1-7
文字数 1,990文字
もう何度目かも分からない、枝分かれした分岐点に到達する。
ダンジョンは巨大ワームが掘った坑道と、後で棲みついた魔物が作った小さな抜け道があちこちで交錯していた。
魔物の行動ルートはマナの流れである風水でコントロール可能。
つまり意図して魔物にダンジョン掘りを手伝わせていたのだ。
もちろんそんな説明を理解できるわけでもなく、ルザリカは小さな道を選択した。
うんざりした表情を浮かべながら魔術で小部屋を作るムッソ。
村で集めた廃品の一つ、鍋の蓋だ。
それを一緒に呼び出した宝箱の中に入れる。
一行は迂回し、さらに探索を続ける。
途中で頭の悪い冒険者のために、目印になりそうなトイレポイントも増設していく。
そして再びどこかで見た分岐点。
ルザリカはお約束通り、細い方の通路へ歩みを進めた。
呪文を唱えるルザリカだが剣はうんともすんとも言わなかった。
瞬殺されるアホの子。
やっぱり魔術が使えずボコられるルザリカ。
こいつやばい、まるで
想像以上のアホさにムッソとじーさんは同時に驚愕した。
ある意味才能である。
ムッソとじーさんが背を向け走り始めた。
首をかしげながらルザリカが振り向くと、火炎放射が通路一杯に迫って来た。
姿は見えないが、巨大な足音と共に背後から火炎放射が続けて襲ってくる。
ほぼ下着同然の姿になりながらも必死で走るルザリカ。
先行く二人はお構いなくピョーンと飛び降りて行った。
二人を信じてルザリカも飛び降りる。
その先は地底湖を擁する巨大な空洞になっていた。
いくつもの地下水が滝のように降り注ぐ幻想的な空間。
ただしその落差は200メートル以上あった。
ゆっくり魔術で下降しながらほくそ笑むムッソ。
その下では湯けむり殺人事件よろしく、水底に激突したルザリカがプカプカと浮いていた。