第8話 おしゃれ
文字数 1,374文字
「せいちゃんの髪、サラサラできれい」
「えへへ、ありがと」
手にとった髪が、するりと指を通り抜ける。セミロングのせいちゃんの髪は、真っ白できらきらしていて、なんだかすごく神秘的だ。
「ちょっとじっとしててね」
「えー、なにするの」
「いいから、せいちゃんをもっと可愛くしたげる」
サイドの髪束を取って、やさしく、三つ編みを作る。うん、かわいい。めっちゃかわいい。
「できたよ!」
「ん」
せいちゃんは、編んだ部分をそっと撫でるようにさわっている。
「鏡で見てごらん」
せいちゃんは、洗面所へとふわふわとんで行った。ほどなくして、「わあっ」と嬉しそうな声をあげた。
「聖良ってすごいね!」
洗面所に入ると、せいちゃんは私のことを褒めてくれた。誰かのヘアアレンジなんて、なかなかしないから、なんだか嬉しくなる。
「聖良はやらないの?」
「私は、せいちゃんみたいに似合わないよ」
「そうかなあ、聖良も似合うと思うけどなあ」
じっと鏡越しにせいちゃんを見ていたら、私の中にある企みが湧き上がってきた。
「せいちゃん、もっともっと可愛くなろう」
「え?」
「服、買いに行こっ」
名付けて、せいちゃんおしゃれ化計画だ。そのまんまか。
最近こそ少しずつ外出するようになったものの、これまであんまり、外に出てなかったから、せいちゃんの服も満足に買ってあげられてない。
取り急ぎネットで注文したいくらかの私服に、パジャマだけ。あとは初めから来ていた一張羅のワンピースくらい。
「今までほとんど買ってあげられなかったからさ、ごめんねえ」
「えぇ、そんな、気にしないよ」
せいちゃんはそう言ったけど、乗り気な私を見てか、だんだんその気になったみたいだ。
そんなわけで、街のショッピング街までやってきた。服とか、帽子とか、アクセサリーとか、いろんなものを見て回る。
「気になるの、ある?」
「うーん、あれとかかわいくない?」
「だよね!」
私がかわいいって思うものは、せいちゃんもかわいいって思うはずだ。私自身だったら似合わないかな、とか思っちゃうけど、せいちゃんは何着てても何つけてもきっとかわいい。でも、せいちゃん自身はどう思ってるんだろう。
「気に入ったのがあったら、教えてね」
「うん!」
それから、しばらくいろんなものを見て回った。
「聖良、あの色好き」
せいちゃんは、少し淡い、桜色のジャケットを指さす。
「わかった、試着してみよっか」
ファッションショーみたいで、楽しい。どれも可愛いし、似合ってる。
いくつか、気に入ったものを見繕って、私たちはお店を後にした。
「聖良は買わないの?」
「うん、私はいいかなあ」
フードコートでお昼を食べていたら、せいちゃんがそう尋ねてきた。
そういえば久しく、おしゃれにお金を使ってないなあ。
「ええー。聖良とおしゃれして、お出かけしたい!」
「そ、そっかあ」
それじゃあ、何か少しだけ見て帰ろうかな。最近はファッションに無頓着すぎると、自分でも思う。 昔は、おしゃれがお出かけのモチベーションのひとつだったのになあ。
髪も、伸ばしっぱなしだし。ちょっと思い切って、短くしちゃってもいいかもしれない。お出かけの意欲も出てくるようになったし、ちょっとずつ、ちょっとずつね。
「それじゃ、もうちょっとお買い物に付き合ってくれる?」
「うん!」
せいちゃんは、元気よくうなづいてくれた。
「えへへ、ありがと」
手にとった髪が、するりと指を通り抜ける。セミロングのせいちゃんの髪は、真っ白できらきらしていて、なんだかすごく神秘的だ。
「ちょっとじっとしててね」
「えー、なにするの」
「いいから、せいちゃんをもっと可愛くしたげる」
サイドの髪束を取って、やさしく、三つ編みを作る。うん、かわいい。めっちゃかわいい。
「できたよ!」
「ん」
せいちゃんは、編んだ部分をそっと撫でるようにさわっている。
「鏡で見てごらん」
せいちゃんは、洗面所へとふわふわとんで行った。ほどなくして、「わあっ」と嬉しそうな声をあげた。
「聖良ってすごいね!」
洗面所に入ると、せいちゃんは私のことを褒めてくれた。誰かのヘアアレンジなんて、なかなかしないから、なんだか嬉しくなる。
「聖良はやらないの?」
「私は、せいちゃんみたいに似合わないよ」
「そうかなあ、聖良も似合うと思うけどなあ」
じっと鏡越しにせいちゃんを見ていたら、私の中にある企みが湧き上がってきた。
「せいちゃん、もっともっと可愛くなろう」
「え?」
「服、買いに行こっ」
名付けて、せいちゃんおしゃれ化計画だ。そのまんまか。
最近こそ少しずつ外出するようになったものの、これまであんまり、外に出てなかったから、せいちゃんの服も満足に買ってあげられてない。
取り急ぎネットで注文したいくらかの私服に、パジャマだけ。あとは初めから来ていた一張羅のワンピースくらい。
「今までほとんど買ってあげられなかったからさ、ごめんねえ」
「えぇ、そんな、気にしないよ」
せいちゃんはそう言ったけど、乗り気な私を見てか、だんだんその気になったみたいだ。
そんなわけで、街のショッピング街までやってきた。服とか、帽子とか、アクセサリーとか、いろんなものを見て回る。
「気になるの、ある?」
「うーん、あれとかかわいくない?」
「だよね!」
私がかわいいって思うものは、せいちゃんもかわいいって思うはずだ。私自身だったら似合わないかな、とか思っちゃうけど、せいちゃんは何着てても何つけてもきっとかわいい。でも、せいちゃん自身はどう思ってるんだろう。
「気に入ったのがあったら、教えてね」
「うん!」
それから、しばらくいろんなものを見て回った。
「聖良、あの色好き」
せいちゃんは、少し淡い、桜色のジャケットを指さす。
「わかった、試着してみよっか」
ファッションショーみたいで、楽しい。どれも可愛いし、似合ってる。
いくつか、気に入ったものを見繕って、私たちはお店を後にした。
「聖良は買わないの?」
「うん、私はいいかなあ」
フードコートでお昼を食べていたら、せいちゃんがそう尋ねてきた。
そういえば久しく、おしゃれにお金を使ってないなあ。
「ええー。聖良とおしゃれして、お出かけしたい!」
「そ、そっかあ」
それじゃあ、何か少しだけ見て帰ろうかな。最近はファッションに無頓着すぎると、自分でも思う。 昔は、おしゃれがお出かけのモチベーションのひとつだったのになあ。
髪も、伸ばしっぱなしだし。ちょっと思い切って、短くしちゃってもいいかもしれない。お出かけの意欲も出てくるようになったし、ちょっとずつ、ちょっとずつね。
「それじゃ、もうちょっとお買い物に付き合ってくれる?」
「うん!」
せいちゃんは、元気よくうなづいてくれた。