第1話

文字数 510文字

        「小さな恋の物語り」
     
 ねぇ、教えて、神様。
 蛙に変えられた王子様を元に戻す、まじないを。
 毎日、拝んでも、お願いしてもダメなの。
 皆が良いと言う事は、やってみたわ。
 若返りの水も飲ませてみたの。
 美男子になる薬も、やってみたわ。
 あぁ、神様。。。
 王子様には、もう、逢えないの?
 私の目の前の蛙は、笑っている。
 ケロケロ ケロケロ ケロケロ

 ねえ、教えて、神様。
 どうして、蛙は私を哀しい眼で見つめるの。
 蛙は、腹を膨らませて笑っているわ。
 蛙は、気の利いた会話もしてくれないの。
 蛙は、素敵なレストランにエスコートもしてくれないの。
 醜い蛙が私を観ているわ。
 あぁ、神様。。。
 どうして、蛙が私を憐れむの。
 私の目の前の蛙は、笑っている。
 ケロケロ ケロケロ ケロケロ

 ねぇ、教えて、神様。
 あの頃の王子様と私は何処に行ったの。
 毎日、二人で、湖を泳いだわ。
 危険な事も、楽しい事も、二人で乗り越えたの。
 いつか、結婚するはずだったの。
 二人の未来が、こんな事になるなんて。
 あぁ、神様。。。
 大人になるって事は、醜い事なの。
 私の目の前の蛙は、笑っている。
 ケロケロ ケロケロ ケロケロ

 
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