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エピソード文字数 532文字

【紗紅side】

 帰蝶もあたしと同じ右肩に……
 黒子(ほくろ)が……!?

 信長の言葉が耳から離れず、ずっと抱いていた疑念が深まる。

 帰蝶は声は出せないものの、奇妙丸のよき母となり、奇妙丸も生母亡きあとは帰蝶を実母のように慕うようになっていた。

 奇妙丸の成長は、帰蝶とあたしの共通の楽しみでもあった。

 帰蝶と過ごす穏やかな日々は、信長の野望に触れることもなく平和だった。

「於濃の方様……」

(紅、どうかしたのか?)

「……何でもございませぬ」

 あたしと姉には、生まれつき右肩の同じところに小さな黒子がある。

 それは姉も知っているはずだ。

 帰蝶はあたしの右肩に黒子があることは知らない。何故なら、一緒にお風呂に入ったことも、帰蝶の前で着替えをしたこともないのだから。

 男の振りをしているが、姉なら紅があたしだと気付いても不思議はない。

 もしかしたら、姉はタイムスリップした衝撃で、声だけではなく記憶も無くしてしまったのだろうか。

 それともあたしのように、自分を偽り生きなければならない理由があったのだろうか。

 黒子は単なる偶然か否か……。

 あたしはそれを確かめたくて、帰蝶に声を掛ける。

「美濃だよね」
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登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

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