第61話アイドルコンサート爆破②

文字数 1,203文字

アイドルグループ「ニュー・プリンセス」コンサート開演前になった。
※「プリンセス」は、涙の再出発として、グループ名を「ニュー・プリンセス」に改名した。
後楽園ドームは、オタクたちで超満員、関係マスコミも相当多い。

芳樹たちは、今回は会場に入らず、隣の高層ホテルの一室にいる。
(大規模爆発のための、爆薬は、既にドーム各所に設置済み)
(ただし、爆薬を使うことは、由紀に伏せてある)
ドームの天井付近にドローンを数機飛ばし、備え付けた高性能カメラを経由して、ドーム内を見ている。

麻友が「そろそろかな」とつぶやくと、ドーム全体の照明が消えた。
ざわついていたオタクたちも、一斉に口を閉じた。

新センター里奈の、モノローグが静かに始まった。
「皆様・・・」
「本日は、これほどまでに多くのご来場・・・」
(里奈の声は、涙声に変わった)
(がんばれよー!の声がオタクから掛かった)

「あれほどの恥ずかしい・・・ごめんなさい・・・」
会場内から、応援の拍手が起き始めた。

里奈は続けた。
「もう・・・決して・・・裏切りません」
「私たちを信じて・・・」

ステージの照明が、明るくなった。
アイドル全員が、純白のドレス姿。(ただし、踊るのでスカートは短い)

一曲目「ニュー・プリンセス・ワールド(新曲)」が、軽快に始まった。

茜は、プッと吹いた。
「曲の名前と歌詞を変えただけ」
「踊りも揃っていない」

夏子も、呆れた。
「やはり、枕営業三人娘の抜けた穴は、大きいのかな」
由紀は、途中から見ていない。

「トイレ」と言って帰って来ない芳樹が気になっている。

一曲目「ニュー・プリンセス・ワールド(新曲)」がオタクたちの大きな拍手(中には泣いているオタクも多い)を受けて終わった。

麻友は、清水亜里沙に確認した。
「これから?」
清水亜里沙は、フンと鼻を鳴らす。
「まあ、予定通り」

その直後だった。
後楽園ドームの大スクリーンに、「予定通り」、新センター里奈の「枕営業動画」「ホスト通いの動画」「香澄、陽奈、姫乃への陰口動画」「喫煙動画」が大音量で連続暴露された。

またしても騒然となるコンサート会場であったが、今回は様子が違った。
何より、ドームの各出入口が完全に施錠され、会場から出られなくなってしまったのである。

間髪入れず。大惨劇が発生した。

ドーム内各所に設置された爆薬が、同時に爆発した。
ドーム内は、白煙に包まれ、ドローンのカメラからは、詳しい状態が全くわからない。

由紀は、清水亜里沙を、きつく睨みつけた。
「神経性のガスって言ったよね」
「あの爆発音は何?」

清水亜里沙は、にっこりと笑った。
「何だろうねえ・・・自分で確認したらどうなの?」

怒り顔になる由紀を見て、麻友、夏子、茜はプッと吹いた。
麻友
「由紀、何をボケてるの?」
夏子
「ほんとうに、おめでたいなあ、あんたって」

「結局、苦労知らずのお嬢様だよ」

タジタジとなる由紀のスキに乗じて、清水亜里沙は由紀の首筋に注射器を突き立てている。
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