第37話 母の心霊体験は認知バイアスか、もしくは

文字数 830文字

(前回、遺骨の話が出たので、そのつながりで)

 先日久し振りに、会社帰りに実家に寄ったときのこと。帰り際、母が、
「実は幽霊が出たんだよ」

 母は思い込みが激しい。はじまった、と思ったけど驚いた風に聞いてみた。
「え?ここで?」

 母の話を要約する。

① 1か月前のこと、夜、1階の居間から2階の寝室へ移動する際に、大きな影が背後にぴったりついてくるようになった。(寝室には入らないとのこと)

② 怖くて仕方ないので、心霊方面に詳しい友達に相談した。

③ 友達の紹介で、リタイアした占い師に電話して相談してみた。

④ 占い師が言うには、
「近所で亡くなった男性が、成仏できずにあなたを頼ってきているようです」

「成仏してもらうために、仏壇にお線香をあげるとき、いつもの本数に1本追加してあげてください。あげるだけで、特段祈ったりしなくてもいいです。すぐに成仏して離れます」

「1週間ほどで気配が消えるでしょう。消えたら、お線香は元の本数に戻してください」


母「本当に1週間くらいだったかな?消えたんだよ!」
私「へえ~!成仏していないのって、誰なの?」
母「誰だと思う?」
私「ぜんぜんわかんない」
母「○○の旦那さんだよ!ほら、奥さんが遺骨を納骨しないで家に置きっぱなしだから、旦那さん成仏できないんだよ!」

 一応驚くプレイをしましたよ。
近所の奥さんが旦那さんの遺骨を納骨しないで手元に置いているという話は、母にとってはあり得ないというか、とても気に障る話らしく、何度も聞いたことがありました。

 この心霊現象は、母が「納骨しないから縁起悪いことが起きるに違いない」って強く思い込んでいることが引き金になっているんですよね。
でも解決したみたいでよかったです。電話相談も無料だったらしいし。

 別に遺骨を家に置いておくのは違法ではないし、悪いことが起きるというのも迷信です。

 ……今、1つの疑惑が……
幽霊は別に怖いとも思わないけど、これ、認知バイアスの話じゃなくて、認知症絡みだったら超怖い話だな。



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