第3話

文字数 421文字

 私は驚いて、ふたつのサボテンの位置をいろいろに動かした。その結果、サボテンたちはそれぞれ違う放送を受信していることがわかった。しかも、配置によっては受信していない方がスピーカーとなるらしく、音が大きくなるのである。
 おじいさんはこのことを知っていたのだろうか。私は、おじいさんの遺言を受けとったような気がした。
 学校がはじまり、夏休みの自由研究としてサボテンラジオのことを発表した。私の研究は校内で優秀賞をとり、地元の新聞が取材に来た。サボテンを連結したのは私が初めてだったのだ。
 その取材を通じて知ったことだが、実はサボテンラジオの原理はよくわかっていないらしい。しかし、どういうわけか本気で研究する人がいないのだそうだ。
 私はサボテンラジオにとりつかれた。図書館でサボテンの本を読みあさり、サボテンの生態や栽培方法についてありとあらゆる知識を詰め込んだ。アルバイトができる年齢になると、手にした金はすべてサボテンにつぎこんだ。
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