第二十一曲 テンポ・ディ・ポラッカ(ポロネーズ)あるいは乾杯の踊り (1)
文字数 628文字
「王子は、黒鳥と結ばれるといいと思うんですよね」
黒鳥?
「うん、オディールと」
どうして?
「オディールのほうが、えっちが上手そう」
……!
「リードしてくれそう。あと、いろんなことしてくれそう。オデットは泣いてばっかりでつまんない。あとがめんどくさいタイプ」
にこにこしながら、シュネッケをつまんでいます。
「あとね」とフリーディ。「魔王さんは、王子のお母さまと再婚するといいと思う」
……!!
「だって二人ともフリーでしょ。ちょうどいいよ。大人どうし」
ああ、まあね。
「名案でしょ。あんがいさ、二人は前からつきあってたりするんだよ」
……。(恐るべし、少年。)だけど、オデットだけ余っちゃうよ。
「うん」
かわいそうじゃない? オデット。
「えーとね。オデットが湖のほとりで泣いてるとね、男の白鳥が来るの。さすらいの」
さすらい。
「すごいかっこいい男の白鳥。でね、『お嬢さん。どうして、泣いてるんですか』みたいな。それで『一晩、泊めていただけませんか』ってなってね、『おれの卵を生んでくれませんか、お嬢さん』って」
少年!!
「で、二人は結ばれて、いっしょに南へ飛んでいくの。やった、完璧」