第26話 妹からのお願いとエンディング
文字数 1,710文字
ゴールデンウィーク中に、義父母の仏壇を注文してきた。
元の仏壇の処分とあわせた仏壇の閉眼供養&開眼供養は、6月に行うこととなった。懸案事項のゴールが見えてきたぞ。
そしてゴールデンウィーク明けに、司法書士から委任状が届いた。
5月8日(土)に実家に集まり、委任状に兄弟で署名し実印を押印。
そして5月10日(月)は丁度仕事が休みだったので司法書士へ連絡したところ、これから書類を取りに伺いますとのこと。私も急遽実家に向かう。
10時半に実家で司法書士と合流。
司法書士はテーブルの上で、委任状の3人分の印鑑と印鑑証明書を突合 。印鑑証明書を、いわゆるパラパラ漫画みたいにして印影を確認していた。
司法書士は、登記が完了したら、登記識別情報通知 (昔で言ういわゆる権利証)と請求書をそれぞれに郵送すると言い、帰って行った。
私は法務局のホームページで登記完了予定日をチェックしてみた。
不動産権利登記だよな、えっと、だいたい完了まで1週間か。
11日には司法書士が法務局へ申請するだろうから、だいたい18日頃登記完了して、21日の金曜日頃には登記識別情報通知が届く感じかな?
そして21日の金曜日を迎えましたが、まだ届いていません。
私は仕事の昼休みに、司法書士事務所に電話を入れてみた。
「お世話になっています。あの、登記は完了しましたでしょうか?」
「え、あ、はい、確認しますね、少々お待ちください、あ、今日の午前中完了したばかりです」
「申請日はいつだったんですか?」
「申請日? 申請日は、えーと、待ってくださいよ、えーと、11日です」(なんでそんなことを聞く?といった反応)
「じゃあ、識別情報は来週初め頃届く感じですかね」
「ああ、まあ、そうですね」
あのとき実家で司法書士に「急ぎでお願いします」と言わなかったから仕方ないか。
でも母がいたから言えなかったよね~。また険しい顔で「なんであんたそんなに急いでいるんだい」と不審がられてしまうし。
************
委任状を記入したときのこと。私と妹二人きりになったときのお喋り。
妹「お姉ちゃんはこれで土地の相続は全部終わったからいいよね~」
私「うん、悪いけどすっきりだわ」
私は今回の相続で、父の単独名義の不動産をそのまま相続して完了。しかし兄と妹は、父と母共有名義の父の分を相続するので、まだ全部自分のものにはならないのだ。
妹「次の相続は私とお兄ちゃんとで色々やるのかと思うと、憂鬱なんだけど。お姉ちゃんはもう相続に絡んでくれないよね~?」
私「大丈夫、次も絡むよ、ガッツリ絡むから任せて。次が本番みたいなもんだし」
妹「ほんとう~? よかった~安心した~」
私「だってお母さんの口座さ……」
妹の自宅が未登記だとわかったとき、税金は収めているのかを確認するため、母の預金通帳を見せてもらったときのこと。
思わず「残高すごいね」と呟いたら、母は無言でサッと通帳を取り上げたのだ。
母は預金と、生命保険を持っている。
でもこういうことで争いが起きるのは、父が本気で嫌がりそうと、ふと思い起こす。
妹とお喋りは続く。
私「最近さ、職場で仲良くしている人のお父さんが亡くなったのよ。ラインで”大変だったね”って連絡したら、”ありがとうございます。しっかり父を見送ってきます”って返ってきてさ。ああ、そういう発想は無かったわ、”見送る”っていう発想はさ……」
妹「確かに無かった! もう葬式を”こなす”って感覚だった」
私「そうそう。”こなす”ことでいっぱいで、見送るまでは……。お父さんごめんなさいって感じだよね」
ということで、このエッセイを私の「見送り」とします。
ワクチンが行き渡ったとしても、コロナ禍はしばらく続くだろう。
大袈裟かもしれないけど、自分の死生観やエンディングを、家族に伝えておくことは必要かもしれない。
例えば私の場合、葬儀無しで火葬だけして終わりでかまわない。サッサと解散してください。
火葬場で煙になって昇っていき、ここは朝焼け夕焼けがきれいだったな、面白いところだったなとサラッと振り返ってお終いにしたい。
元の仏壇の処分とあわせた仏壇の閉眼供養&開眼供養は、6月に行うこととなった。懸案事項のゴールが見えてきたぞ。
そしてゴールデンウィーク明けに、司法書士から委任状が届いた。
5月8日(土)に実家に集まり、委任状に兄弟で署名し実印を押印。
そして5月10日(月)は丁度仕事が休みだったので司法書士へ連絡したところ、これから書類を取りに伺いますとのこと。私も急遽実家に向かう。
10時半に実家で司法書士と合流。
司法書士はテーブルの上で、委任状の3人分の印鑑と印鑑証明書を
司法書士は、登記が完了したら、
私は法務局のホームページで登記完了予定日をチェックしてみた。
不動産権利登記だよな、えっと、だいたい完了まで1週間か。
11日には司法書士が法務局へ申請するだろうから、だいたい18日頃登記完了して、21日の金曜日頃には登記識別情報通知が届く感じかな?
そして21日の金曜日を迎えましたが、まだ届いていません。
私は仕事の昼休みに、司法書士事務所に電話を入れてみた。
「お世話になっています。あの、登記は完了しましたでしょうか?」
「え、あ、はい、確認しますね、少々お待ちください、あ、今日の午前中完了したばかりです」
「申請日はいつだったんですか?」
「申請日? 申請日は、えーと、待ってくださいよ、えーと、11日です」(なんでそんなことを聞く?といった反応)
「じゃあ、識別情報は来週初め頃届く感じですかね」
「ああ、まあ、そうですね」
あのとき実家で司法書士に「急ぎでお願いします」と言わなかったから仕方ないか。
でも母がいたから言えなかったよね~。また険しい顔で「なんであんたそんなに急いでいるんだい」と不審がられてしまうし。
************
委任状を記入したときのこと。私と妹二人きりになったときのお喋り。
妹「お姉ちゃんはこれで土地の相続は全部終わったからいいよね~」
私「うん、悪いけどすっきりだわ」
私は今回の相続で、父の単独名義の不動産をそのまま相続して完了。しかし兄と妹は、父と母共有名義の父の分を相続するので、まだ全部自分のものにはならないのだ。
妹「次の相続は私とお兄ちゃんとで色々やるのかと思うと、憂鬱なんだけど。お姉ちゃんはもう相続に絡んでくれないよね~?」
私「大丈夫、次も絡むよ、ガッツリ絡むから任せて。次が本番みたいなもんだし」
妹「ほんとう~? よかった~安心した~」
私「だってお母さんの口座さ……」
妹の自宅が未登記だとわかったとき、税金は収めているのかを確認するため、母の預金通帳を見せてもらったときのこと。
思わず「残高すごいね」と呟いたら、母は無言でサッと通帳を取り上げたのだ。
母は預金と、生命保険を持っている。
現金
を兄弟で分配するというのは、ちょっと荒れそうな気がしませんか?(笑)でもこういうことで争いが起きるのは、父が本気で嫌がりそうと、ふと思い起こす。
妹とお喋りは続く。
私「最近さ、職場で仲良くしている人のお父さんが亡くなったのよ。ラインで”大変だったね”って連絡したら、”ありがとうございます。しっかり父を見送ってきます”って返ってきてさ。ああ、そういう発想は無かったわ、”見送る”っていう発想はさ……」
妹「確かに無かった! もう葬式を”こなす”って感覚だった」
私「そうそう。”こなす”ことでいっぱいで、見送るまでは……。お父さんごめんなさいって感じだよね」
ということで、このエッセイを私の「見送り」とします。
ワクチンが行き渡ったとしても、コロナ禍はしばらく続くだろう。
大袈裟かもしれないけど、自分の死生観やエンディングを、家族に伝えておくことは必要かもしれない。
例えば私の場合、葬儀無しで火葬だけして終わりでかまわない。サッサと解散してください。
火葬場で煙になって昇っていき、ここは朝焼け夕焼けがきれいだったな、面白いところだったなとサラッと振り返ってお終いにしたい。