詩小説『雨降りの海』3分の黄昏時。全ての大人へ。

エピソード文字数 418文字

雨降りの海

なんで季節外れの海なんだろう?
なんで君だったんだろう?

ビニール傘を弾く雨の音。
私の心をあやすように。

一本道の防波堤に並ぶ傘。
そうして僕等は言葉を失くす。

鼠色した海は、空と混ざるよ。
あの日、届きそうな気がしたんだ。

はしゃぎすぎた季節は、大人になることを教えてくれた。

君の知らない私になって、私の知らない君になる。

なんで雨降りの海だったんだろう?
なんで恋にならなかったんだろう?

助手席は雨の匂いがした。
次のカーブを切って、左に曲がれば帰り道。

小雨を切るワイパーの音。
このまま眠りにつけたなら。

濡れてしまうというのに降ろすガラス窓。
少し風を浴びていたいの。

雨がしみるブラウスの、ボタンを外して袖を丸めた。

さよなら。黄昏時に思い返してみるの。手帳の隅に記すように。

なんで泪が流れたんだろう?
なんで最後の海ねって呟いたんだろう?

なんで季節外れの海だったんだろう?
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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