナル中のプロフェッショナル。









 その職業の名は『人事』!



 つまり、今の「人事」という言葉は一つの職業を指す。



 宇宙と地球を繋げるプロフェッショナル。



 それが『人事』である!























 この物語は宇宙より来訪する既存の常識では測り知れない人類が地球で幸せに暮らせるようにするべく全力投球をする『人事の秋野さん』のお仕事の様子を書き記した、秋野さんの努力と、ドラマの、片鱗である!







常識不通の 宇宙×職業 の秋野さんの人事のお仕事が今、始まる!

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