第20話 生前葬に思うこと

文字数 1,416文字

 (今回は脱力回です)

生前葬(せいぜんそう)って一時期ちょっとブームになりましたね。

 自分が元気なうちに、自分の希望のプランで、お世話になった人達へ感謝の気持ちを示して区切りをつけておきたいという……
私の中では、社会的地位の高いごく一部の高齢の方や、芸能人など特殊なメンタリティの方が行うという印象です。
あ、それから、余命宣告された方もいらっしゃるみたいです。それに対しては、なるほどと思いました。

 いまやコロナの影響で普通の葬儀ですら縮小傾向なので、生前葬は廃れているでしょうね。
もし生前葬でコロナのクラスターが発生したらシャレになりませんし。

生前葬の告別式のスケジュールについて調べてみました。下記は式の一例です。
① 開会の言葉
② 本人の挨拶
③ 乾杯
④ 自分史の振り返り(スライドなど?)
⑤ 来賓挨拶
⑥ 余興 (演奏、歌など?)
⑦ 友人からのスピーチ
⑧ 会食・ご歓談
⑨ 閉会の言葉

 別名「お別れ会」「偲ぶ会」ともいうそうですが、これだけ見ると、ほぼ「コロナ以前の結婚式」ですね。
実際に亡くなったときには、関係者へは一報し、葬儀は家族中心の密葬になるらしいです。

香典ではなく会費制にしたりなど、主催者の裁量に一任されているため、生前葬には決められたルールが無いそうです。そのため後々(のちのち)、やや混乱しそう。

生前葬をやっていても、それはそれとして、実際に亡くなれば弔問客は来ちゃいそうですよね。
お知らせを受けた人も、改めて香典を渡すべきかどうなのか迷いそう。

 新しいルールと古いルールのせめぎ合いで、最終的に古いルールが勝つのではないかと。
結局二度手間(手間って言い方ひどいですね)になって、それに伴い費用も上乗せの予感が。
これを読んでいただいている方で、生前葬を行った方がいらっしゃったら、すみません。
(いませんよね?)


***************


 ところで何故、生前葬とか言いだしたのかというと、テレビのせいである。

 夫がテレビをつけっぱなしにしてお風呂に入ったとき、ちょうどバラエティが流れていて、私は洗い物をしながらそれをぼんやり聞いていたのだが、そのタレント達のやり取りが私がイメージする『生前葬』だった。

 まず、大御所タレントがゲストで、その近くに綺麗どころの若い女優さんと俳優さん、MCは中堅お笑い芸人で、その他”にぎやかし”として足軽(あしがる)風情の芸人が多数。
大御所が独特の間合いで話す昔話や近況に、驚いたり手を叩いて笑ったり、みんな全身全霊でリアクションをとる。大御所を喜ばせろとのMCの目配せで、足軽芸人が果敢に余興に挑む。(そして犬死にしがち)
なんとなくこれ、大御所の『生前葬』みたいだな、と。

 テレビタレントと視聴者が高齢化していて、必然的に大御所ヨイショ番組が多くなると、テレビバラエティは『生前葬』テイストに傾きがちかも。


 話は変わるが、こうやって投稿するようになってから、私はお笑い芸人がネタとして使う
「あいつはM-1の1回戦落ちだ」
を笑えなくなった。

 小説投稿のM-1的なものがあったら、私は完全に1回戦落ちだから。
だってこんなに投稿サイトがあって、こんなに投稿者がいるとは驚きだった。後から後から無尽蔵にベテラン、ビギナー織り交ぜ投稿者が湧き出てくるじゃないですか。実際に入ってみないと知り得ない世界でしたね。

 ネットに広がる魑魅魍魎(ちみもうりょう)を遠巻きに見て、死屍累々(ししるいるい)を除けつつ今日もトロトロ歩く。
私は意識低い系、丸腰の足軽投稿者です。


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