ソラリス教・合同調査依頼
文字数 1,677文字
拝啓、母さん。
お久しぶりです、ジミナ村ではそろそろイラカの花が咲く頃でしょうか。
僕はこっちで新しくアパートを借り、冒険者稼業も……うん……まぁ順調です。
だけど最近少し困った事が起こりました。それは――
だぁから! なんでダメなんだよっ! このクエスト条件的にはピッタリじゃねーか
あのですね、その制限項目読みました?『メンバーに最低一人以上、魔法職が居ること』ってなってるでしょう
もーやめてくださいよ! どうしてクエスト相談の度にケンカしてるんですかっ。パーティーの仲間なんですから、仲良くしようとは思わないんですか!
ケッ、いつの間にか勝手に組まされてたチームだけどな
ぐぬぬぬぬ、僕だって被害――不本意だったんですよ! ギルマスさんが勝手にですね!
僕が付けたんじゃないですってば! あれも話の流れで
――あら、珍しいお客様ね
――失礼、貴女がここのマスターか? 突然の来訪お許し願いたい。火急の話がある、少し時間を頂けないだろうか
ん~? あ、思い出した。あれソラリス教の聖騎士ですよ
ほら、北地区に貴族院があるじゃないですか。そこが出資してる教会に属する聖騎士の軍があって、要は貴族の依頼をこなす専門のギルドってとこでしょうか。ここライゼンの警備も務めてるとかで、かなりの権力を持ってるんです
えへへへ~、実は都会に行こうと決めたとき、聖騎士団も視野に入れてたんですよ。まぁ貴族のツテがないと入団試験すら受けられないって聞いて諦めたんですけど
ケッ、貴族のお偉い聖騎士サマがこんな冒険者ギルドに何の用なんだか。要は商売敵じゃねぇか。アイツらに仕事取られたらこっちに回ってこねぇっつの
哀れな物だな、本物の食事を口にせず朽ち果てていくとは
ヴェルナーさん聖騎士ですよ! 下手なこと言って牢にブチこまれたらどうするんですかっ
うるせぇ! ここの食事はライゼンじゃ一番美味いんだ。喰いもしねぇで勝手なこと言ってんな!
おぉマルカ先輩。いやなに、庶民の食生活とはどのようなものかと。予想通り貧困なようです
マスターさん! 前々から思ってたけどわざと言ってません!?
ふふふ、ちょうどよかった。紹介するわマルカさん、この子たちがさっき言ってたチームよ
えぇ、ライゼンギルドの期待の新星。その名も『毎日が地獄』チームよ!
マスターさん、ホント今さらですけど何でこんなチーム名にしたんですか!?
え? だってヒュウ君言ってたじゃない「ここ最近毎日が地獄だ」って
今回、我がソラリス聖騎士団とこちらのギルドで合同調査を行う事になってな、クエストという形でこちらに頼みに来た
申し遅れた、聖騎士団・第五部隊隊長のマルカだ。そしてそこに居るのが――
聖騎士団・第五部隊所属ポティマスと言う。気安く呼んでくれるなよ、庶民
こちらのギルドマスターにそれ相応の実力を持ったチームを紹介してもらってな
国からの依頼だ。今回の件、引き受けてはくれないだろうか
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