予言師サタドゥール
文字数 541文字
予言師サタドゥールの城の奥に一匹の金色の蛇と一羽の穴ウサギがいた。
「ジャファール様。やつら6種族は予言の地へ向かいました。」
ルビー色の目をした穴ウサギが、蛇に告げた。
「わかった。ウトミーヤ、お前はもうしばらくやつらを見張れ。赤い月の予言の日まではまだ時間がある。」
蛇は赤い二股の舌を時折見せながらウサギに命じた。その割れた舌の根元には黒い玉の模様があった。
ウサギは飛び跳ねながら部屋を出て行った。蛇はウサギが城を出たのを確かめると、奥のベッドに横たわる人間に近づいていった。そしてその首元に牙を立てた。人間の額に黒い目の模様が浮き出た。蛇が離れると、その人間はゆっくりと起き上がった。サタドゥールだ。彼は険しい形相で壁の大きな鏡に写る自分の顔を睨むと、額の模様に満足した。
蛇の『器』、それがジャファールだった。ジャファールの目的は自ら獣となって大地を支配することだった。獣の復活ができるのは麒麟の知恵をもつ人だけだ。そこで、ジャファールは人の空の『器』だったサタドゥールを、己の毒で蛇の『器』へと変えた。そして二度と封じられることのないように、人の『器』を森の人々もろとも葬り去ろうとした。が、失敗すると同じ玄武の力を分けた穴ウサギのウトミーヤを引き入れた。
「ジャファール様。やつら6種族は予言の地へ向かいました。」
ルビー色の目をした穴ウサギが、蛇に告げた。
「わかった。ウトミーヤ、お前はもうしばらくやつらを見張れ。赤い月の予言の日まではまだ時間がある。」
蛇は赤い二股の舌を時折見せながらウサギに命じた。その割れた舌の根元には黒い玉の模様があった。
ウサギは飛び跳ねながら部屋を出て行った。蛇はウサギが城を出たのを確かめると、奥のベッドに横たわる人間に近づいていった。そしてその首元に牙を立てた。人間の額に黒い目の模様が浮き出た。蛇が離れると、その人間はゆっくりと起き上がった。サタドゥールだ。彼は険しい形相で壁の大きな鏡に写る自分の顔を睨むと、額の模様に満足した。
蛇の『器』、それがジャファールだった。ジャファールの目的は自ら獣となって大地を支配することだった。獣の復活ができるのは麒麟の知恵をもつ人だけだ。そこで、ジャファールは人の空の『器』だったサタドゥールを、己の毒で蛇の『器』へと変えた。そして二度と封じられることのないように、人の『器』を森の人々もろとも葬り去ろうとした。が、失敗すると同じ玄武の力を分けた穴ウサギのウトミーヤを引き入れた。