第1話 ぼくのにっき

文字数 1,688文字

一章

  ―ぼくのにっき―
 ―6がつ/6にち―6さい―

 よる、ぼくはごはんをたべたあと、へやにひとりでぼーっとしていました。なにかに チョンチョン と、かたをつつかれたきがしたので、ふりむくとコウモリのようないきものがいて、ふしぎにおもってみていたら
「お菓子をあげるので、あなたの持っている指輪を一つ、貰えませんか?」と、はなしかけてきました。
ごはんをたべたあとだけど、(このいきものが、もしかしたらアクマなのかな? とおもいました)アクマのもっているドーナッツと アメがたべたかったので、おもちゃばこのなかをさがしました。たしか、おじいちゃんかおばあちゃんのかたみの?ゆびわがあったかも、とおもったからです。
 ― その時は、銀の指輪かと思っていました。悪魔もそれを見た時、驚いた様子でした。手渡そうとすると、悪魔は「そこに置いて下さい、この指輪と交換しましょう」と言って、よく分からない素材?材質の、それこそ玩具の様な指輪を、僕の手に置きました。そっちは直接、手渡すんかい、と思った事を覚えています ―
 ぼくはいわれたとおり、ゆびわをゆかにおいて、ゆびわとドーナッツとアメをもらって、まずドーナッツをひとくちでたべました。アクマは、おじいちゃんかおばあちゃんの?ゆびわを、ぼくのかたをつついたときより、つよくつっついてあんぜんをたしかめたあと、ゆびわをもってみていました。ドーナッツをたべおわったので、アメをくちにいれて、アクマからもらったゆびわを、アクマのまねをしてつついたり、つけたりはずしたりして、いじくっていました。べつになにもかんじませんでした。アクマはヘン(羊皮紙の巻き物?のよう)なかみをもっていて、ゆびか、てか、つめをクルクルとうごかしていました。
 ― 多分、家系図か以前の所持者を見ていたんだと思います。僕-父親か母親-祖父か祖母の名前を、指というか爪で往復している様な動きでした。その後すぐに上へずらして、ずっと上に動かして、その時、腕を三本ぐらい使っていたので、「器用だなー」って思って見ていました。多分三つめは、翼の腕だと思います。爪は途中で止まっているのに、腕の方はスクロールし続けていたので、多分、僕の血筋の人までしか見れないんだと思います。その、前の世代の人を見るのを諦めて、下にずーっと動かして、僕の名前を通り過ぎて、ずーっと下に行って、その時、子供の時は解らなかったんですけど、というか今、気付いたんですが、僕の子供、本来なら指輪が受け継がれる僕の子孫、血筋の分だけ、未来を?視れるんだと、思います。僕と、多分母親、と祖母の動きの指が、六つか七つ、八つ分くらい下に動かしてました。やっぱり指は途中で止まって、腕の方は少し長くスクロールしてて、止まって、その時の悪魔が、何をしているのか分かりませんでした。分からなかったので、聞いてみた気がします。
「それ、なにしてんの?」みたいな聞き方で、
「ちょっと面白いですよ」って答えて、
「ちょっとって?」
「いやいや、別に?」って感じで、ちゃんと答えてくれないんだろうな~って思った事を覚えています。本当に未来を視ていたなら、教えてはくれないんだろうと、今、思いました。子供の時は知らなかったんですけど、悪魔や契約内容についての情報を、契約で教えてもらえるとしても、未来が変わりそうな情報は与えなくて良い、みたいな、悪魔に有利な契約だったと思います。(子供の時とはいえ、安易に契約したなって思います) ―
 ぼくは、くちのなかのアメがとけてなくなってしまったので、
「もう、ないのか~」ってガッカリしていました。そしたらアクマが、
「もう一個、喰べますか?」と言って、ナゾのかみでくるんだ、ナゾのアメをくれました。あじはちょっとわかりませんでした。
― 今、思えば本気で怖いです、味は今思い出してみても判りません ― 
ぼくは、「うん」ってこたえてアメをもらい、たべました。
アクマはうれしそうにわらっていました。 
 ― 僕も、飴は嬉しかったです ―

  ― おわり ―
 ― ぼくのにっき ―
―6がつ/6にち― 多分六時
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登場人物紹介

ぼくb(子供時代) 六歳の時に悪魔と契約を交わす(一話)

蝙蝠(コウモリ)の悪魔Y

僕B(学生)

友人A(学生)

蛇の悪魔X(女性?)

あたしa(友人Aの子供時代)

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