第4話(11)

エピソード文字数 1,743文字

「アタシ、思うのよ。あれは予知夢だったって」

 伯父さんハウスに帰って夕食を済ませ、皆で一服していたらだ。芽花おばさんが眉を顰めた。

「……実は、僕もそう思っていたんだよ。優星君に何かあるんだろう、ってね」
「アタシ、不安だわ……。明日の予定は、キャンセルした方がいいかもしれないわね」

 二人はアレを悪い予感だと思い違え、中止を提案。最大の目的がボツになり兼ねないことを、言いだしてしまったのだ。

「そ、それはダメですって! 明日は予定通りに行いますよっ」

 俺は間髪容れず、反対の意思を示す。
 これをするのは、明日(あす)じゃないと意味がない。やめるワケにはいかないんだ。

「でもね、優星君……。僕らは――」
「それならそれなら、あたしがお守りさんを作りますーっ。あたしのお家に伝わるお守りさんには、不吉を払う力があるんだよーっ」

 俺の反応を見たレミアが、中止にならないように動いてくれる。
 この子には――三人には、まだ詳しく話してないのに……。サンキュです。

「レミア先生のお守りは、効果覿面やきっ。持ってたら安全ぜよ!」
「確か次の日は、育月さん、従兄くん、私達3人で行動するんですよね? 子供だけというのは不安でしょうけど、全員で持っていたらもっと安全になり、必ず無事に過ごせますよ」

 すかさず、フュルとシズナも声を上げてくれる。
 アナタ達も、サンキューね。助かります。

「高志おじさん、芽花おばさん、育月もだ、不安気にしなくていいですよ。予定通りにやりましょう」
「にゅむむっ、それがいーよーっ。そしたらあたしっ、これから作りまーすっ」
(ちょっ、異空間から道具を出そうとしないで! そこにあるバッグから取り出すフリをしてっ!)
(にゅっ、にゅむ。わかったよー)

 ドジっ子にゅむちゃんは言った通りに動き、何度目だかのお守り作りに着手する。
 ふー、危ない危ない。墓穴を掘るところだったにゅむ。

「布さんをチョキチョキして、ヌイヌイして………………まずは、新しーゆーせー君のがかんせーですー。次は、育月ちゃんのを作るねっ」

 俺は4つ目になるお守りさんを受け取り、にゅむ子は再度チョキチョキヌイヌイ。彼女は作り慣れており、あっという間に完成した。

「どーぞっ、育月ちゃんっ。大事にしてくれると、うれしーなー」
「あ、ありがとうござい……ます。ずっと、ずっと大切にしま――」

 ビリィッ!

 ぁ。育月のお守りが、真ん中の辺りまで裂けた。

「「「「「「「…………」」」」」」」

 一同、たまらず沈黙する。
 ぁー、そのー、うん。ここでこうなるとは、思わなかったなぁ……。


 ――いいや、違う。予兆はあったんだ。


 昼間ピーマンを買いに来た女。アイツはあの時、『伺う』と口にした。
 あの人が、育月に何かする――。その確率が高いな。

(師匠。破れたのは半分やけど、育月先生のタメに外出は控えた方がいいぜよ)

 沈思していたら、フュルが小声で話しかけてきた。
 俺の従妹は、一般人。特別な力は何もないのだから、これが賢明だ。

(そう、よね。従兄くん、そうしましょ?)
(………………ごめん、それは出来ないんだよ。この子にはプリースト神のバリアーがあるから、外出します)

 方針は、変えない。絶対に、変えない。
 そのため俺は明るい顔を作り、殊更明るい声を発した。

「それ、生地が脆かっただけでしょう。伯父さん伯母さん、ノープロブレムですよ」
「「け、けど……」」
「俺は傷付きませんし、育月はしっかり守ります。育月、約束するから行こうぜ」
「は……はい。兄様がそう仰るのなら、そうし……ます」

 ここだけの話、この人は占いを全く信じない。まさかの事態に驚きはしたが、内側は行く気満々なのです。

「よっし、ソレで決まりだねっ。明日は朝の四時半には起きないといけないから、早めに風呂に入って早めに寝ましょう!」

 俺は声を弾ませて手を叩き、心では固く決意しながら、にこやかに話を終わらせた。


 ――伯父さん伯母さん。不安がらないでくださいね。


 何があっても。どんな問題が起きても、『どっちも』守りますから。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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