第99話 亡霊
文字数 3,714文字
亡霊が出る、という噂が流れたのは秋も深まってからであった。
寝静まった学院に襤褸 を引きずった男が歩き回る。大回廊を一周して、そしてふっと姿を消すのだと。その姿を見た者で熱発するものが出たため、皆夜は自室に引きこもるようになった。
「1度この世を去った者が、そんなに簡単に冥府から復活できるわけが無い」
美蓮は腹立たしげに唸ると、ゆでた麺に少量の塩をつけ口に運んだ。
「まあ、昔からこの建物は亡霊が出るっていうしな。しかし、やっぱりここの卵は旨いな」
半熟卵を口ひげにつけて瑠貝が言う。
「見苦しい、拭け」
美蓮が布を放 った。
「なんだよ、しばらくぶりに帰ってきたかと思ったら、ちょび髭なんか生やしやがって」
美蓮は瑠貝の髭が気にくわないらしい。
「解ってるよ、自分だって似合うとは思ってない。だけど何というか、髭があったら若造扱いされないんだよ」
「金縁ボタンの立派な服だけで、十分お大尽ぽく見えるよ。まるで成り上がりの砂漠とかげみたいだ」
口をとがらす美蓮に、瑠貝もむっとした表情を浮かべる。
「まあ、まあ、美蓮はさみしいのさ。なんか君が別世界の人みたいで」
麗射にいさめられて、二人はちらりと顔を見合わせると笑い出す。
瑠貝がしばらく留守にしている間に、オアシスは豹変していた。
食事は質素に、そして学院生もどことなく生気が無く、身なりにも継ぎが目立つ。
その年の優秀作品が掲げられる場所には、小粒の地味な絵が並んでいた。
目を引いたのは唯一、麗射の作品だけだった。
盛夏の作品展で最優秀賞を獲ったらしく、真ん中に飾ってある。青一色で描かれた少女はまるで絵画から抜け出してそこに立っているように見えた。精緻な素描ではないが、麗射の筆致の作り出す迫力は3年の研鑽で余人のまねできない域に達していた。
画面の外の揺らめく燭台の光までもが見える。それは以前の夕陽の作品を彷彿とさせた。
「最近、警備兵とは別に見回りをしているんだよ」
麗射がナツメヤシの実をかじりながら言った。これを食すと牢獄を思い出すが、めっきり食材が減ってしまった食堂では、ナツメヤシの実が主食になりつつある。背に腹は代えられなかった。
「一人でか? 走耳は?」
「走耳は清那の侍衛だから、俺の用事には使えないよ。それに最近なんだか女性がらみのゴタゴタに巻き込まれたって言ってたしね、忙しそうだ」
「え、えっ」
あの堅物が……。皆の目が丸くなる。
「じゃあ、走耳がもし結婚してここを出て行ったら、あの部屋には清那とお前しかいなくなるのか」
なんとなく清那の気持ちを知っているのか、瑠貝は身を乗り出した。
「ああ、君は留守で知らなかったかも知れないけど清那は一室を三人で使うのは狭いからと言って、しばらく前に走耳と共に別の部屋に移ったんだ。ま、あいつも大人になっていくってことだろう」
最近はあまり口を利かなくなった弟分のことを思い出して麗射はさみしげに微笑んだ。
「今日の見回りには僕たちもついて行くよ」美蓮は瑠貝を振り返る。「来るだろ、君も」
実は化け物の類 には弱い瑠貝だったが、青い顔をしてしばらく迷った後、意を決してうなずく。
「もし、化け物だったら交渉して見世物小屋にでも出演してもらうか」
この男ならやりかねない。食堂は久しぶりに笑い声が響き渡った。
張り込みを始めて数日間は空振りだった。
そして、4日目。
回廊の影に潜んで待っている麗射達の目の前に、破れた白い布を巻き付けた人影がよろよろと現れた。
「で、でた……」叫びそうになる美蓮の口を麗射が慌てて塞ぐ。
三人はじっと月明かりに照らされたその人影を見つめた。
妖気を伴ってはいるが、しっかりした輪郭がある。人間だ。
おぼつかない足取りでうめきながら、その人影は何かを探すように見回した。
「き、君。何か探しているのかい」
意を決して飛び出した麗射が、後ろから話しかける。
燭台を持った美蓮と瑠貝もそれに続く。
「絵、絵はどこだ。俺の……」
落ちくぼんだ眼窩にある焦点の合わない目とそげた頬。一見するとこの世の者には見えないが、よく見るとそれは――。
「玲斗」
三人はあまりの変りように絶句する。
「君の絵って、あのお父様とお兄様の絵か」
亡霊のようになった玲斗がうなずく。
「兄が毎晩、俺の夢枕に立って俺を苛 むのだ。なぜ、帰らなかったのか……とな」
だから、葬りに来た。と、玲斗は震える手で小刀を取りだした。
「どこにあるか教えろ、教えなければ、お前達も道連れだ」
「気が触れているぜ、この男。警備兵を呼ぼう」
いいや。と麗射は首を振る。多分警備兵は、以前の付け届けの恩義もあって通しているのだろう。いや、現在も玲斗はなけなしの金を渡しているのかも知れない。オアシスの警備兵の倫理観の欠如は甚だしい。下手に大事 にすれば、自分たちのやましい所業を隠すため、玲斗に危害が加えられるかも知れない。
「絵は倉庫にある。待っていろ、今から持ってきてやるから」
学生代表はいろいろな場所の合鍵を預かっている。彼ら三人は、玲斗の絵を運んできた。
「あ、ああ……」玲斗は、うめいて立ちすくんだ。
しばらく後に、手から滑るように小刀が床に落ちる。
彼は絵の下にひざまずいた。「臆病者の私をお許し下さい。仲間達を守る……のは口実だった。私は怖かった。帰るのが怖かったんです――」
玲斗の家族に起こったことは三人とも知っている。
「君が臆病じゃ無い事は俺がよく知っている。命をかけて、俺を助けてくれた」
玲斗が麗射をにらみつける。その次の瞬間、彼は麗射に躍りかかるといきなり殴りかかった。
「お前が悪いんだ。お前がっ」
「よせ、逆恨みだ」瑠貝が羽交い締めする。
「いいよ、殴れ。それで君の心が晴れるなら」麗射がつぶやく。「君は命の恩人だ」
ふりあげられた拳は、麗射の頬の前で止った。
「君は昔の君では無い。昔の君なら躊躇 せず殴っていた……」
麗射の顔の前にある手は黒ずんで、爪がひび割れていた。
「君が持つべきは、刀では無くて、絵筆だ」
燭台の炎が揺れて、絵の中の二人を照らす。彼らはそこに居るかのように浮き上がっていた。
「お兄様を皆の記憶の中に蘇 らせることのできるのは、君だけだ」
玲斗ががっくりと首を垂れる。
瑠貝が力を緩めると、そのまま床に俯して意識を失った。
「まあ、ちょっと心がすり減ってしまったようじゃな。毎日これを飲むと落ち着いてくるじゃろう」
幻風が薬草を混ぜて、すっかりおとなしくなった玲斗に飲ませる。
「玲斗は退学した訳では無いのだろう。どうせ寮の部屋は開いとるんじゃ、取り巻きも連れてこの学院に戻ってくればいい。粗末だが、安い飯にもありつけるしな。寮費の出世払いについての院長との交渉は学院生代表の腕の見せ所じゃな、麗射」
最近常にイライラしている蛮豊。金の話はあまりしたくないところだが……渋々麗射はうなずく。旅館と同じで空いていれば金は入らないが、誰かが泊まっていれば将来的ではあれ金が入るのだ。説得の余地はあるように思われた。
「ところで、爺さん。その首に散らばる赤いあざは何だ」
いつのまにか背後に立った走耳が、半眼でじろりと幻風を睨み口を開く。
「あ、こ、これか? 最近たちの悪い虫がいてのお」
「色街 にか?」走耳の目がつり上がっている。
「いいか、爺ぃ。もてるのは結構だが、俺の名前を使うなっ」
学院にまで『走耳』を探しに来た娘達が、恋の鞘当てを始めて大変だったらしい。
訳もわからず、目を白黒させて対応する走耳の姿を目に浮かべ、みな吹きだした。
「い、いや、鉢合わせしてしまってな、なじみが、は、は」
「は、は、じゃないっ」
「どうじゃ、1人くらい好みの娘さんはいたか?」
「爺ぃ、冥府の鬼女にでも可愛がってもらえ」
殺気を纏 う走耳の剣幕に、幻風は慌てて逃げ出した。
数日後、玲斗は仲間達とともに学院に復帰した。
啖呵を切って飛び出した手前、彼の気持ちは複雑ではあろうが、家賃が無くなるのと、食費が格安ですむのは大きかった。特に食は彼らにとって死活問題だったのだ。もう面子を立てている場合では無いほど、彼らは追い詰められていた。
さらに清那の口利きで、学院が玲斗の作品を買い上げることになったようだ。
蛮豊はしぶしぶだったが、叡州公からの買い取り金が送られてきたことで、玲斗の学費の問題は解決した。清那の懇願が利いたのだろう、金は驚くべき速さで送られてきた。
「結局は金ということか」ぼやく麗射の肩を瑠貝が叩く。
「そうさ、金は友達。正しく付き合えば良い結果をもたらしてくれるんだよ」
単位をとった瑠貝は再びオアシスを後にした。
翌年の春。
叡州に攻め入った斬常は、瀑涼峡 の激闘で叡州軍を破った。
それまでは、培われた軍の技能と軍事技術で煉州軍を国境で押し返していた叡州だが、白旗をあげて投降した煉州兵の一団が内部から攪乱し、それに乗じて攻め込んだ煉州軍が一気に決着をつけたのである
それまで不文律として守られてきた交戦の規範は、斬常によって完全に打ち砕かれた。
そして、容赦ない略奪によって士気を挙げた煉州軍は一気呵成の勢いで、叡州の首都珠林 に攻め入った。
寝静まった学院に
「1度この世を去った者が、そんなに簡単に冥府から復活できるわけが無い」
美蓮は腹立たしげに唸ると、ゆでた麺に少量の塩をつけ口に運んだ。
「まあ、昔からこの建物は亡霊が出るっていうしな。しかし、やっぱりここの卵は旨いな」
半熟卵を口ひげにつけて瑠貝が言う。
「見苦しい、拭け」
美蓮が布を
「なんだよ、しばらくぶりに帰ってきたかと思ったら、ちょび髭なんか生やしやがって」
美蓮は瑠貝の髭が気にくわないらしい。
「解ってるよ、自分だって似合うとは思ってない。だけど何というか、髭があったら若造扱いされないんだよ」
「金縁ボタンの立派な服だけで、十分お大尽ぽく見えるよ。まるで成り上がりの砂漠とかげみたいだ」
口をとがらす美蓮に、瑠貝もむっとした表情を浮かべる。
「まあ、まあ、美蓮はさみしいのさ。なんか君が別世界の人みたいで」
麗射にいさめられて、二人はちらりと顔を見合わせると笑い出す。
瑠貝がしばらく留守にしている間に、オアシスは豹変していた。
食事は質素に、そして学院生もどことなく生気が無く、身なりにも継ぎが目立つ。
その年の優秀作品が掲げられる場所には、小粒の地味な絵が並んでいた。
目を引いたのは唯一、麗射の作品だけだった。
盛夏の作品展で最優秀賞を獲ったらしく、真ん中に飾ってある。青一色で描かれた少女はまるで絵画から抜け出してそこに立っているように見えた。精緻な素描ではないが、麗射の筆致の作り出す迫力は3年の研鑽で余人のまねできない域に達していた。
画面の外の揺らめく燭台の光までもが見える。それは以前の夕陽の作品を彷彿とさせた。
「最近、警備兵とは別に見回りをしているんだよ」
麗射がナツメヤシの実をかじりながら言った。これを食すと牢獄を思い出すが、めっきり食材が減ってしまった食堂では、ナツメヤシの実が主食になりつつある。背に腹は代えられなかった。
「一人でか? 走耳は?」
「走耳は清那の侍衛だから、俺の用事には使えないよ。それに最近なんだか女性がらみのゴタゴタに巻き込まれたって言ってたしね、忙しそうだ」
「え、えっ」
あの堅物が……。皆の目が丸くなる。
「じゃあ、走耳がもし結婚してここを出て行ったら、あの部屋には清那とお前しかいなくなるのか」
なんとなく清那の気持ちを知っているのか、瑠貝は身を乗り出した。
「ああ、君は留守で知らなかったかも知れないけど清那は一室を三人で使うのは狭いからと言って、しばらく前に走耳と共に別の部屋に移ったんだ。ま、あいつも大人になっていくってことだろう」
最近はあまり口を利かなくなった弟分のことを思い出して麗射はさみしげに微笑んだ。
「今日の見回りには僕たちもついて行くよ」美蓮は瑠貝を振り返る。「来るだろ、君も」
実は化け物の
「もし、化け物だったら交渉して見世物小屋にでも出演してもらうか」
この男ならやりかねない。食堂は久しぶりに笑い声が響き渡った。
張り込みを始めて数日間は空振りだった。
そして、4日目。
回廊の影に潜んで待っている麗射達の目の前に、破れた白い布を巻き付けた人影がよろよろと現れた。
「で、でた……」叫びそうになる美蓮の口を麗射が慌てて塞ぐ。
三人はじっと月明かりに照らされたその人影を見つめた。
妖気を伴ってはいるが、しっかりした輪郭がある。人間だ。
おぼつかない足取りでうめきながら、その人影は何かを探すように見回した。
「き、君。何か探しているのかい」
意を決して飛び出した麗射が、後ろから話しかける。
燭台を持った美蓮と瑠貝もそれに続く。
「絵、絵はどこだ。俺の……」
落ちくぼんだ眼窩にある焦点の合わない目とそげた頬。一見するとこの世の者には見えないが、よく見るとそれは――。
「玲斗」
三人はあまりの変りように絶句する。
「君の絵って、あのお父様とお兄様の絵か」
亡霊のようになった玲斗がうなずく。
「兄が毎晩、俺の夢枕に立って俺を
だから、葬りに来た。と、玲斗は震える手で小刀を取りだした。
「どこにあるか教えろ、教えなければ、お前達も道連れだ」
「気が触れているぜ、この男。警備兵を呼ぼう」
いいや。と麗射は首を振る。多分警備兵は、以前の付け届けの恩義もあって通しているのだろう。いや、現在も玲斗はなけなしの金を渡しているのかも知れない。オアシスの警備兵の倫理観の欠如は甚だしい。下手に
「絵は倉庫にある。待っていろ、今から持ってきてやるから」
学生代表はいろいろな場所の合鍵を預かっている。彼ら三人は、玲斗の絵を運んできた。
「あ、ああ……」玲斗は、うめいて立ちすくんだ。
しばらく後に、手から滑るように小刀が床に落ちる。
彼は絵の下にひざまずいた。「臆病者の私をお許し下さい。仲間達を守る……のは口実だった。私は怖かった。帰るのが怖かったんです――」
玲斗の家族に起こったことは三人とも知っている。
「君が臆病じゃ無い事は俺がよく知っている。命をかけて、俺を助けてくれた」
玲斗が麗射をにらみつける。その次の瞬間、彼は麗射に躍りかかるといきなり殴りかかった。
「お前が悪いんだ。お前がっ」
「よせ、逆恨みだ」瑠貝が羽交い締めする。
「いいよ、殴れ。それで君の心が晴れるなら」麗射がつぶやく。「君は命の恩人だ」
ふりあげられた拳は、麗射の頬の前で止った。
「君は昔の君では無い。昔の君なら
麗射の顔の前にある手は黒ずんで、爪がひび割れていた。
「君が持つべきは、刀では無くて、絵筆だ」
燭台の炎が揺れて、絵の中の二人を照らす。彼らはそこに居るかのように浮き上がっていた。
「お兄様を皆の記憶の中に
玲斗ががっくりと首を垂れる。
瑠貝が力を緩めると、そのまま床に俯して意識を失った。
「まあ、ちょっと心がすり減ってしまったようじゃな。毎日これを飲むと落ち着いてくるじゃろう」
幻風が薬草を混ぜて、すっかりおとなしくなった玲斗に飲ませる。
「玲斗は退学した訳では無いのだろう。どうせ寮の部屋は開いとるんじゃ、取り巻きも連れてこの学院に戻ってくればいい。粗末だが、安い飯にもありつけるしな。寮費の出世払いについての院長との交渉は学院生代表の腕の見せ所じゃな、麗射」
最近常にイライラしている蛮豊。金の話はあまりしたくないところだが……渋々麗射はうなずく。旅館と同じで空いていれば金は入らないが、誰かが泊まっていれば将来的ではあれ金が入るのだ。説得の余地はあるように思われた。
「ところで、爺さん。その首に散らばる赤いあざは何だ」
いつのまにか背後に立った走耳が、半眼でじろりと幻風を睨み口を開く。
「あ、こ、これか? 最近たちの悪い虫がいてのお」
「
「いいか、爺ぃ。もてるのは結構だが、俺の名前を使うなっ」
学院にまで『走耳』を探しに来た娘達が、恋の鞘当てを始めて大変だったらしい。
訳もわからず、目を白黒させて対応する走耳の姿を目に浮かべ、みな吹きだした。
「い、いや、鉢合わせしてしまってな、なじみが、は、は」
「は、は、じゃないっ」
「どうじゃ、1人くらい好みの娘さんはいたか?」
「爺ぃ、冥府の鬼女にでも可愛がってもらえ」
殺気を
数日後、玲斗は仲間達とともに学院に復帰した。
啖呵を切って飛び出した手前、彼の気持ちは複雑ではあろうが、家賃が無くなるのと、食費が格安ですむのは大きかった。特に食は彼らにとって死活問題だったのだ。もう面子を立てている場合では無いほど、彼らは追い詰められていた。
さらに清那の口利きで、学院が玲斗の作品を買い上げることになったようだ。
蛮豊はしぶしぶだったが、叡州公からの買い取り金が送られてきたことで、玲斗の学費の問題は解決した。清那の懇願が利いたのだろう、金は驚くべき速さで送られてきた。
「結局は金ということか」ぼやく麗射の肩を瑠貝が叩く。
「そうさ、金は友達。正しく付き合えば良い結果をもたらしてくれるんだよ」
単位をとった瑠貝は再びオアシスを後にした。
翌年の春。
叡州に攻め入った斬常は、
それまでは、培われた軍の技能と軍事技術で煉州軍を国境で押し返していた叡州だが、白旗をあげて投降した煉州兵の一団が内部から攪乱し、それに乗じて攻め込んだ煉州軍が一気に決着をつけたのである
それまで不文律として守られてきた交戦の規範は、斬常によって完全に打ち砕かれた。
そして、容赦ない略奪によって士気を挙げた煉州軍は一気呵成の勢いで、叡州の首都