第30話:2015年はテロとパリ協定

文字数 1,759文字

 パリ同時テロを受け、英仏がシリアのIS拠点への本格空爆に踏み切った。こうした米主導の有志連合に加え、ロシアもアサド政権を支援する立場からシリア空爆を9月に開始。ISに対する国際的包囲網が強まっている。シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ、欧州を目指す難民が急増。

 粗末な船などに乗った難民が連日大量に押し寄せ、国境にフェンスを設けて流入を抑える国も。9月にトルコの海岸に打ち上げられた3歳男児の遺体写真が報じられると世界的に受け入れの動きが広がり、欧州最大の受け入れ国ドイツのメルケル首相はノーベル平和賞候補になった。

 日本では、2015年1~11月の訪日外国人数は、政府の推計で前年同期比、約48%%増の1796万人に達した。円安に加え、日本発着の国際航空路線の拡充、ビザ発給要件緩和などを背景に過去最高の2014年の年間実績「1341万人」を既に上回った。15年年間では1900万人台に達する見込みだ。

 訪日観光客が日本を訪れ、炊飯器やカメラ、薬、化粧品といった家電やブランド品などを大量に購入する「爆買い」が注目され、今年の流行語大賞になった。日本百貨店協会によると、外国人観光客向けの免税売上高(1~10月)は前年同期と比べ、約3倍の1610億円。ただ、中国を含む新興国経済の減速に伴い、爆買いの勢いが鈍る可能性も指摘されてる。

 パリ郊外で11月30日から開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議「COP21」は、2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を採択した。新枠組みの合意は現行の枠組みである京都議定書以来、18年ぶり。京都議定書が先進国だけに温室効果ガスの削減義務を課していた。

 しかし、パリ協定は、途上国を含む196の全締約国に温室ガス削減目標の提出や5年ごとの見直しを義務付ける。COP21では、初日に安倍首相、オバマ米大統領、習近平中国主席ら約150カ国の首脳が参加する会合を開き、温暖化対策への決意を確認。協定には、産業革命前からの世界の気温上昇幅を2度未満目標とし1.5度未満努力目標とする方針も盛り込んだ。

 2016年、薄井夫妻は、初詣で、家族の安全を祈願した。日銀は2016年1月29日の金融政策決定会合で金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の利子をマイナスにする「マイナス金利政策」の導入を決定。2月16日に開始し、-0.1%の金利を適用。日銀にお金を預けると金融機関は通常、利息を受け取れるが、逆に「手数料」を取られる。

 国内では初。導入後、長期金利が一時マイナスとなり住宅ローン金利などが低下するといった効果はあった。しかし、金融機関の収益悪化や年金・保険の運用難を招き金融界などは猛反発。日銀はその後、「消費者のマインド面を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」などと副作用を認めた。

 主要中央銀行では、欧州中央銀行「ECB」が、14年6月に導入している。 米国では、米共和党のドナルド・トランプ氏が、11月8日投開票の大統領選で、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官を破り大統領に選出された。英国は6月の国民投票でEUからの離脱を決定。

「東欧からの移民流入で職が奪われている」との不満やEUの規制に反発などが背景。EUから加盟国が抜けるのは初、経済規模で2位、そして世界の金融センター、シティーを擁する英国の離脱は、大きな打撃となる。来年に大統領選を控えるフランスなどでは反EUの右派政党が勢いづいている。

 日米、オーストラリアなど12カ国は2月4日、環太平洋連携協定「TPP」に署名。関税削減・撤廃を通じ市場を開放し、知的財産権保護など幅広い貿易・投資の共通ルールを作る枠組みで、実現すれば人口8億人、世界の国内総生産の約4割を占める巨大経済圏が誕生する。発効には域内GDPの85%以上を占める6カ国以上の承認が必要。

 また、2016年になると、日本において太陽光発電に参加した企業の倒産が、急増して国の買取価格の下げと、日本における太陽光発電装置のコストが、世界でも突出して高いことがわかった。その影響か、日本大手企業が、太陽電池パネルや太陽光発電装置関連の事業から抜け出す企業が、増え、世界的にも中国企業の強さが目立った。
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