第193話 秘密の隠れ家

文字数 1,650文字





予定を変えて、ここからは再びボス視点に戻ります



よし、俺の出番だな!


めでたしめでたしってことで、祝いの壁紙だぜ!











 ねこねこファイアー組との戦いが終わって――。




 俺はジロリ組のみんなと河川敷でひと休みした後、熊介(くますけ)(ともな)い、ある場所へと向かっている。



 同行者は、副ボスのテンダ、それに偵察猫(レコねこ)のチータだ。



 チータは熊介に遠慮して、一定の距離を置いて俺たちの後を追っている。







ハァハァ……



大丈夫か?




 熊介の歩くペースが土手の道を越えたあたりで落ちてきた。



 ケガをしているから無理もねぇ。



熊介、あともう少しの辛抱だぞ!



が、頑張りますニャー!




 それから畑をまたいで、橋をまたいで、道路をいくつもまたいで……



 ようやく民家や店が立ち並ぶ一角に入った。



 ここまで来ればゴールは目前だ。



このへんは結構人間の出入りが多い場所っすね



町はずれとはいえ、観光スポットやらもあるし、人はそれなりにいるからな。

いまは夜明け前だから、ひと気はねぇが……


おっ、目的地が見えてきたぞ!



あの駐車場のある大きな建物ですニャ?



そうだ。

あれがタイコーの家だ



タイコー!?



昨日のネコの集会のときに言っただろ。

タイコーの家に集まれって



そうでしたニャ



念のため言っておくが、タイコーはジロリ組の先代ボスの母猫だ。

ちなみに、マウティスの祖母でもあるんだぜ



あのマウティス(ねえ)さんの……!



外見もちょっとマウティスに似てるな。

まぁ、タイコーはあそこまで策士(さくし)じゃねぇが……



何か気がかりなことでもあるんすか?



いや、いいんだ。

とにかく、先を急ごう




 俺はそう言って、タイコーの家に近づいた。



 熊介とテンダも後ろからついて来て、俺と同じように建物の裏側にまわり込む。



 家の裏は庭だ。芝生の四隅(よすみ)にはフェンスもあるし、道を通る人間たちに見られることはまずない。



 そのフェンスに、俺たちの後を追っていたチータが無言でそっと跳び乗った。



熊介は、タイコーの家は初だよな?



そうですニャ。

あっしは、ジロリ組に入って間もない(した)()ですからニャ



ジロリ組には、新入りや下っ端をタイコーの家に連れて行くなって決まりがあるんだよなー


一応あの家は秘密の隠れ家ってことになっているから、手当たり次第に誰でも連れて行くわけにはいかねーって言い分もわからなくはねぇが……



あっしがタイコーの家に訪ねていくのは、迷惑ってことですニャね



気にするな。

なにせ緊急事態だし、そんな細けぇことにこだわってられねぇよ




 俺は庭へズカズカと入っていくと、敷地内を半分ほど進んで足を止めた。



 フェンスのそばに、小さな建物がある。



 ガラス窓やガラス戸のついた、キレイな感じのする小屋だ。たまにこんな小屋で人間が食い物をつまみながら香りのする飲み物をのんでいるのを見かける。







ここがタイコーの家だ



エッ!?

すぐ隣に、2階建ての大きな建物もありますけど



タイコーいわく、どっちも自分のモノだそうだ



家が2つも!?

す、すごい……!



すごいような、すごくないような



どうしてですニャ?



だってなぁ……、

人間みたいにカネ払って買ったわけじゃねぇしよ



まぁ、言ったモン勝ちっすね



タイコーには、そういうフテブテしいところがあるからな


ま、とにかく呼んでみよう




 俺は小屋に向かって鳴き声を発する。



おーい、タイコー!

いるんだろー?








返事がないっすね



ボスを無視するとは……たしかにフテブテしい!



はぁ……、

寝てんのかシカトしてんのか?


こんな時間にわざわざ外出するとは考えにくいから、たぶん小屋のどこかにいるはずだ。

もう一度呼んでみるか




 今度はしっかりと大きな声を出して呼びかける。



タイコ~~~!

返事しろ~~~!





 すると――




黙りにゃさい!




 お、反応アリだ。



 小屋の中から、口調は厳しいがちゃんと声が返ってきた。



 ほどなくすると、タイコーが小屋の奥からガラス戸のほうへとやって来た。






じつは、タイコーのグラフィックがまだ決まっていないんですよね


次回までには、なんとか仕上げます



























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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