第1話(一話完結)
文字数 3,481文字
「もうたくさんだ、こんな事。こんな悲劇を繰り返して誰が得すると言うんだ。この戦いにはこんな悲劇をカバーするほどのメリットがあるというのか?」
泡を吹いて倒れる子蟹の前で、カニ次郎は嘆き悲しみ座り込んだ。
猿と蟹の因縁話はご存知だろう。猿に柿の木を騙し取られ、挙げ句の果てに青柿をぶつけられて殺された母蟹の仇を臼、蜂、栗、牛糞の助けを借りた子蟹が取るという話だ。
その後日談については文豪の芥川先生が書いておられる。仇討ちを果たした子蟹が私憤による殺人罪で死刑に処されたとのこと。
この話はその続きの話。
冒頭で嘆き悲しんだカニ次郎は芥川先生に愚物と切り捨てられ説明さえも省かれた死刑蟹三男の次男坊。つまりは死刑蟹の孫ということになる。
そんなカニ次郎の目前で起こった悲劇の事情とその後の話。それを今から見ていこう。
死刑蟹三男は確かに愚物であったのだが、その子らは実に優秀だった。特に長女のカニ子は人望ならぬ蟹望もあり、蟹の国のリーダーとなっていた。
「おいサル介、いい加減に柿の木を返しなさいよ」
カニ子は柿の木に登るサル介に啖呵を切った。
「何言ってんだい、木にも登れない蟹のくせに。蟹なんだから海にでも行って小魚でも食っとけよ」
サル介はそう言うと青柿を思い切りカニ子に投げ付けた。その時だ。
バチーン
カニ子に当たる直前で青柿が何かに当たり弾け飛んだ。栗だ。
「カニ子さん。大丈夫でしたか?」
「ありがとう栗さん、大丈夫よ」
カニ子は爪で冷や汗を拭き取りながらサル介を睨みつける。
「私はひいばあちゃんとは違うのよ。同じ手でやられると思ったら大間違いよ」
「何を、蟹のくせに。今度こそっ」
サル介がもう一度青柿をぶつけようと振りかぶったその時、
「痛いっ」
サル介が叫んだ。サル介の尻には針を突き刺す蜂の姿が。
「何をっ」
「カニ子さんに手を挙げるなんて許さないぞ!」
蜂はそう言うと更に深くまで針を刺した。
「いっ、痛い。くそっ、覚えてやがれ」
そう言うとサル介は山の棲家へと帰っていった。
「ありがとうみんな。お陰で柿の木を取り返せたわ」
「御協力できて良かったです。これでしばらく猿も来ないでしょう」
「そうかしら、猿も諦めが悪いし、何より強いからね。心配だわ」
「大丈夫ですよ。臼さんも牛糞さんも正しいのは蟹さんなんだから思い切って戦えば良いと言ってくださってますし。正義は蟹さんにありますよ」
「ありがとう、頑張るわ」
しかし、カニ子の心配は現実のものとなった。サル介率いる猿の大軍が攻めてきたのだ。
カニ子も弟のカニ次郎や仲間の蟹を集め、諦めずに抗戦する。
その戦いは一進一退、熾烈を極め、猿蟹共に多くの犠牲者を出していった。お互いが疲弊しそれぞれの中でも厭戦ムードが大きくなりかけた頃、冒頭の悲劇が起こったのだ。
「カニ子姉さん、もうやめましょう」
カニ次郎はカニ子の元へ向かい、そう訴えた。
「何の罪もない子供が犠牲になってるんです。柿の木なんてどうでもいいでしょう」
カニ次郎は訴え続ける。
「子蟹は可哀想だったわ。しかしね、これは私達の柿の木を守るための戦いなの。騙し取ったのは猿の方、正義は我々にあるの。臼さんや蜂さん、栗さんや牛糞さんも我々蟹の方が正しいと応援してくださっている。当事者である我々が諦めるなんてことできないわ。諦めたら柿の木を放棄することになってしまうもの。だから猿達を追っ払うまで一緒に戦いましょう」
カニ子はカニ次郎の目を見て強くそう言った。カニ次郎はカニ子の純粋な思いに言い返すことはできなかった。
「もう嫌だな、こんな戦い。早く家族の待つ家へ帰りたい」
柿の木の側の塹壕に隠れるサル蔵は家族の写真を見ながら涙を流していた。明日はサル蔵の一人娘の誕生日。本来なら家でパーティーをしていたはずだ。
それなのに夜が明ければまた蟹軍との殺し合いが始まる。
猿国と蟹国はいがみ合っているが、サル蔵自身は蟹軍の兵士達に個人的な恨みがあるわけではない。国同士の仲が悪いからと言って恨みのない蟹を殺すわけだ。冷静に考えると実に理不尽な話だ。
「もう戦いたくないな・・・」
サル蔵はボソリと呟く。すると隣で聞いていたサル吉も反応した。
「俺も・・・」
「えっ、君も?」
サル蔵はサル吉の思わぬ反応に驚いた。サル蔵は自分以外の兵士は皆、国の為に全てを投げ打って納得して戦っていると思っていた。でも、そうでもないようだ。
「そりゃそうだよ。みんな殺し合いなどせず、家で笑って暮らしたいさ」
「そうかな?」
「うん」
サル蔵とサル吉の周りで聞いていた猿軍の兵士達も次々と同意してくる。
「何とか殺し合いを終わらせる良い手段は無いものだろうか?」
「うーん」
サル蔵の提案に皆が悩む。
「そういえば人間達の戦争でもクリスマス休戦っていうのがあったって話を聞いたことがあるな」
「クリスマス休戦?」
「そう、第一次世界大戦っていう大昔の戦争の最中、クリスマスの日だけお互いに塹壕から出てきて敵味方一緒にクリスマスを祝ったらしいよ」
「へー、それは凄いね。最後はどうなったの?」
「クリスマスが終わったらまた戦争に戻った」
「じゃあダメじゃないか」
「うーん」
「ずっとクリスマスが続けば良かったのにな・・・」
皆が黙りこくる。しかしサル蔵は諦めなかった。
「やろう、1日だけでも。明日は娘の誕生日なんだ。蟹軍も誘ってみんなでダンスパーティ-しようぜ」
「そうだな、大丈夫だよ。蟹軍の兵士にも家族がいる。人と国とは同一ではない。きっとのってくるさ」
猿軍の兵士達は皆でビラを作り始めた。サル蔵の娘を祝うダンスパーティーの誘いだ。場所は激戦地の柿の木の下。激戦地をダンスホールに変えようという戦略だ。
「おい、このビラ見たか?」
ある兵士がカニ次郎にダンスパーティーのビラを見せる。
「猿軍の兵士の娘のダンスパーティー? なんじゃそりゃ!?」
カニ次郎は半信半疑でビラを読み、考え込んだ。
「こ、これは・・・、無茶苦茶な妄想だ。でも素晴らしい。・・・行ってみるか?」
「えっ、本気で言ってるのか?」
「ああ、お前も殺し合いなんてしたくないだろ? 殺さないと殺されるから殺してるだけだろ? もうやめよう、こんなこと。殺さないことの方が普通なんだから。1日だけでも殺し合いを避けられるならそれで良いじゃないか」
「ま、まぁ、そりゃそうだよな」
ダンスパーティーは思いのほか盛り上がった。初めは恐る恐る、ポツポツとした参加だったが、サル蔵やカニ次郎が家族の写真を見せ合いながら楽しげに踊る姿を見て参加者はすぐに増えていった。そして柿の木の下は猿蟹入り乱れての大パーティー会場となった。
「もう夜が明ける。残念ながらパーティーはここまでだ」
シャンパングラスを持ちながら、サル蔵はカニ次郎にそう言った。
「夜が明ければまた殺し合いに戻るのか?」
「仕方がない、過去の人間の歴史でもそうだった」
「・・・歴史、変わらないかなぁ」
「娘の誕生日は1日だけだ。もう終わる・・・」
「そうか、いや、待てよ」
「ん?」
「探せば良いじゃないか!?」
「探す?」
「そう、探すんだよ。明日やそれ以降に誕生日の子を持つ兵士を」
「え、あ、そういうことか。なるほど」
そして、サル蔵とカニ次郎はそれぞれの軍に呼びかけ、一年中の誕生パーティーを計画した。そう、1日も空けることなく。
そして、休戦パーティーは終わることなく続いていった。
「カニ次郎、どういうことなの? 猿とは戦争してるのよ。それをパーティーなんて何やってるの!」
カニ子はパーティ会場を訪れカニ次郎に怒っていた。
隣ではサル介もサル蔵を怒っている。
「お前は何をやっているんだ。蟹は敵なんだぞ!」
カニ次郎とサル蔵は顔を見合わせ、それぞれ思いの丈をぶちまけた。
「私達はこれまであなた方の命令で戦争をしてきました。しかし、もうたくさんだ。蟹軍の兵士にも、猿軍の兵士にも、個人的な恨みはない。国同士が相容れない部分があるのは分かる。そこはとことん争うべきだ。しかしそこに殺し合いは要らない。あなた達は政治のプロなんだから、あなた達がとことん話し合えばいい。私達の殺し合い無しで」
「・・・」
「・・・」
カニ次郎とサル蔵の気迫にカニ子とサル介は黙り込んだ。そして呟いた。
「・・・分かったわ」
「・・・分かったよ」
こうして戦争は終わった。
パーティーは終わり、猿軍、蟹軍の兵士達は家族や友人の元へと帰っていった。
カニ子とサル介の柿の木を巡る討議は終わることなく続いていた。しかしそこに殺し合いは無くなっていた。
(完)
泡を吹いて倒れる子蟹の前で、カニ次郎は嘆き悲しみ座り込んだ。
猿と蟹の因縁話はご存知だろう。猿に柿の木を騙し取られ、挙げ句の果てに青柿をぶつけられて殺された母蟹の仇を臼、蜂、栗、牛糞の助けを借りた子蟹が取るという話だ。
その後日談については文豪の芥川先生が書いておられる。仇討ちを果たした子蟹が私憤による殺人罪で死刑に処されたとのこと。
この話はその続きの話。
冒頭で嘆き悲しんだカニ次郎は芥川先生に愚物と切り捨てられ説明さえも省かれた死刑蟹三男の次男坊。つまりは死刑蟹の孫ということになる。
そんなカニ次郎の目前で起こった悲劇の事情とその後の話。それを今から見ていこう。
死刑蟹三男は確かに愚物であったのだが、その子らは実に優秀だった。特に長女のカニ子は人望ならぬ蟹望もあり、蟹の国のリーダーとなっていた。
「おいサル介、いい加減に柿の木を返しなさいよ」
カニ子は柿の木に登るサル介に啖呵を切った。
「何言ってんだい、木にも登れない蟹のくせに。蟹なんだから海にでも行って小魚でも食っとけよ」
サル介はそう言うと青柿を思い切りカニ子に投げ付けた。その時だ。
バチーン
カニ子に当たる直前で青柿が何かに当たり弾け飛んだ。栗だ。
「カニ子さん。大丈夫でしたか?」
「ありがとう栗さん、大丈夫よ」
カニ子は爪で冷や汗を拭き取りながらサル介を睨みつける。
「私はひいばあちゃんとは違うのよ。同じ手でやられると思ったら大間違いよ」
「何を、蟹のくせに。今度こそっ」
サル介がもう一度青柿をぶつけようと振りかぶったその時、
「痛いっ」
サル介が叫んだ。サル介の尻には針を突き刺す蜂の姿が。
「何をっ」
「カニ子さんに手を挙げるなんて許さないぞ!」
蜂はそう言うと更に深くまで針を刺した。
「いっ、痛い。くそっ、覚えてやがれ」
そう言うとサル介は山の棲家へと帰っていった。
「ありがとうみんな。お陰で柿の木を取り返せたわ」
「御協力できて良かったです。これでしばらく猿も来ないでしょう」
「そうかしら、猿も諦めが悪いし、何より強いからね。心配だわ」
「大丈夫ですよ。臼さんも牛糞さんも正しいのは蟹さんなんだから思い切って戦えば良いと言ってくださってますし。正義は蟹さんにありますよ」
「ありがとう、頑張るわ」
しかし、カニ子の心配は現実のものとなった。サル介率いる猿の大軍が攻めてきたのだ。
カニ子も弟のカニ次郎や仲間の蟹を集め、諦めずに抗戦する。
その戦いは一進一退、熾烈を極め、猿蟹共に多くの犠牲者を出していった。お互いが疲弊しそれぞれの中でも厭戦ムードが大きくなりかけた頃、冒頭の悲劇が起こったのだ。
「カニ子姉さん、もうやめましょう」
カニ次郎はカニ子の元へ向かい、そう訴えた。
「何の罪もない子供が犠牲になってるんです。柿の木なんてどうでもいいでしょう」
カニ次郎は訴え続ける。
「子蟹は可哀想だったわ。しかしね、これは私達の柿の木を守るための戦いなの。騙し取ったのは猿の方、正義は我々にあるの。臼さんや蜂さん、栗さんや牛糞さんも我々蟹の方が正しいと応援してくださっている。当事者である我々が諦めるなんてことできないわ。諦めたら柿の木を放棄することになってしまうもの。だから猿達を追っ払うまで一緒に戦いましょう」
カニ子はカニ次郎の目を見て強くそう言った。カニ次郎はカニ子の純粋な思いに言い返すことはできなかった。
「もう嫌だな、こんな戦い。早く家族の待つ家へ帰りたい」
柿の木の側の塹壕に隠れるサル蔵は家族の写真を見ながら涙を流していた。明日はサル蔵の一人娘の誕生日。本来なら家でパーティーをしていたはずだ。
それなのに夜が明ければまた蟹軍との殺し合いが始まる。
猿国と蟹国はいがみ合っているが、サル蔵自身は蟹軍の兵士達に個人的な恨みがあるわけではない。国同士の仲が悪いからと言って恨みのない蟹を殺すわけだ。冷静に考えると実に理不尽な話だ。
「もう戦いたくないな・・・」
サル蔵はボソリと呟く。すると隣で聞いていたサル吉も反応した。
「俺も・・・」
「えっ、君も?」
サル蔵はサル吉の思わぬ反応に驚いた。サル蔵は自分以外の兵士は皆、国の為に全てを投げ打って納得して戦っていると思っていた。でも、そうでもないようだ。
「そりゃそうだよ。みんな殺し合いなどせず、家で笑って暮らしたいさ」
「そうかな?」
「うん」
サル蔵とサル吉の周りで聞いていた猿軍の兵士達も次々と同意してくる。
「何とか殺し合いを終わらせる良い手段は無いものだろうか?」
「うーん」
サル蔵の提案に皆が悩む。
「そういえば人間達の戦争でもクリスマス休戦っていうのがあったって話を聞いたことがあるな」
「クリスマス休戦?」
「そう、第一次世界大戦っていう大昔の戦争の最中、クリスマスの日だけお互いに塹壕から出てきて敵味方一緒にクリスマスを祝ったらしいよ」
「へー、それは凄いね。最後はどうなったの?」
「クリスマスが終わったらまた戦争に戻った」
「じゃあダメじゃないか」
「うーん」
「ずっとクリスマスが続けば良かったのにな・・・」
皆が黙りこくる。しかしサル蔵は諦めなかった。
「やろう、1日だけでも。明日は娘の誕生日なんだ。蟹軍も誘ってみんなでダンスパーティ-しようぜ」
「そうだな、大丈夫だよ。蟹軍の兵士にも家族がいる。人と国とは同一ではない。きっとのってくるさ」
猿軍の兵士達は皆でビラを作り始めた。サル蔵の娘を祝うダンスパーティーの誘いだ。場所は激戦地の柿の木の下。激戦地をダンスホールに変えようという戦略だ。
「おい、このビラ見たか?」
ある兵士がカニ次郎にダンスパーティーのビラを見せる。
「猿軍の兵士の娘のダンスパーティー? なんじゃそりゃ!?」
カニ次郎は半信半疑でビラを読み、考え込んだ。
「こ、これは・・・、無茶苦茶な妄想だ。でも素晴らしい。・・・行ってみるか?」
「えっ、本気で言ってるのか?」
「ああ、お前も殺し合いなんてしたくないだろ? 殺さないと殺されるから殺してるだけだろ? もうやめよう、こんなこと。殺さないことの方が普通なんだから。1日だけでも殺し合いを避けられるならそれで良いじゃないか」
「ま、まぁ、そりゃそうだよな」
ダンスパーティーは思いのほか盛り上がった。初めは恐る恐る、ポツポツとした参加だったが、サル蔵やカニ次郎が家族の写真を見せ合いながら楽しげに踊る姿を見て参加者はすぐに増えていった。そして柿の木の下は猿蟹入り乱れての大パーティー会場となった。
「もう夜が明ける。残念ながらパーティーはここまでだ」
シャンパングラスを持ちながら、サル蔵はカニ次郎にそう言った。
「夜が明ければまた殺し合いに戻るのか?」
「仕方がない、過去の人間の歴史でもそうだった」
「・・・歴史、変わらないかなぁ」
「娘の誕生日は1日だけだ。もう終わる・・・」
「そうか、いや、待てよ」
「ん?」
「探せば良いじゃないか!?」
「探す?」
「そう、探すんだよ。明日やそれ以降に誕生日の子を持つ兵士を」
「え、あ、そういうことか。なるほど」
そして、サル蔵とカニ次郎はそれぞれの軍に呼びかけ、一年中の誕生パーティーを計画した。そう、1日も空けることなく。
そして、休戦パーティーは終わることなく続いていった。
「カニ次郎、どういうことなの? 猿とは戦争してるのよ。それをパーティーなんて何やってるの!」
カニ子はパーティ会場を訪れカニ次郎に怒っていた。
隣ではサル介もサル蔵を怒っている。
「お前は何をやっているんだ。蟹は敵なんだぞ!」
カニ次郎とサル蔵は顔を見合わせ、それぞれ思いの丈をぶちまけた。
「私達はこれまであなた方の命令で戦争をしてきました。しかし、もうたくさんだ。蟹軍の兵士にも、猿軍の兵士にも、個人的な恨みはない。国同士が相容れない部分があるのは分かる。そこはとことん争うべきだ。しかしそこに殺し合いは要らない。あなた達は政治のプロなんだから、あなた達がとことん話し合えばいい。私達の殺し合い無しで」
「・・・」
「・・・」
カニ次郎とサル蔵の気迫にカニ子とサル介は黙り込んだ。そして呟いた。
「・・・分かったわ」
「・・・分かったよ」
こうして戦争は終わった。
パーティーは終わり、猿軍、蟹軍の兵士達は家族や友人の元へと帰っていった。
カニ子とサル介の柿の木を巡る討議は終わることなく続いていた。しかしそこに殺し合いは無くなっていた。
(完)