6:現場到着につき状況開始 1

文字数 792文字

 指定された場所についたということで、二人は車を降りました。
 車が停まった場所は、あるテントの前でした。

 二人はテントの前にいる守衛に話しかけましたが、どうやらすんなりとは入れてもらえなかったようでした。

 人を呼びつけておいて準備が出来てないって、どういうことよ。
 そんなことを私に言われても困るわよ。

 段取りが悪いのは今回に限った話でもないでしょう?

 ……それとこれとは話が別ですぅ。
 ……わかった、わかりました。

 ちょっと行ってくるから、ここで待ってなさいな。

 沙雪さんはこのまま文句を言い続けそうな気配を発しているサーニャちゃんを見て、ため息を吐いた後でそう言うと、サーニャちゃんの傍から離れていきました。

 ただ、気にかかることがあったのか、数歩だけ進んだところで立ち止まって振り返ると、

 ――ちゃんと待ってなさいよ?
 念を押すように、少し低めの強い声音でそう言いました。
 しつこいなぁ。わかってるってば。

 ほら、行くならはやく行きなさいな。

 サーニャちゃんは沙雪さんの言葉を受けて、本当にうざったいと思ってることがわかる表情を浮かべながらそう言って。

 言葉通りに、沙雪さんを遠くへ追い払うように手をぷらぷらと振ってみせました。

 沙雪さんはサーニャちゃんの言葉を聞いて、少しだけむっとしたような表情を浮かべたものの――吐息を吐いてから表情を諦めのそれに変えた後で、サーニャちゃんの傍から離れていきました。
 サーニャちゃんは沙雪さんの離れていく背中を見送った後で、ため息を吐きました。
 そりゃあ言うのが遅かったわね。

 そうして欲しくなかったなら、せめてここで足止めさせないようにしておくべきだったし。

 ――待たせるにしたって、ああいう輩が見えないように、徹底しておくべきだった。

 そう言って、サーニャちゃんが視線を移したのは目の前にあるテントではなく、後ろに広がる災害現場でした。
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登場人物紹介

名前:サーニャちゃん

特記事項:感情家、口がちょっと悪い


思ったことをすぐ口に出し、考えたことはすぐ行動に移す。

猪突猛進を地で行くような生き方は周囲に迷惑をかけることも多いけれど、悪人ではないので嫌われることはそんなにない。

名前:沙雪さん

特記事項:サーニャちゃんの友人、怒ると怖い


サーニャちゃんと付き合いの長い友人。

サーニャちゃんの扱いは慣れたものだが、引き起こすトラブルに慣れたわけではない。

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