アリバイ

文字数 448文字

そうして俺たちは食事を終え、店を出た。
さて、どうするかな。
殺された女、そして殺した女はレズビアンだった。
つまり、恋人同士だ。

そう自供しているのでまず間違いないだろう。
凶器も、現場に残された指紋も一致している。
予備検分ではそんな結果が出ていた。

正式な結果が分かり次第、検察に回せば問題ない。
(問題なのはアリバイがないことだ)
(自分がやったと女が証言している時刻に、その女がどこにいたのかを証明する第三者の証言がない)
こいつは分が悪いかもしれねぇ……。
どうしたんすか?
ピアノが何も考えてないような朗らかな顔で尋ねる。
(多分ホントに何も考えてないんだろうな……)
(チッ……若い奴は……)
アレだよ、アリバイだ。
何のですか?
事件のに決まってるだろ。
事件って何ですか?
今行ってきた現場のだよ!
ええっ!
そこじゃねえ!
痛っ! な、なにもチョップしなくても!
そこは今、昼メシを喰った店だよ、現場じゃねえ!
マジっすか!?
マジっす……
(相手にしてらんねえ……)
俺は仏頂面のまま、ハイライトを咥えてライターで火をつけた。
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登場人物紹介

芋山鶴お。

人呼んで「芋づるデカ」。

如月ピアノ。

新米の相棒。

警察手帳。



星だピカ子。



オバちゃん。



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