第36話「目からビームとロケットパンチは幻想です」
文字数 9,125文字
「図書室行くでしょ?」
6限の授業が終わった後、俺は厚木さんに声をかける。今日は図書委員の受付担当日だ。
「あ、うん。先行ってていいよ。わたしちょっと用事あるから」
ちょっと引きつり気味の彼女の顔に、俺は少し寂しさを感じる。こんなのはいつもの厚木さんじゃない。
わずかな表情にさえ案山 たちのイジメが関係していると思うと、はらわたが煮えくり返る。
「じゃあ、先に行ってるよ」
厚木さんのそんな顔は見たくなかった。ネガティブをポジティブへと変換するようなカラッとした笑顔こそ、彼女の持ち味なのだから。
今に見てろよ案山 。
おまえらは敵に回してはいけない男を怒らせたのだ。
ジロリと案山 を睨んで教室を出て行く。
そうして、教室から離れたところで「せいぜい今は好き勝手やるがいい。あとで吠え面をかかせてやる」と独り言のように呟く。誰かに聞かれていたら、頭のおかしな人間だと思われるだろう。
「土路くんのそれ、悪役の台詞じゃないの?」
うわっと驚いて、振り返ると志士坂がいた。
「おまえストーカーかよ!」
「声かけたんだけど気付かなかったじゃない」
「そうなの?」
俺がきょとんとしていると、志士坂は自分の鞄から文庫本を出す。それはたしか俺が貸した本だった。
「ありがと。面白かったよ。土路くんって、人の趣味とか把握するのうまいよね」
「そりゃ、情報のとっかかりさえわかればリサーチするのは得意だからな」
「またなんかあったら貸してね。あと、今日は文芸部に顔は出さないんでしょ?」
「うん、今日は図書委員の受付担当日だから」
なんだかんだ言いながら、部誌の製作が終わった後も俺は部室にちょくちょく行ったりしている。もちろん、厚木さんが入部したせいもあった。といっても、彼女も忙しいらしくいつもいるわけではない。
結果的に俺は厚木さんが部室に来るのを狙って、部活動を真面目にやるのだった。といっても、ただ本を読んだり喋ってるだけなんだけどね。
「わかった。うん、あたしが言うのも変だけど、頑張ってね」
「頑張る?」
「土路くん、厚木さんが好きなんでしょ? あの人めずらしく落ち込んでたみたいだから、慰めてあげないと」
おお。そういえばそうだな。こういう心のケアも必要だ。少しでもXデーに近づけないためにも。
「ああ、アドバイスありがとな」
「うん。……じゃあ」
少しトーンダウンして、志士坂は部室の方へと向かう。なにか表情にひっかかるものがあったが気にせずにいこう。
図書準備室の扉を開けて荷物を来客用のソファーの後ろへと置くと、準備室から図書室へと直接繋がる扉を開けて目の前の受付席へと座る。
といっても、しばらくはやることがない。
ぼーとしていると「ごめん、遅くなった」と厚木さんが現れた。
「そういえば厚木さん、メタコミの新刊買った?」
「うん、学校に持ってこようと思ったんだけどさ、弟が読みたそうだったから置いてきちゃったんだ。今度持ってくるよ」
「ありがとな。俺、あれの『黒百合の野望』が好きで、めっちゃ続きが気になるんだよね」
「土路クンもなんだ、あたしもあれ面白くて、すぐ読み終わって物足りなくなるからね」
といつものように楽しい時間を厚木さんと過ごす。もう、付き合えなくてもいいから、この時間がずっと続かないかな……なんてことを考えていると、彼女の方から急に話題を変えてくる。
「土路クン、そのごめんね。教室では素っ気なくしちゃって」
「あ、うん。気にすることないって。案山 のグループがなんか言ってくるから気を遣ったんだろ?」
「うん。わたしが攻撃されるならまだ対処のしようがあるけど、他の人に迷惑がかかっちゃうのはどうにもできないから」
「まあ、案山 たちのことは放っておけばいいよ。そのうち飽きるからさ。そしたら、またみんなに話しかければいいよ」
飽きるわけはない。だからこそ、俺が秘密裏に処理をする。厚木さんのためなら汚れ役だって買ってやるのだ。
「飽きるかなぁ? 今回のいやがらせってさ、やっぱテストの順位をわたしが抜かしたからでしょ? わたし1位になれてちょっと舞い上がっちゃってたから反省しないと」
「いや、1位になったのに反省する必要ないでしょ。次回も1位とってよ」
「ま、そうなんだけどね……」
項垂れる厚木さん。こんな姿は似合わないよ。
「厚木さんがやる気ないなら、俺が1位獲っちゃうよ。そんで、案山 をギャフンと言わせてやる」
考えてみれば俺が1位をとって、案山 からのヘイトを全部受けるって手もあるけど……いや、津田と南の時のように俺が厚木さんに惚れていることがバレたら、そっちが攻撃されるもんな。これはあまり良い策ではなかったか。
「土路クンが? あ、でもそんなに非現実的なことじゃないね。毎回3位だし」
「でもまあ、案山 が自分より上の奴に対して攻撃を仕掛けるのであれば、それを全校生徒にしてやればいいよ。つまり、今度の期末テストで彼女を最下位にする」
俺はニヤリと笑って悪役の表情を浮かべる。
「え? ちょっと、土路クン。何をする気なの?」
「少しばかりの工作をして、テスト問題をすり替える。いや、問題の位置をちょっとずらすだけでいいかな。そうすれば0点の答案のできあがりだ」
「はぁ……」
厚木さんは呆気にとられて口を開けたままだ。
「案山 は見事最下位。自分より上位のものを攻撃するならやってみろってんだ。2年の生徒全員を相手にすることになる」
「土路クンってひどいこと考えるのね」
「褒め言葉として受け取っておこう」
ちょっと格好つけて……いや、この場合は笑いを取る意味で、大げさに振る舞う。
「もう! ふざけすぎだよ土路クン」
「ま、本当にはやらないから安心して。俺を怒らせると怖いってことの喩えだよ」
「……うふふふ。なんか土路クンの話聞いてたら、自分の悩みが馬鹿らしくなってきた。そうだよね。気にしすぎだよね」
「そうだよ。厚木さんらしくないって」
「ありがとね」
「お礼を言われるようなことはしてないよ。本当に相談したいなら、北志摩先生に話してみるといいよ。あの人ヤクザもひれ伏すらしいから、いざとなれば案山 たちも駆逐してくれるって」
「駆逐って、もう、巨人とか化け物の類じゃないんだから。それにヤクザもひれ伏すって噂でしょ。わたしが聞いたのは、目からビームが出せるって話だけど」
「いや、それこそないやろ!」
漫才のようなツッコミを真似て、彼女の肩に触れる。
いつものように悪魔が起動。
『今回はまあ、ずいぶんとあたしを呼ぶのに手間取ったわね』
「たまには自分で解決したいってのもあったんだよ。それに事前にきちんと情報収集しないと志士坂の時みたいに読み違えるからな」
『で、今回はどうするの?』
「解体して各個撃破する」
『具体的には』
「案山 配下の4人とそれぞれ接触して、あらゆる手段を使ってあのグループを離脱させる」
『なるほどね、あんたの方針はわかった。今の段階で簡単に演算できるよ。そうだね、あんたの思惑通り、案山 結子のグループが解体されれば、厚木球沙へのイジメは止まる』
「じゃあ、今から俺の策略を具体的に説明するぞ。それで、未来に誤差がでないか演算してくれ」
『了解』
俺は集めた情報から最適解を出す。方法としてはかなりゲスなものも混じっているが、そんなもの気にする必要はない。
事細かく説明したあと、ラプラスの答えを待つ。
「どうだ?」
『そうね。いじめは止まる。ただし、案山 結子は死ぬ。厚木球沙は重症』
「は?! ちょっと待て! どういうことだよ? さっきと言ってることが違うだろ!」
わけがわからない。どうしてそうなるんだ? というか、最近厚木さんが危険に遭う確率が上がってないか?
『さっきはイジメが止まるしか言ってないでしょ』
「俺の解決法が間違ってるのか?」
『間違ってないよ。案山 結子は1週間後、校舎の屋上から飛び降りて死ぬ。厚木球沙はそれに巻き込まれるだけ。でもね、あんたがグループを解体しなくても、案山 結子の自殺は確定的なの』
「は? 俺が案山 のグループを解体したから、それに絶望してってのが理由じゃないのか?」
厚木さんの未来を通してだから、案山 の事情が全くわからない。
『そうかもね。ま、あたしは人の心までは読めないから、本当の理由はわからないけど。ただ、あんたが干渉しようがしまいが、案山 結子は1週間後に自殺する。理由を知りたいなら、彼女の方に接触するしかないわ』
俺はしばらく考える。優先順位はどう考えても厚木球沙。イジメを止めても止めなくても未来が変わらないなら、まずはイジメを止めるべきである。
「わかった。とりあえず案山 グループの解体は実行する。彼女の自殺に関しては別の方向からアプローチだ」
猶予は1週間。その間に案山 の情報を集めて対策を練る。
俺としては厚木さんさえ助かってくれるなら案山 なんかどうでもいいんだが、それだと北志摩先生に怒られるだろうな……っていうか、もし自殺が実行されれば学校も大騒ぎになるし、先生自体にも迷惑がかかるからだ。
いちおう北志摩先生には世話になってるから、大事 にはしたくない。
『とりあえず一旦終わるわよ。案山 結子に接触したらまた演算してあげるから』
「ああ、その時はよろしく」
周りの風景が元に戻る。隣の厚木さんの笑顔はいつものように戻りつつあった。
「わたしだって、そんなの信じているわけないでしょ。目からビームなんて。それよりも、どうしようもなく悪い子には鉄拳が飛んでくるって話だよ」
「……」
鉄拳? ロケットパンチか?
「あ、今、土路クン、腕が外れて飛んでいくってイメージしたでしょ?」
「あ、うん。スーパーロボットでそんなのあったよね?」
「それ全然違うから。普通に鉄拳制裁の意味だよぉ。もう、さすがに北志摩先生もロボットじゃないんだから」
そんなおちゃらけた話が続いていく幸せな時間であった。
そして穏やかでない心の内面で考える。案山 への対策は時間との勝負だ。すぐに動かないといけないと。
まあ、いつものことだ。
全部俺が解決してやる!
【後書き】
◆次回予告
小悪魔召喚!
ドロシーはライオンとブリキの人形を召喚した。
ドロシーは敵に65536のダメージを与えた
第37話「初体験は優しくお願いデス」にご期待下さい!
※次回投稿は5月25日(月)になります。
------------------------- 第36部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
第36話「目からビームとロケットパンチは幻想です」
【本文】
「図書室行くでしょ?」
6限の授業が終わった後、俺は厚木さんに声をかける。今日は図書委員の受付担当日だ。
「あ、うん。先行ってていいよ。わたしちょっと用事あるから」
ちょっと引きつり気味の彼女の顔に、俺は少し寂しさを感じる。こんなのはいつもの厚木さんじゃない。
わずかな表情にさえ案山 たちのイジメが関係していると思うと、はらわたが煮えくり返る。
「じゃあ、先に行ってるよ」
厚木さんのそんな顔は見たくなかった。ネガティブをポジティブへと変換するようなカラッとした笑顔こそ、彼女の持ち味なのだから。
今に見てろよ案山 。
おまえらは敵に回してはいけない男を怒らせたのだ。
ジロリと案山 を睨んで教室を出て行く。
そうして、教室から離れたところで「せいぜい今は好き勝手やるがいい。あとで吠え面をかかせてやる」と独り言のように呟く。誰かに聞かれていたら、頭のおかしな人間だと思われるだろう。
「土路くんのそれ、悪役の台詞じゃないの?」
うわっと驚いて、振り返ると志士坂がいた。
「おまえストーカーかよ!」
「声かけたんだけど気付かなかったじゃない」
「そうなの?」
俺がきょとんとしていると、志士坂は自分の鞄から文庫本を出す。それはたしか俺が貸した本だった。
「ありがと。面白かったよ。土路くんって、人の趣味とか把握するのうまいよね」
「そりゃ、情報のとっかかりさえわかればリサーチするのは得意だからな」
「またなんかあったら貸してね。あと、今日は文芸部に顔は出さないんでしょ?」
「うん、今日は図書委員の受付担当日だから」
なんだかんだ言いながら、部誌の製作が終わった後も俺は部室にちょくちょく行ったりしている。もちろん、厚木さんが入部したせいもあった。といっても、彼女も忙しいらしくいつもいるわけではない。
結果的に俺は厚木さんが部室に来るのを狙って、部活動を真面目にやるのだった。といっても、ただ本を読んだり喋ってるだけなんだけどね。
「わかった。うん、あたしが言うのも変だけど、頑張ってね」
「頑張る?」
「土路くん、厚木さんが好きなんでしょ? あの人めずらしく落ち込んでたみたいだから、慰めてあげないと」
おお。そういえばそうだな。こういう心のケアも必要だ。少しでもXデーに近づけないためにも。
「ああ、アドバイスありがとな」
「うん。……じゃあ」
少しトーンダウンして、志士坂は部室の方へと向かう。なにか表情にひっかかるものがあったが気にせずにいこう。
図書準備室の扉を開けて荷物を来客用のソファーの後ろへと置くと、準備室から図書室へと直接繋がる扉を開けて目の前の受付席へと座る。
といっても、しばらくはやることがない。
ぼーとしていると「ごめん、遅くなった」と厚木さんが現れた。
「そういえば厚木さん、メタコミの新刊買った?」
「うん、学校に持ってこようと思ったんだけどさ、弟が読みたそうだったから置いてきちゃったんだ。今度持ってくるよ」
「ありがとな。俺、あれの『黒百合の野望』が好きで、めっちゃ続きが気になるんだよね」
「土路クンもなんだ、あたしもあれ面白くて、すぐ読み終わって物足りなくなるからね」
といつものように楽しい時間を厚木さんと過ごす。もう、付き合えなくてもいいから、この時間がずっと続かないかな……なんてことを考えていると、彼女の方から急に話題を変えてくる。
「土路クン、そのごめんね。教室では素っ気なくしちゃって」
「あ、うん。気にすることないって。案山 のグループがなんか言ってくるから気を遣ったんだろ?」
「うん。わたしが攻撃されるならまだ対処のしようがあるけど、他の人に迷惑がかかっちゃうのはどうにもできないから」
「まあ、案山 たちのことは放っておけばいいよ。そのうち飽きるからさ。そしたら、またみんなに話しかければいいよ」
飽きるわけはない。だからこそ、俺が秘密裏に処理をする。厚木さんのためなら汚れ役だって買ってやるのだ。
「飽きるかなぁ? 今回のいやがらせってさ、やっぱテストの順位をわたしが抜かしたからでしょ? わたし1位になれてちょっと舞い上がっちゃってたから反省しないと」
「いや、1位になったのに反省する必要ないでしょ。次回も1位とってよ」
「ま、そうなんだけどね……」
項垂れる厚木さん。こんな姿は似合わないよ。
「厚木さんがやる気ないなら、俺が1位獲っちゃうよ。そんで、案山 をギャフンと言わせてやる」
考えてみれば俺が1位をとって、案山 からのヘイトを全部受けるって手もあるけど……いや、津田と南の時のように俺が厚木さんに惚れていることがバレたら、そっちが攻撃されるもんな。これはあまり良い策ではなかったか。
「土路クンが? あ、でもそんなに非現実的なことじゃないね。毎回3位だし」
「でもまあ、案山 が自分より上の奴に対して攻撃を仕掛けるのであれば、それを全校生徒にしてやればいいよ。つまり、今度の期末テストで彼女を最下位にする」
俺はニヤリと笑って悪役の表情を浮かべる。
「え? ちょっと、土路クン。何をする気なの?」
「少しばかりの工作をして、テスト問題をすり替える。いや、問題の位置をちょっとずらすだけでいいかな。そうすれば0点の答案のできあがりだ」
「はぁ……」
厚木さんは呆気にとられて口を開けたままだ。
「案山 は見事最下位。自分より上位のものを攻撃するならやってみろってんだ。2年の生徒全員を相手にすることになる」
「土路クンってひどいこと考えるのね」
「褒め言葉として受け取っておこう」
ちょっと格好つけて……いや、この場合は笑いを取る意味で、大げさに振る舞う。
「もう! ふざけすぎだよ土路クン」
「ま、本当にはやらないから安心して。俺を怒らせると怖いってことの喩えだよ」
「……うふふふ。なんか土路クンの話聞いてたら、自分の悩みが馬鹿らしくなってきた。そうだよね。気にしすぎだよね」
「そうだよ。厚木さんらしくないって」
「ありがとね」
「お礼を言われるようなことはしてないよ。本当に相談したいなら、北志摩先生に話してみるといいよ。あの人ヤクザもひれ伏すらしいから、いざとなれば案山 たちも駆逐してくれるって」
「駆逐って、もう、巨人とか化け物の類じゃないんだから。それにヤクザもひれ伏すって噂でしょ。わたしが聞いたのは、目からビームが出せるって話だけど」
「いや、それこそないやろ!」
漫才のようなツッコミを真似て、彼女の肩に触れる。
いつものように悪魔が起動。
『今回はまあ、ずいぶんとあたしを呼ぶのに手間取ったわね』
「たまには自分で解決したいってのもあったんだよ。それに事前にきちんと情報収集しないと志士坂の時みたいに読み違えるからな」
『で、今回はどうするの?』
「解体して各個撃破する」
『具体的には』
「案山 配下の4人とそれぞれ接触して、あらゆる手段を使ってあのグループを離脱させる」
『なるほどね、あんたの方針はわかった。今の段階で簡単に演算できるよ。そうだね、あんたの思惑通り、案山 結子のグループが解体されれば、厚木球沙へのイジメは止まる』
「じゃあ、今から俺の策略を具体的に説明するぞ。それで、未来に誤差がでないか演算してくれ」
『了解』
俺は集めた情報から最適解を出す。方法としてはかなりゲスなものも混じっているが、そんなもの気にする必要はない。
事細かく説明したあと、ラプラスの答えを待つ。
「どうだ?」
『そうね。いじめは止まる。ただし、案山 結子は死ぬ。厚木球沙は重症』
「は?! ちょっと待て! どういうことだよ? さっきと言ってることが違うだろ!」
わけがわからない。どうしてそうなるんだ? というか、最近厚木さんが危険に遭う確率が上がってないか?
『さっきはイジメが止まるしか言ってないでしょ』
「俺の解決法が間違ってるのか?」
『間違ってないよ。案山 結子は1週間後、校舎の屋上から飛び降りて死ぬ。厚木球沙はそれに巻き込まれるだけ。でもね、あんたがグループを解体しなくても、案山 結子の自殺は確定的なの』
「は? 俺が案山 のグループを解体したから、それに絶望してってのが理由じゃないのか?」
厚木さんの未来を通してだから、案山 の事情が全くわからない。
『そうかもね。ま、あたしは人の心までは読めないから、本当の理由はわからないけど。ただ、あんたが干渉しようがしまいが、案山 結子は1週間後に自殺する。理由を知りたいなら、彼女の方に接触するしかないわ』
俺はしばらく考える。優先順位はどう考えても厚木球沙。イジメを止めても止めなくても未来が変わらないなら、まずはイジメを止めるべきである。
「わかった。とりあえず案山 グループの解体は実行する。彼女の自殺に関しては別の方向からアプローチだ」
猶予は1週間。その間に案山 の情報を集めて対策を練る。
俺としては厚木さんさえ助かってくれるなら案山 なんかどうでもいいんだが、それだと北志摩先生に怒られるだろうな……っていうか、もし自殺が実行されれば学校も大騒ぎになるし、先生自体にも迷惑がかかるからだ。
いちおう北志摩先生には世話になってるから、大事 にはしたくない。
『とりあえず一旦終わるわよ。案山 結子に接触したらまた演算してあげるから』
「ああ、その時はよろしく」
周りの風景が元に戻る。隣の厚木さんの笑顔はいつものように戻りつつあった。
「わたしだって、そんなの信じているわけないでしょ。目からビームなんて。それよりも、どうしようもなく悪い子には鉄拳が飛んでくるって話だよ」
「……」
鉄拳? ロケットパンチか?
「あ、今、土路クン、腕が外れて飛んでいくってイメージしたでしょ?」
「あ、うん。スーパーロボットでそんなのあったよね?」
「それ全然違うから。普通に鉄拳制裁の意味だよぉ。もう、さすがに北志摩先生もロボットじゃないんだから」
そんなおちゃらけた話が続いていく幸せな時間であった。
そして穏やかでない心の内面で考える。案山 への対策は時間との勝負だ。すぐに動かないといけないと。
まあ、いつものことだ。
全部俺が解決してやる!
◆次回予告
小悪魔召喚!
ドロシーはライオンとブリキの人形を召喚した。
ドロシーは敵に65536のダメージを与えた
第37話「初体験は優しくお願いデス」にご期待下さい!
6限の授業が終わった後、俺は厚木さんに声をかける。今日は図書委員の受付担当日だ。
「あ、うん。先行ってていいよ。わたしちょっと用事あるから」
ちょっと引きつり気味の彼女の顔に、俺は少し寂しさを感じる。こんなのはいつもの厚木さんじゃない。
わずかな表情にさえ
「じゃあ、先に行ってるよ」
厚木さんのそんな顔は見たくなかった。ネガティブをポジティブへと変換するようなカラッとした笑顔こそ、彼女の持ち味なのだから。
今に見てろよ
おまえらは敵に回してはいけない男を怒らせたのだ。
ジロリと
そうして、教室から離れたところで「せいぜい今は好き勝手やるがいい。あとで吠え面をかかせてやる」と独り言のように呟く。誰かに聞かれていたら、頭のおかしな人間だと思われるだろう。
「土路くんのそれ、悪役の台詞じゃないの?」
うわっと驚いて、振り返ると志士坂がいた。
「おまえストーカーかよ!」
「声かけたんだけど気付かなかったじゃない」
「そうなの?」
俺がきょとんとしていると、志士坂は自分の鞄から文庫本を出す。それはたしか俺が貸した本だった。
「ありがと。面白かったよ。土路くんって、人の趣味とか把握するのうまいよね」
「そりゃ、情報のとっかかりさえわかればリサーチするのは得意だからな」
「またなんかあったら貸してね。あと、今日は文芸部に顔は出さないんでしょ?」
「うん、今日は図書委員の受付担当日だから」
なんだかんだ言いながら、部誌の製作が終わった後も俺は部室にちょくちょく行ったりしている。もちろん、厚木さんが入部したせいもあった。といっても、彼女も忙しいらしくいつもいるわけではない。
結果的に俺は厚木さんが部室に来るのを狙って、部活動を真面目にやるのだった。といっても、ただ本を読んだり喋ってるだけなんだけどね。
「わかった。うん、あたしが言うのも変だけど、頑張ってね」
「頑張る?」
「土路くん、厚木さんが好きなんでしょ? あの人めずらしく落ち込んでたみたいだから、慰めてあげないと」
おお。そういえばそうだな。こういう心のケアも必要だ。少しでもXデーに近づけないためにも。
「ああ、アドバイスありがとな」
「うん。……じゃあ」
少しトーンダウンして、志士坂は部室の方へと向かう。なにか表情にひっかかるものがあったが気にせずにいこう。
図書準備室の扉を開けて荷物を来客用のソファーの後ろへと置くと、準備室から図書室へと直接繋がる扉を開けて目の前の受付席へと座る。
といっても、しばらくはやることがない。
ぼーとしていると「ごめん、遅くなった」と厚木さんが現れた。
「そういえば厚木さん、メタコミの新刊買った?」
「うん、学校に持ってこようと思ったんだけどさ、弟が読みたそうだったから置いてきちゃったんだ。今度持ってくるよ」
「ありがとな。俺、あれの『黒百合の野望』が好きで、めっちゃ続きが気になるんだよね」
「土路クンもなんだ、あたしもあれ面白くて、すぐ読み終わって物足りなくなるからね」
といつものように楽しい時間を厚木さんと過ごす。もう、付き合えなくてもいいから、この時間がずっと続かないかな……なんてことを考えていると、彼女の方から急に話題を変えてくる。
「土路クン、そのごめんね。教室では素っ気なくしちゃって」
「あ、うん。気にすることないって。
「うん。わたしが攻撃されるならまだ対処のしようがあるけど、他の人に迷惑がかかっちゃうのはどうにもできないから」
「まあ、
飽きるわけはない。だからこそ、俺が秘密裏に処理をする。厚木さんのためなら汚れ役だって買ってやるのだ。
「飽きるかなぁ? 今回のいやがらせってさ、やっぱテストの順位をわたしが抜かしたからでしょ? わたし1位になれてちょっと舞い上がっちゃってたから反省しないと」
「いや、1位になったのに反省する必要ないでしょ。次回も1位とってよ」
「ま、そうなんだけどね……」
項垂れる厚木さん。こんな姿は似合わないよ。
「厚木さんがやる気ないなら、俺が1位獲っちゃうよ。そんで、
考えてみれば俺が1位をとって、
「土路クンが? あ、でもそんなに非現実的なことじゃないね。毎回3位だし」
「でもまあ、
俺はニヤリと笑って悪役の表情を浮かべる。
「え? ちょっと、土路クン。何をする気なの?」
「少しばかりの工作をして、テスト問題をすり替える。いや、問題の位置をちょっとずらすだけでいいかな。そうすれば0点の答案のできあがりだ」
「はぁ……」
厚木さんは呆気にとられて口を開けたままだ。
「
「土路クンってひどいこと考えるのね」
「褒め言葉として受け取っておこう」
ちょっと格好つけて……いや、この場合は笑いを取る意味で、大げさに振る舞う。
「もう! ふざけすぎだよ土路クン」
「ま、本当にはやらないから安心して。俺を怒らせると怖いってことの喩えだよ」
「……うふふふ。なんか土路クンの話聞いてたら、自分の悩みが馬鹿らしくなってきた。そうだよね。気にしすぎだよね」
「そうだよ。厚木さんらしくないって」
「ありがとね」
「お礼を言われるようなことはしてないよ。本当に相談したいなら、北志摩先生に話してみるといいよ。あの人ヤクザもひれ伏すらしいから、いざとなれば
「駆逐って、もう、巨人とか化け物の類じゃないんだから。それにヤクザもひれ伏すって噂でしょ。わたしが聞いたのは、目からビームが出せるって話だけど」
「いや、それこそないやろ!」
漫才のようなツッコミを真似て、彼女の肩に触れる。
いつものように悪魔が起動。
『今回はまあ、ずいぶんとあたしを呼ぶのに手間取ったわね』
「たまには自分で解決したいってのもあったんだよ。それに事前にきちんと情報収集しないと志士坂の時みたいに読み違えるからな」
『で、今回はどうするの?』
「解体して各個撃破する」
『具体的には』
「
『なるほどね、あんたの方針はわかった。今の段階で簡単に演算できるよ。そうだね、あんたの思惑通り、
「じゃあ、今から俺の策略を具体的に説明するぞ。それで、未来に誤差がでないか演算してくれ」
『了解』
俺は集めた情報から最適解を出す。方法としてはかなりゲスなものも混じっているが、そんなもの気にする必要はない。
事細かく説明したあと、ラプラスの答えを待つ。
「どうだ?」
『そうね。いじめは止まる。ただし、
「は?! ちょっと待て! どういうことだよ? さっきと言ってることが違うだろ!」
わけがわからない。どうしてそうなるんだ? というか、最近厚木さんが危険に遭う確率が上がってないか?
『さっきはイジメが止まるしか言ってないでしょ』
「俺の解決法が間違ってるのか?」
『間違ってないよ。
「は? 俺が
厚木さんの未来を通してだから、
『そうかもね。ま、あたしは人の心までは読めないから、本当の理由はわからないけど。ただ、あんたが干渉しようがしまいが、
俺はしばらく考える。優先順位はどう考えても厚木球沙。イジメを止めても止めなくても未来が変わらないなら、まずはイジメを止めるべきである。
「わかった。とりあえず
猶予は1週間。その間に
俺としては厚木さんさえ助かってくれるなら
いちおう北志摩先生には世話になってるから、
『とりあえず一旦終わるわよ。
「ああ、その時はよろしく」
周りの風景が元に戻る。隣の厚木さんの笑顔はいつものように戻りつつあった。
「わたしだって、そんなの信じているわけないでしょ。目からビームなんて。それよりも、どうしようもなく悪い子には鉄拳が飛んでくるって話だよ」
「……」
鉄拳? ロケットパンチか?
「あ、今、土路クン、腕が外れて飛んでいくってイメージしたでしょ?」
「あ、うん。スーパーロボットでそんなのあったよね?」
「それ全然違うから。普通に鉄拳制裁の意味だよぉ。もう、さすがに北志摩先生もロボットじゃないんだから」
そんなおちゃらけた話が続いていく幸せな時間であった。
そして穏やかでない心の内面で考える。
まあ、いつものことだ。
全部俺が解決してやる!
【後書き】
◆次回予告
小悪魔召喚!
ドロシーはライオンとブリキの人形を召喚した。
ドロシーは敵に65536のダメージを与えた
第37話「初体験は優しくお願いデス」にご期待下さい!
※次回投稿は5月25日(月)になります。
------------------------- 第36部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
第36話「目からビームとロケットパンチは幻想です」
【本文】
「図書室行くでしょ?」
6限の授業が終わった後、俺は厚木さんに声をかける。今日は図書委員の受付担当日だ。
「あ、うん。先行ってていいよ。わたしちょっと用事あるから」
ちょっと引きつり気味の彼女の顔に、俺は少し寂しさを感じる。こんなのはいつもの厚木さんじゃない。
わずかな表情にさえ
「じゃあ、先に行ってるよ」
厚木さんのそんな顔は見たくなかった。ネガティブをポジティブへと変換するようなカラッとした笑顔こそ、彼女の持ち味なのだから。
今に見てろよ
おまえらは敵に回してはいけない男を怒らせたのだ。
ジロリと
そうして、教室から離れたところで「せいぜい今は好き勝手やるがいい。あとで吠え面をかかせてやる」と独り言のように呟く。誰かに聞かれていたら、頭のおかしな人間だと思われるだろう。
「土路くんのそれ、悪役の台詞じゃないの?」
うわっと驚いて、振り返ると志士坂がいた。
「おまえストーカーかよ!」
「声かけたんだけど気付かなかったじゃない」
「そうなの?」
俺がきょとんとしていると、志士坂は自分の鞄から文庫本を出す。それはたしか俺が貸した本だった。
「ありがと。面白かったよ。土路くんって、人の趣味とか把握するのうまいよね」
「そりゃ、情報のとっかかりさえわかればリサーチするのは得意だからな」
「またなんかあったら貸してね。あと、今日は文芸部に顔は出さないんでしょ?」
「うん、今日は図書委員の受付担当日だから」
なんだかんだ言いながら、部誌の製作が終わった後も俺は部室にちょくちょく行ったりしている。もちろん、厚木さんが入部したせいもあった。といっても、彼女も忙しいらしくいつもいるわけではない。
結果的に俺は厚木さんが部室に来るのを狙って、部活動を真面目にやるのだった。といっても、ただ本を読んだり喋ってるだけなんだけどね。
「わかった。うん、あたしが言うのも変だけど、頑張ってね」
「頑張る?」
「土路くん、厚木さんが好きなんでしょ? あの人めずらしく落ち込んでたみたいだから、慰めてあげないと」
おお。そういえばそうだな。こういう心のケアも必要だ。少しでもXデーに近づけないためにも。
「ああ、アドバイスありがとな」
「うん。……じゃあ」
少しトーンダウンして、志士坂は部室の方へと向かう。なにか表情にひっかかるものがあったが気にせずにいこう。
図書準備室の扉を開けて荷物を来客用のソファーの後ろへと置くと、準備室から図書室へと直接繋がる扉を開けて目の前の受付席へと座る。
といっても、しばらくはやることがない。
ぼーとしていると「ごめん、遅くなった」と厚木さんが現れた。
「そういえば厚木さん、メタコミの新刊買った?」
「うん、学校に持ってこようと思ったんだけどさ、弟が読みたそうだったから置いてきちゃったんだ。今度持ってくるよ」
「ありがとな。俺、あれの『黒百合の野望』が好きで、めっちゃ続きが気になるんだよね」
「土路クンもなんだ、あたしもあれ面白くて、すぐ読み終わって物足りなくなるからね」
といつものように楽しい時間を厚木さんと過ごす。もう、付き合えなくてもいいから、この時間がずっと続かないかな……なんてことを考えていると、彼女の方から急に話題を変えてくる。
「土路クン、そのごめんね。教室では素っ気なくしちゃって」
「あ、うん。気にすることないって。
「うん。わたしが攻撃されるならまだ対処のしようがあるけど、他の人に迷惑がかかっちゃうのはどうにもできないから」
「まあ、
飽きるわけはない。だからこそ、俺が秘密裏に処理をする。厚木さんのためなら汚れ役だって買ってやるのだ。
「飽きるかなぁ? 今回のいやがらせってさ、やっぱテストの順位をわたしが抜かしたからでしょ? わたし1位になれてちょっと舞い上がっちゃってたから反省しないと」
「いや、1位になったのに反省する必要ないでしょ。次回も1位とってよ」
「ま、そうなんだけどね……」
項垂れる厚木さん。こんな姿は似合わないよ。
「厚木さんがやる気ないなら、俺が1位獲っちゃうよ。そんで、
考えてみれば俺が1位をとって、
「土路クンが? あ、でもそんなに非現実的なことじゃないね。毎回3位だし」
「でもまあ、
俺はニヤリと笑って悪役の表情を浮かべる。
「え? ちょっと、土路クン。何をする気なの?」
「少しばかりの工作をして、テスト問題をすり替える。いや、問題の位置をちょっとずらすだけでいいかな。そうすれば0点の答案のできあがりだ」
「はぁ……」
厚木さんは呆気にとられて口を開けたままだ。
「
「土路クンってひどいこと考えるのね」
「褒め言葉として受け取っておこう」
ちょっと格好つけて……いや、この場合は笑いを取る意味で、大げさに振る舞う。
「もう! ふざけすぎだよ土路クン」
「ま、本当にはやらないから安心して。俺を怒らせると怖いってことの喩えだよ」
「……うふふふ。なんか土路クンの話聞いてたら、自分の悩みが馬鹿らしくなってきた。そうだよね。気にしすぎだよね」
「そうだよ。厚木さんらしくないって」
「ありがとね」
「お礼を言われるようなことはしてないよ。本当に相談したいなら、北志摩先生に話してみるといいよ。あの人ヤクザもひれ伏すらしいから、いざとなれば
「駆逐って、もう、巨人とか化け物の類じゃないんだから。それにヤクザもひれ伏すって噂でしょ。わたしが聞いたのは、目からビームが出せるって話だけど」
「いや、それこそないやろ!」
漫才のようなツッコミを真似て、彼女の肩に触れる。
いつものように悪魔が起動。
『今回はまあ、ずいぶんとあたしを呼ぶのに手間取ったわね』
「たまには自分で解決したいってのもあったんだよ。それに事前にきちんと情報収集しないと志士坂の時みたいに読み違えるからな」
『で、今回はどうするの?』
「解体して各個撃破する」
『具体的には』
「
『なるほどね、あんたの方針はわかった。今の段階で簡単に演算できるよ。そうだね、あんたの思惑通り、
「じゃあ、今から俺の策略を具体的に説明するぞ。それで、未来に誤差がでないか演算してくれ」
『了解』
俺は集めた情報から最適解を出す。方法としてはかなりゲスなものも混じっているが、そんなもの気にする必要はない。
事細かく説明したあと、ラプラスの答えを待つ。
「どうだ?」
『そうね。いじめは止まる。ただし、
「は?! ちょっと待て! どういうことだよ? さっきと言ってることが違うだろ!」
わけがわからない。どうしてそうなるんだ? というか、最近厚木さんが危険に遭う確率が上がってないか?
『さっきはイジメが止まるしか言ってないでしょ』
「俺の解決法が間違ってるのか?」
『間違ってないよ。
「は? 俺が
厚木さんの未来を通してだから、
『そうかもね。ま、あたしは人の心までは読めないから、本当の理由はわからないけど。ただ、あんたが干渉しようがしまいが、
俺はしばらく考える。優先順位はどう考えても厚木球沙。イジメを止めても止めなくても未来が変わらないなら、まずはイジメを止めるべきである。
「わかった。とりあえず
猶予は1週間。その間に
俺としては厚木さんさえ助かってくれるなら
いちおう北志摩先生には世話になってるから、
『とりあえず一旦終わるわよ。
「ああ、その時はよろしく」
周りの風景が元に戻る。隣の厚木さんの笑顔はいつものように戻りつつあった。
「わたしだって、そんなの信じているわけないでしょ。目からビームなんて。それよりも、どうしようもなく悪い子には鉄拳が飛んでくるって話だよ」
「……」
鉄拳? ロケットパンチか?
「あ、今、土路クン、腕が外れて飛んでいくってイメージしたでしょ?」
「あ、うん。スーパーロボットでそんなのあったよね?」
「それ全然違うから。普通に鉄拳制裁の意味だよぉ。もう、さすがに北志摩先生もロボットじゃないんだから」
そんなおちゃらけた話が続いていく幸せな時間であった。
そして穏やかでない心の内面で考える。
まあ、いつものことだ。
全部俺が解決してやる!
◆次回予告
小悪魔召喚!
ドロシーはライオンとブリキの人形を召喚した。
ドロシーは敵に65536のダメージを与えた
第37話「初体験は優しくお願いデス」にご期待下さい!