第一幕(9)

文字数 162文字

明け方、僕らは出発した。風はなく、小雪が軽くちらついていた。そりには僕らの体重を合わせた分くらいの食糧が積まれている。ふわふわの新雪の上を行くのは骨が折れた。
一人が先に立って引っぱり、もう一人は後ろから押すといい。
雪は一日じゅう、さらさらと降りつづける。
食事のために二度、短い休憩を取った。

音ひとつない丘陵がはるかに広がる。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ゲンリー・アイ

地球出身。惑星同盟《エキュメン》の特使。惑星《冬》ことゲセンに単身降り立ち、カーハイド帝国の皇帝に開国をうながす。長身。性格は誠実で直情的。推定される容貌はアフリカ系。男性。

セレム・ハース・レム・イル・エストラヴェン


ゲセン出身。帝国カーハイドにおける《王の耳》(宰相に相当する最高実力者)。ゲンリーの使命の重要性をただ一人理解する。やや小柄(ゲセン人の平均的体躯)。性格は慎重かつ大胆。推定される容貌はアジアあるいはエスキモー系。中性(両性具有)。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色