動画ランキング1位達成とペン子さんのマッサージ

文字数 1,691文字

 さて、食後はネットの時間だ。あの動画もどこまで伸びているか……。
 ペン子さんが洗い物をしている間に、俺は二階の自室へ戻って、ネットを見てみることにした。
 相変わらず、大手ポータルサイトのトップには「謎の美少女二人が怪獣と市街戦」の見出し。その下には「政府発表 女の娘戦士計画」だの「謎の美少女戦士が警察から逃走」だの、全部が俺と乙女、幻獣に関するものだった。
 そして、動画サイトを見てみると、俺のアレな動画がランキング一位になっていた。再生数は三百万を超えている。さらには、他の動画サイトにも転載されて、世界中から注目を集めているような状態だ。
「……はは……本当にすごいな……」
 地味で冴えなくて目立たない存在だった俺が、今や世界中で注目を集めている状態だ。でも、なんというかプレッシャーみたいなものを感じるな、ここまで、多くの人間に見られていると思うと。
 ……まぁ、画面に映っているのは俺とは似ても似つかない超美少女にしか見えない男の娘戦士なわけだが。
 そこへ、トントンとドアがノックされる。
「ええと、ペン子です。入ってもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
 そして、室内に入ってきたペン子さんは体操着とブルマー姿だった。やっぱり、この格好が一番いいかもしれない。スク水もいいのだが、この布っぽいのがいい。国は早急にブルマーとスク水を全学校で復活させるべきである。
「あ、あの……よかったら、マッサージどうですか? 今日の戦いで、疲れていると思いますから……」
 そう言えば、最初に会ったときにそんなことも言っていたな。……まぁ、パワードスーツの機能が超優秀なので、そこまで疲れてはいないが、ここはお言葉に甘えるとしよう。
「そ、それじゃあ、お願いします」
「あっ、じゃあ、その……私の布団に横になっていただけますか?」
「は、はい……い、いいんですか?」
「ええ、ベッドだとやりにくいですので……」
「りょ、了解しました」
「それでは、うつ伏せになるように、寝てもらっていいですか?」
 俺はおそるおそるペン子さんの布団の上に、言われたとおりにうつ伏せになる。
 ……くおぉ……! ペン子さんの布団、いい匂いがするっ! くんかくんかしてしまいたくなるっ! 俺は紳士だからしないけど!
「そ、それじゃ、失礼しますね……」
 ペン子さんは俺に声をかけると、俺のお尻のあたりに馬乗りになるように腰を下ろした。
 ちょ、ちょっと待て。この柔らかさは……!
 ああ、やましいことを考えるな。これはマッサージだ。施術だ。やましいことなど一切ありはしない。これをいかがわしく考えることは、マッサージに対する冒涜だ。でも、お尻柔らかい!
「それでは、背中から始めますね」
 ペン子さんの手が伸ばされて、ぐっ、ぐっと俺の背中を力強く押していく。
 ……むむ? わりと本格的なマッサージのような気がする。けっこう、力あるんだな、ペン子さん……。
「ど、どうですか?」
「ええ、けっこう気持ち……」
 ――バキベキバキボキバキボキィッッッ!
「おぅふっ……!?
「きゃっ、大丈夫ですか!?
 背中からわりとやばめな音がした。
「だ、大丈夫です……」
「す、すみません、ちょっと力を入れすぎました」
「いえ、ノープロブレムです。そのまま、続けてください……」
「は、はい……。もし痛かったら、言ってくださいね? んしょっ、んしょっ……」
「おふっ、おふぅうっ……」
「……だ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。もっと、強くしてもらっても……」
「わ、わかりました。んしょっ、んしょっ……!」
「おふっ、おふぅうう~~」
 くうっ……か、かすかに痛いのが、いい……。い、痛気持ちいい……。くせになりそう……。
 そして、三十分ほど、俺はペン子さんからマッサージを受け続けた。
「はぁはぁ……け、けっこうなお手前で……」
「ふぅ……お粗末さまでした」
 ……背中をゴシゴシするテクニックといい、やっぱりペン子さんは、最高だぜ!
 そんなことを思いながら、俺は荒い息を吐き続けていた。
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登場人物紹介

牝野雄太……男の娘戦士に選ばれてしまう。帰宅部であることに誇りを持つ男子高生。

牝野雄太(変身後)……超かわいいJK風男の娘戦士。ネットに勝手に投稿された動画が大ヒット。濃ゆいファンとクラスメイトたちに応援され、ときおり恥ずかしい動画を撮られながら戦う。

双木弥生……見た目は美少女だが、性別は男(?)。雄太のクラスメイト。スキンシップが大好き。

男川乙女……男川流剣術の後継者であり、政府が宇宙からの侵略者に備えて開発したパワードスーツを着用し「女の娘戦士」として戦う。雄太の幼なじみ。

百合宮ペン子……男の娘戦士推進団体戦闘支援科のお姉さん。公私さまざまな面で雄太をサポート。学生時代は男の娘もののネット小説を投稿していた。


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