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エピソード文字数 728文字

「信勝殿、無礼であるぞ。殿が病に伏せておるというに、何というおぞましいことを……」

「兄上が病であるからこそ、好都合でござる。お主はわしと兄上を和睦させたいのであろう。それにはひとつ条件がある。わしにもお主を抱かせろ」

「……な、なんと!?気でもふれたか!」

 信勝はいきなりあたしの腕を掴んだ。
 抵抗するものの、体格の差からいとも簡単に組み伏せられた。

「離せ!無礼者!」

 信勝は刀を抜き、あたしの首に刃先を向けた。

「声を上げるでない。静かにせねば、命はないと思え」

 勢いよく振り下ろされた刀は、頬を霞めグサリと畳に突き刺さる。頬からツーッと鮮血が流れた。

 あたしを犯し、殺す気だ。

 恐怖から身が竦み、叫び声が出せない。

 信勝はあたしの胸元を両手で乱暴に開く。

「晒し……?」

 信勝は晒しの中にゴツゴツとした手を突っ込み乳房を掴んだ。

「……やめろ!」

「……これは、異なもの。男にふくよかな乳房があるとは」

「放せ……声を上げるぞ」

「声を上げたければ、上げるがよい。困るのはわしではない、兄上じゃ。何故、お主は女だてらにそのような(なり)をしておるのだ。男の形をした女を囲うとは、兄上も正気の沙汰ではない。母上も家臣もこのことを知れば、さぞ嘆き悲しむであろうな」

 信勝は「ふふふ」と薄気味悪い笑みを浮かべ、あたしの乳房をまさぐり、唇を近づけた。このまま信勝に陵辱されるくらいなら、死んだ方がマシだ。

 あたしと信長の関係は、誰にも知られてはならない。

 あたしの首筋を舐め回す信勝。
 あたしは畳に突き刺さる刀に、ゆっくりと指を近づける。

 信長様……
 自害するあたしを、お許し下さい。
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登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

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