第6話 森の主は__
文字数 719文字
「悪いことは言わない。もう外に出てきたらどうだ?」
誰も居る筈のない森にひたすら声をあげて問う少女がいる。
彼女は、決して頭のネジが外れている訳ではない。
まだ、名を出してはいないが、何処ぞの王族の1人だとか。
そして、予知夢を視ることが出来る者。
__すなわち、夢術師 でもあるのだ。
「ったく……面倒くせェ主 だこと……」
彼女はそう言うと、近くにあった大樹から葉を1枚千切った。
そして、トンっと自分の額に人差し指だけで押さえ付ける。
彼女は、一時黙っていた。
しかし、その沈黙も長くはない。
「……そっちか」
そう一言吐き捨てるようにその場を去った。
無論、黒鷹を忘れている訳ではない。
むしろその逆だ。
一刻も早くアイツを助けないと厄介事が増えると思ったんだ。
去る前に、黒鷹を木陰で横にさせたから大丈夫だろう。
第一、今着いてこられてもこちらが困る。
奥へと行くに連れ、さっきよりも道が複雑になっている。
しかし、少女は黙々と進んで行く。
まるで、森の中の地図を見ながら進んでいるかのように。
と、しばらくしてから、彼女は立ち往生した。
霧が濃度を増し、段々と濃くなっていく。
さらには、繭の数が一段と増えていた。
「つまり、ここ一帯が奴のネグラなわけね……」
彼女は、森のことを一切知らない。
だが、路の仕組みなら分かるらしい。
「クスッ……わざわざ俺の所へ来てくれるなんて、俺マジで感激しちゃったわ……クスッ」
背後で声がした。
黒鷹でない、別の男の声が____
いや、人でないモノらしいな。
その余裕そうな口調からして。
「森の主 ……精霊か?」
ヤツの香りがまた霧となっていった。
誰も居る筈のない森にひたすら声をあげて問う少女がいる。
彼女は、決して頭のネジが外れている訳ではない。
まだ、名を出してはいないが、何処ぞの王族の1人だとか。
そして、予知夢を視ることが出来る者。
__すなわち、
「ったく……面倒くせェ
彼女はそう言うと、近くにあった大樹から葉を1枚千切った。
そして、トンっと自分の額に人差し指だけで押さえ付ける。
彼女は、一時黙っていた。
しかし、その沈黙も長くはない。
「……そっちか」
そう一言吐き捨てるようにその場を去った。
無論、黒鷹を忘れている訳ではない。
むしろその逆だ。
一刻も早くアイツを助けないと厄介事が増えると思ったんだ。
去る前に、黒鷹を木陰で横にさせたから大丈夫だろう。
第一、今着いてこられてもこちらが困る。
奥へと行くに連れ、さっきよりも道が複雑になっている。
しかし、少女は黙々と進んで行く。
まるで、森の中の地図を見ながら進んでいるかのように。
と、しばらくしてから、彼女は立ち往生した。
霧が濃度を増し、段々と濃くなっていく。
さらには、繭の数が一段と増えていた。
「つまり、ここ一帯が奴のネグラなわけね……」
彼女は、森のことを一切知らない。
だが、路の仕組みなら分かるらしい。
「クスッ……わざわざ俺の所へ来てくれるなんて、俺マジで感激しちゃったわ……クスッ」
背後で声がした。
黒鷹でない、別の男の声が____
いや、人でないモノらしいな。
その余裕そうな口調からして。
「森の
ヤツの香りがまた霧となっていった。