○九九七年、五月一一日(一五年前) 9

文字数 202文字

「やはり……」
 ベンチに腰掛けているのは星壱だ。しかし様子がおかしい。手元を見ながら小刻みに震えている。何か言っているような気がするが、理亜の位置では聞き取れなかった。
 その時星壱はこう言っていた。
「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す」
 目は血走り、瞳孔は開き、判断能力を失っていた。今彼の頭の中にあるのは父親を殺した憎き敵を殺すことだけだった。
 
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