補遺:原典解説
文字数 1,052文字
悪魔や霊、神性や妖精などに憑依された者。世界中に同様の存在が語られており、一時的に霊的存在に助力を乞うものから、完全に意識を乗っ取られ変質してしまうものまで多様な類型が存在する。
西洋では悪魔の誘惑に堕ちた者と扱われ、魔女狩りの対象とされた。
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キリスト教の祈祷を引き、聖なる詩篇を用いて魔術を行使した魔術師。聖なる託宣を受け、人々を導いた。
エリザベス女王の治世下、聖職者ジョージ・ギフォードによって詳細な考察が残されているほか、18世紀フランスの絵画にも解呪師の姿が描かれている。
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祈りと儀式によって人々を助ける呪術の使い手。その技術体系は、神から賜ったものであるとされる。悪しき黒魔術に対抗しうる者として教会にも認められていたが、後に魔女狩りの対象となった。
1589年、マリア・マルクアルトという白魔女が、ドイツのアウグスブルクで逮捕されたという記録が残されている。
■ペナンガラン
インドネシアに伝わる吸血鬼の一種。内臓をぶらさげた女性の生首。日本の抜け首に類似する。
空を飛び、人の生き血を啜る。悪魔と契約した助産師とも、死んだ妊婦とも言われている。
■水虎
河童に類似した妖怪。人間を水に引きずり込んで喰らう。
中国では、全身を硬い鱗に覆われているとされ、日本では河童の上位種、竜宮の眷属とされる。
■巨人
インドネシア神話に伝わる巨人族。いずれも凶暴で、人間を殺すのが大好き。生贄も大好き。
とにかく人を殺しまくるエピソードが多い。
■ゲルガシ
インドネシア神話に伝わる巨人の一種。対人特攻の武器を持っていたり、声だけで王宮を破壊したりとやたら人殺しに特化している。めちゃくちゃ人を殺しまくる暴れん坊だが定石通り頭が悪く、カンチル王に退治された。
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黙示録の獣とも。七つの頭と十本の角を持つ、ヨハネの黙示録に語られるサタンの化身。ほかに、キリスト教を迫害したローマの象徴とも、邪悪そのものという解釈も存在する。
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アイルランドの妖精。赤い帽子、赤い衣服に身を包み、悪さをはたらく迷惑な存在。不気味な幻を操り人を化かすが、悪戯の域に留まる。
■ハイヌヴェレ
インドネシア、セラム島に伝わる女神。排便として財宝を生み出す権能を持ち、その力を恐れた人々に殺された。切り刻まれた彼女の遺体からはやがて豊かな食物が実り、その地に繁栄をもたらしたという。