7「ぼくらは高校生」ー2

文字数 876文字

「で、あっちの高校はどうだ?」
翔太がドカッと床に腰を降ろし、持っていたサイダーをあおる。
「どうって?別に普通だよ」
優斗は定位置のPC椅子に座る。
「何が普通よ。校内模試でいきなりトップよ。信じらんない」
玲奈がまくし立てる。
「おお、流石、優斗…」
晶の目は尊敬に輝く。
「いや、もっとやり甲斐あると思ってたから…」
優斗は不満そうだ。
「…ンだよ。校内で満足してるのか?優斗らしくねぇな」
翔太は鼻でフンッと笑った、
「安藤、誰にもの言ってんのよ。○高の理数科で一位ってことは全国一に決まってるでしょ」

「ええーーーーーーー」
翔太と晶が同時にフローリングにひっくり返った。
「努力してもしなくても結果が同じなんだ。やる気出ると思うか?」
優斗は溜め息を突く。
晶は開いた口が塞がらない。
「嫌味な奴」
翔太はケッと横を向き、ペットボトルを転がす。

「こっちにいる間だけ、おまえらの勉強みてやってもいいぞ」
優斗が天使のように微笑む。
「ひゃー、そいつは有難いこって」
翔太が銀蠅のごとく手を擦り合わせる。
「ボクは必要ないな」
晶が澄まして言う。
「え?晶も一番なの?」
玲奈が驚く。

「坂巻。おまえも嫌味に磨きが掛かったな」
翔太が眉を潜める。
「ボク、勉強したくて高校入ったんじゃねぇもん」
「じゃあ何しに入ったんだよ」
「それは、自分のやりたいこと見つけるために入ってやったんだ」
「おまえシマナカの前でもそれ、言えるか?」
「そうよ。嶋中先生、晶を入れるために農林の校長室で土下座したって聞いたわよ」
「んな訳あるか。林業科定員40人だけど、ボク入れてやっとこさ20人だぞ。
「いくら定員割れの科でも、合格基準点行かなかったおまえは落とされて当然なんだぞ。それを……」

「分かった、悪かったよ。勉強してやるよ」
「やりたいことやるためには、まず勉強が必要なんだ。今日から鍛えてやる。覚悟しろ
「あ、あー、なんか変だぞ。大変だ、頭が頭痛だあ」
「そうか、良かったな。頭が腹痛になったら大変だからな」
優斗がサラリと返す。
「晶、おまえのためだ」
翔太が縄跳びの縄で晶をテーブルに縛り付ける。
「何をする。は、放せーーっ」


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