第13話 皇社長
文字数 1,316文字
社長から何の連絡だろうと電話に出ようとするが、ふと手が止まる。
なるべく早めに名取と連絡を取りたいが、あまり遅い時間だと連絡方法を調べる時間も無いし、
相手の都合も付きにくくなってしまう。
言わずに後悔するなら言って後悔だと、自分を奮い立たせる。
社長に自分の想いをぶつけてみる、どうなるかは後で考えればいい。
社長の言葉で、飛び上がりそうなくらいの嬉しさがこみ上げてくる。
社長がどこか嬉しそうな口調でそう言い残すと、電話を切った。
弓月も話せるようになって来てるみたいだし、前進、前進。
ルキアのおかげで、弓月も気持ちがほぐれた気がする。
俺は弓月に向かって親指をぐっと立てると、自分の着替えを持って帰り支度をするように言う。
後は展示品のドライヤーを元に戻して、店の電気を切ればOKだ。
ルキアが去っていくのを弓月と一緒に見送ると、少し遠回りで自宅の方へを歩いていった。