第1話 我が家にネコがやって来た(1)

文字数 2,974文字

最近ネコを飼いました 。
動物好きの長男は子供の頃からいろんなものを飼いたがっていました。
犬 はもちろんアイガモやニワトリ 、モモンガやふくろう、鷹。・・でも一番飼いたいのは乳牛なのですが。私は、
「この家でそんなの飼えるか!?」
といつも苦笑いしてました。で、結局ずっと世話が大変だからと言って、今までは小動物ばかり飼ってきました。

私は昔犬を飼っていましたが結構手がかかるヤツだったので 、もし犬を飼うならかなり決意しないと・・と思っていました。
私は動物はなんでも好きな方ですが、ネコは犬とちがってつないでおくことができないので、どこへでも行ってしまってよそ様にご迷惑をかけると思い、はじめからペットとしては除外していました。
でも、私の親友のT美ちゃんが
「今はね、ネコは室内飼いが普通で外には出さないのよ。それに、トイレとかも犬と違ってしつけなくてもちゃんとトイレでするし、散歩にも行かなくていいから犬よりよっぽど楽に飼えるのよ 。」
と教えてくれたので、ネコもペット候補にあがってきました。

私は犬を飼うなら小さい犬を、と思っていました。トイプードルとかミニチュアシュナウザーとか、ビーグルもかわいいな~なんて。
小型犬なら散歩も楽だし、便も少ないし、第一室内で飼うには我が家の大きさを考えると当然小型犬。
でも、長男は以前からゴールデンレトリバーやシェーパードなど大型犬を飼いたいと言っていたので、ネコじゃきっと納得しないなと思っていました。でも、いざ聞いてみると意外とすんなりOK 。
「オレ、ネコも好きだよ。犬だったらやっぱ大型犬だけどネコはネコでかわいいもん。」
次男に聞くと、
「あーオレどちらかというとネコがいいんだぁ。犬って激しいでしょ・・実はあれ苦手なんだよね。」
なーるほど、確かに犬は大喜びで飼い主に飛びかかってきたりするわねぇ。テンション高い、て感じ。後は主人・・
「ネコねぇ。オレは犬がいいかなぁ。ネコってなんかつかみどころがない感じ ?」
一人犬を主張しましたが、だからと言って自分が率先して散歩に行く気はない様子。ヤレヤレ。

どっちがいいのかな~と思って早数か月。まぁそのうちに、と思っていたある日。家族で外食に行った帰りに、ペットショップに寄ってみようということになりました。
たいていペットショップは人気の度合いを反映して7~8割方犬がおいてあるので、どちらかというとネコの数は少ないところが多いのですが、その日は特別に《ペットまつり》と称していつもよりも多く生体を置いている、とチラシが入っていたからです。

行ってみると確かにたくさんの犬・ネコがいました。割合にするとやっぱり犬が多いのですが、ネコも結構いました 。人気のアメリカンショートヘアやスコティッシュフォールド、マンチカンもいました。

どれもかわいいー

私たちは思い思いに見て回っていたのですが、ふと気付くと長男が見当たらない。探してみると、店の奥の角の下段のガラス張りのウィンドウに釘付けです。見ると白っぽい子ネコがいます。
近づいて肩をたたくと、振り返った長男の目がキラキラ 。
「オレこれがいい。絶対コイツ飼う 」
「え!?」
「見て!コイツいいでしょ?うまく言えないけどぜったいコイツ ?」
何がそんなに息子のハートを射たのかわかりませんがもう夢中です。


種類:アメリカンカール
誕生日:7月1日生まれ
出生地:岡山
♂♀:オス
カラー:クリーム
その他:耳立ち


子ネコのゲージにはこんな札がかけられていました。見るとかわいらしい瞳で私を見上げています。
目はブルーにルビーのような深紅の瞳、全身はクリーム色ですが、耳の後ろ側と鼻としっぽが薄いこげ茶色で(後に知ったのですがポインテッドという毛色でした)、シルクのように光沢のあるやわらかい毛並み。きれいなネコちゃんです。
「・・・ところでさ、アメリカンカールってどんなネコなの?」
大急ぎで長男が携帯で調べると、

1980年代にアメリカで拾われたネコの耳が外側にカールしていて、そのネコの子供の半数がその特徴を保有していた。その後交配を進め、アメリカンカールという品種となった

というまだ新しい種類のようでした。

「でも・・・カールって、この子フツーの耳じゃん 。」
ちょっと大きめですが一般的なネコの耳をしていました。
「だから、耳立ちって書いてあるじゃん。オレはアメリカンカールが欲しいんじゃなくて

が欲しいの 」
「・・・」
そこへ主人と二男もやってきました。
「どう思う?」
私が言うと
「そんな急に何の準備もしてないのに買って大丈夫なの ?」
と主人。

我が家は衝動買いはほとんどありません。
家電を買うときも、まずPCで下調べをして候補の機種を絞り込み、その後下見に行ってカタログを入手し、家で細かい数値などをチェック。買う機種を決めるとネットで価格のリサーチ後、その価格を目安に家電量販店をハシゴして納得できたら購入。
とまぁ、いつもこんな感じなので躊躇したのです。しかも生き物ですからね 。子供たちもそのことはよくわかっていると思うのですが、なぜかこの日は強硬に主張する長男。

いろいろ不安もあったのですが私の中ではこんな気持ちもありました。
ネコやイヌを買えば10年以上一緒に暮らすことになります。子供たちはもう中学生と高校生です。
もしかしたらあと何年かで家を出て行くことになるかもしれません。早く飼わないと一緒にいられる時間は短くなるばかり。
それに、衝動買いはよくないかもしれませんが家電と違って、このネコちゃんは今ここにしかいないのですから。「出会い」なのかもしれないな、と思いました。
それに・・・実は長男はこういうことには結構見る目があるんですよね~。ここは長男を信じてこのネコちゃんを我が家の三男坊にしてみようか。

そのことを主人に話すと、主人も納得してくれたのでその場で購入することを決めました。
保険のことや予防接種のこと、万が一先天性の病などで死んだ場合のことや飼育について・・・なんせなんの準備もなかったので、もう店員さんを質問攻めです 。購入を決めてから小一時間くらいかかりましたかね、ペットショップを出たのは。
その足で今度はケージやトイレなどとりあえず必要なものを大急ぎで買って帰宅しました。その日はもうてんてこ舞いでした 。

今家に来て2カ月になりますが、もう~家族みんなで文字通りネコっかわいがりです。ネコを飼うのが初めてなのでよくわかりませんが、本当に手がかからなくてビックリです。
ごはんもよく食べるし、トイレの失敗も一度もないし、飼った翌日からお留守番もできるし、みんなに平等に甘えるし 。長男の目にやっぱり狂いはなかったのかな と思います。

ちなみに・・我が家のこのネコちゃんには血統書がついていました。でも・・・と私は思いました。耳がカールしているわけでもないこの子に
「アメリカンカールの血統書」が必要あるのかなぁ ・・と。
また、せっかくペットショップで買うなら誰が見ても
「ア、この子○○て品種ね」
と言われるようなネコを買った方がよかったかな~?飼ってしばらくは、そんな雑念が出てしまう自分に反省。

でも、今ではあの時長男が言った
「アメリカンカールが欲しかったんじゃなくてこの子がよかった」
という言葉、それは家族みんなの気持ちです 。




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み