第33話 卑弥呼復活?
文字数 2,008文字
「それで、これからどうするんだっけ?」
信二の言葉に全員がハッとして我に返る。
「ツアーのルールでは、邪馬台国にたどり着いて、そこで邪馬台国に関する重要な道具をかざすと邪馬台国が復活する、だったわね」
弥生がツアーの前に説明されたことを思い出す。
「重要な道具というと、途中で手に入れたこれかなあ」
信二が、対馬国で手に入れた銅矛を出す。
「伊都国で手に入れたこれもですかね」
金次郎が、伊都国で見つけた銅鏡を出す。
「あとは当然これよね」
弥生が、奴国の黄金の川で拾った金印を出す。
「この三つをかざせばいいんですね」
伊代が三人を見てうなずく。
道具を持っている三人は道具を天に向かって、といっても洞窟の中だが、かざした。
「えいっ!」
三人はしばらくの間じっとしていた。
ところが、何も変わった様子はなかった。
「邪馬台国は復活したんでしょうか……」
金次郎が疑わしそうな顔をして言う。
「そんな感じはしないな」
信二の言葉に全員が拍子抜けしたようにうなずく。
「やっぱりこの道具じゃないのかしら……立ち寄らないで通り過ぎた一支 国や、奴 国のあとにあったはずの不弥 国と投馬 国に、別の重要な道具があったのかしら」
弥生がため息をつく。
「そもそも、どんな道具で、いくつあるかもわからない物を探すなんて無理だぜ」
信二がふてくされた顔をする。
「三つとも邪馬台国に関係する道具だと思うんですけどねえ」
金次郎もがっかりして抜け殻のようになっていた。
「あそこ」
そのとき、ふと伊代が宮殿のほうを指さした。全員が宮殿のほうを見る。
「復活といういわば儀式を行うわけですから、邪馬台国の敷地の中ならどこの場所でもいいってわけじゃなくて、宮殿というか神殿のようなところでやるんじゃないでしょうか?」
「そうよ。伊代ちゃんの言うとおりよ」
弥生がうなずく。
「あそこの宮殿に入ってみましょう」
弥生が宮殿を指す。
宮殿に近づいてみると、そこは王の住まいというよりも、神様を祀る神殿のような場所だった。近くにいるだけでも何か神聖な空気と不思議なパワーを感じる場所だった。
四人は緊張した面持ちで神殿の中に入る。
神殿の中は予想以上に広い空間だった。そして、張り詰めた空気が流れていた。
「あそこに何かあります」
伊代が奥のほうを指さす。そこには台座のような物が三つ置いてあった。三つの台座はそれぞれ、ちょうど三角形の三つの頂点の位置に置いてあった。
「三つの台座!」
四人が顔を見合わせる。
「俺たちが持っている道具は三つだったよな」
信二の声が震えている。
「銅矛、銅鏡、金印の三つよね」
弥生の声も上ずっている。
「つ、つまり、この台、台座に三つの道、道具を置くと……」
金次郎も緊張のあまりうまく話せない。
道具を持っている三人はうなずいて、一斉にそれぞれの道具を台座に置いた。
しかし、ここでも何も起こらなかった。
「場所が決まっているのかしら?」
三人は道具を置く位置を変えてみた。すべての位置で試してみたが、やはり何も起こらなかった。
「やっぱり道具が違うのかなあ」
信二があきらめたようにつぶやく。
「せっかくここまで来たのに……」
金次郎もうなだれている。
そのとき、それまで台座の外で三人が道具を置くのをじっと見ていた伊代が、まるで何かに導かれるようにゆっくりと台座のほう近づいていった。
そして、そのまま台座のある場所へ行き、三つの台座の中心に立った。
その瞬間、伊代が首からかけていたネックレスの勾玉が急に光りだした。そして、それに呼応するように、台座の上に置いてあった三つの道具も光りはじめた。
伊代はそのままその場に立ち尽くしている。どうやら意識がなくなっているようだった。
三人は伊代を見ていたが、光がまぶしくて見ていられなくなった。あまりにすさまじいまぶしさにだったので、三人は顔を抑えて地面にうずくまっていた。
しばらくすると、光はだんだんと弱くなっていき、やがて消えた。
地面にうずくまっていた三人は、ようやく目が慣れてきて台座のほうを見た。
すると、伊代の様子が何かおかしいのに気づいた。
もちろんパッと見た外見は伊代のままだったが、表情や立ち姿、何よりも全体の雰囲気が全くの別人のように変わっていた。
「伊代ちゃん?」
弥生が伊代に声をかけたが、返事はなかった。
すると、それまで目を閉じていた伊代が、急に目を大きく見開いて叫んだ。
「私は卑弥呼。私は今、復活した。皆の者、目覚めよ。邪馬台国は復活した!」
あまりにもびっくりして、三人はその場に座り込んでしまった。驚きのあまり動くことも声を出すことも全くできなかった。
伊代が卑弥呼になってしまった……
信二の言葉に全員がハッとして我に返る。
「ツアーのルールでは、邪馬台国にたどり着いて、そこで邪馬台国に関する重要な道具をかざすと邪馬台国が復活する、だったわね」
弥生がツアーの前に説明されたことを思い出す。
「重要な道具というと、途中で手に入れたこれかなあ」
信二が、対馬国で手に入れた銅矛を出す。
「伊都国で手に入れたこれもですかね」
金次郎が、伊都国で見つけた銅鏡を出す。
「あとは当然これよね」
弥生が、奴国の黄金の川で拾った金印を出す。
「この三つをかざせばいいんですね」
伊代が三人を見てうなずく。
道具を持っている三人は道具を天に向かって、といっても洞窟の中だが、かざした。
「えいっ!」
三人はしばらくの間じっとしていた。
ところが、何も変わった様子はなかった。
「邪馬台国は復活したんでしょうか……」
金次郎が疑わしそうな顔をして言う。
「そんな感じはしないな」
信二の言葉に全員が拍子抜けしたようにうなずく。
「やっぱりこの道具じゃないのかしら……立ち寄らないで通り過ぎた
弥生がため息をつく。
「そもそも、どんな道具で、いくつあるかもわからない物を探すなんて無理だぜ」
信二がふてくされた顔をする。
「三つとも邪馬台国に関係する道具だと思うんですけどねえ」
金次郎もがっかりして抜け殻のようになっていた。
「あそこ」
そのとき、ふと伊代が宮殿のほうを指さした。全員が宮殿のほうを見る。
「復活といういわば儀式を行うわけですから、邪馬台国の敷地の中ならどこの場所でもいいってわけじゃなくて、宮殿というか神殿のようなところでやるんじゃないでしょうか?」
「そうよ。伊代ちゃんの言うとおりよ」
弥生がうなずく。
「あそこの宮殿に入ってみましょう」
弥生が宮殿を指す。
宮殿に近づいてみると、そこは王の住まいというよりも、神様を祀る神殿のような場所だった。近くにいるだけでも何か神聖な空気と不思議なパワーを感じる場所だった。
四人は緊張した面持ちで神殿の中に入る。
神殿の中は予想以上に広い空間だった。そして、張り詰めた空気が流れていた。
「あそこに何かあります」
伊代が奥のほうを指さす。そこには台座のような物が三つ置いてあった。三つの台座はそれぞれ、ちょうど三角形の三つの頂点の位置に置いてあった。
「三つの台座!」
四人が顔を見合わせる。
「俺たちが持っている道具は三つだったよな」
信二の声が震えている。
「銅矛、銅鏡、金印の三つよね」
弥生の声も上ずっている。
「つ、つまり、この台、台座に三つの道、道具を置くと……」
金次郎も緊張のあまりうまく話せない。
道具を持っている三人はうなずいて、一斉にそれぞれの道具を台座に置いた。
しかし、ここでも何も起こらなかった。
「場所が決まっているのかしら?」
三人は道具を置く位置を変えてみた。すべての位置で試してみたが、やはり何も起こらなかった。
「やっぱり道具が違うのかなあ」
信二があきらめたようにつぶやく。
「せっかくここまで来たのに……」
金次郎もうなだれている。
そのとき、それまで台座の外で三人が道具を置くのをじっと見ていた伊代が、まるで何かに導かれるようにゆっくりと台座のほう近づいていった。
そして、そのまま台座のある場所へ行き、三つの台座の中心に立った。
その瞬間、伊代が首からかけていたネックレスの勾玉が急に光りだした。そして、それに呼応するように、台座の上に置いてあった三つの道具も光りはじめた。
伊代はそのままその場に立ち尽くしている。どうやら意識がなくなっているようだった。
三人は伊代を見ていたが、光がまぶしくて見ていられなくなった。あまりにすさまじいまぶしさにだったので、三人は顔を抑えて地面にうずくまっていた。
しばらくすると、光はだんだんと弱くなっていき、やがて消えた。
地面にうずくまっていた三人は、ようやく目が慣れてきて台座のほうを見た。
すると、伊代の様子が何かおかしいのに気づいた。
もちろんパッと見た外見は伊代のままだったが、表情や立ち姿、何よりも全体の雰囲気が全くの別人のように変わっていた。
「伊代ちゃん?」
弥生が伊代に声をかけたが、返事はなかった。
すると、それまで目を閉じていた伊代が、急に目を大きく見開いて叫んだ。
「私は卑弥呼。私は今、復活した。皆の者、目覚めよ。邪馬台国は復活した!」
あまりにもびっくりして、三人はその場に座り込んでしまった。驚きのあまり動くことも声を出すことも全くできなかった。
伊代が卑弥呼になってしまった……