弟子入り
文字数 8,163文字
レオがすべての何事に対して力不足だと感じた時、レオはエヴァンと対面し話している内容からヒントを得て、その者に自分が一刻も早く強くなる為に修行の弟子入りを申し込もうとした。
その者の名は相田コウ……
エヴァンと騎士団時代の同期、日本支部から派遣されたカラクリ部隊で、日本独自の特殊部隊に所属している実質エヴァンを除いてNo.2の実力の者だった。
レオはこの時大きな地図を拡げて、
「確かここだったかな……
エヴァン先生の友達の相田コウっていう日本人は……
一体どんな奴なんだろう?
なんか先生が破天荒やなんやらの性格っていっていたような……
うーん、この辺りの墓地に埋葬されているんだと思うんだけど、彼の墓地は一体どこに?……」
レオが山岳地帯の墓地でウロウロしていると、その声の主は後ろからレオに問いかけるようにレオに向かって話しかけてきた。それは、
「よぉー。
どこのおチビちゃんかわからんが、俺の墓地にわざわざ来て、一体俺に何のようだい?
ってか、俺の姿見えてねぇか、ぼうず……
へっへっへっ、少しばかり脅かしてびっくりさせてやるか、クックック……
ほらよ!」
そう言い、コウが辺りをキョロキョロして見知らぬレオを見てそう言うと、コウはぞくにいう幽霊独特の能力ポルターガイストをしかけ、目の前にいるレオを脅かさそうとした。
レオはその揺れ動く物とかを見て、
「わっ!なんだなんだ?地震か?
まったく、なんでこんな時に地震が発生するんだ。くそ!俺もついてないな、くっ……
とにかく一旦身を守らなきゃ……」
レオが身を隠し体を守りの姿勢にすると、コウはそのレオの様子を見て、
「おらおらー!おチビちゃん、怖いか怖いか、このボケがっ!
生憎地震じゃねえぜ、この現象はよ~。
それ、もっと激しく揺れるぜ、墓どもがよ~。
びびれ!ちびれ!そしてもっと怖がりな!クックック……」
別に単に地震だと思っているレオは決してポルターガイスト現象に怖がっているのではなく、安全確保の為に身を低くし体を固めていた。
そうとも感じず段々とエスカレートするコウの嫌がらせの行為……
やがて墓石の中からいろいろな物が中から飛び出し、その場は異常な状態になっていた。
レオは墓石の中から吹き出している物を見て、
「どれだ?相田コウの遺留品の物は?
たくさん物が空中に浮いて飛び出しているが、掘り出す手間は省けそうだな……
後は遺留品に触れて、彼と接触できたらいいけど……」
レオは自分の特殊能力、相手の体やその一部の物に触れるとその者と心を通わしコンタクトのとれる能力を使い、彼との会話を試みようとしていた。
実際エヴァンとはハーバーの支配からエヴァンがレオを守るため自分の心臓を貫ぬき血が大量に出た時、エヴァンの血液を伝って彼の心の中に無意識で入れる事に成功した。
そして今度はレオは実は生きていたエヴァンの口から話を聞き、彼が忍者使いの者だとエヴァンの話からちょこっと出ていた。
その中で忍者とは主にクナイや手裏剣、刀を使い敵と戦うと聞く。
そして日本人は武器に対して特に執着心を抱きやすく、自分の体の一部のように扱うと本で見たことがあった。
すなわち体の一部=武器(遺留品)
直接その者の体の一部のDNAでなくても、思いがつもっている物であればレオは彼との魂の会話ができると思い、ここに来るまで騎士団の所属していた情報を調べここに訪れたのだ。
(……なにせ遺体は爆死していると聞いてるから体の一部はとれないだろうとレオは思っている為)
「オラオラオラ!どんどん揺らすぜ!この野郎!
オバケだぁ~!怖いぞ!ガキ!」
ガタガタガタガタ!
コウがこの時声が聞こえてないレオに向かってそう言うと、墓の中からいろんな物が出てきて飛び出し、多くの物は宙を舞い、場は異様な雰囲気になっていた。
レオはこの状況を見て、
「なんで浮いてるのかわからんけど、この中から探すぞ!
刀……この中でそれらしい武器はないかな?
あれば触れれば彼とコンタクトが取れるんだけど……結構揺れが激しく動きにくいな……
でもやるしかない!絶対にエヴァン先生を救いだし、彼、(相田コウ)の元で修行をし、力を身につけなければ……
先生……
エヴァン先生!」
……!
レオはこの時エヴァンの顔を想い浮かべ、揺れる状況の中起ちあがり顔つきが変化した。
顔つきが変化する中、あまりにもハーバー達と対面し力量不足を感じたレオ。
そしてハーバーによって吸血鬼の身体と化したエヴァンでさえ、何も出来ずにレオはそのまま敗北を味わい、結局彼をハーバーの呪縛から解き放つ事が出来なかった。
エヴァンを自殺に追い込んだハーバー。
尚且つエヴァンが生きていて彼が奇跡的に意識が一時期戻ったとはいえ、吸血鬼の体であるかぎり完全にハーバーの支配から解かれたのではなく、 引き続きティファーの事も含め人質にとられてエヴァンは悪戦苦闘していた。
そんな中、レオはそのような状況の中彼を救うために、一刻も早くこの時なんとしても力を身につけなければならなかった。
もう、目の前で大切な人を失いたくない……
レオは墓の中から無数に飛び交ってる物を探し、地面が揺れ行く中、コウの遺留品を探し始めた。
その中で浮いてる物で1つ、刀らしき物が見つかった。
レオはこれだと思い、その刀を手に取ろうとした。
レオの様子を見てコウは、
「なんだ、あのガキ……
俺の刀を墓から奪うつもりかよ……
だめだだめだ、盗っ人め。それは俺の命より大事な大切な師匠からもらった刀なんだよ。
てめえみたいなガキにあげる物じゃねえ……
ボウズ、悪いがそれは邪魔させてもらうぜ!」
コウは手で印を結び、術を発動させた。
コウが印を結び発動させた術は竜巻を発生させる小さな嵐みたいな物……
ゴウゴウと音をたてながらまるでその小さな竜巻は刀を守るようにシールドをはっているような状態だった。
だがレオはその危険な竜巻をものともせず、そのまま竜巻に向かって刀を奪いにいった。
まさか臆する事もなくレオが刀を奪いに行く姿にびっくりしたコウ。
そしてそのレオの姿を見てコウはレオに向かって、
「……おもしれぇ!」
と、レオに向かって叫び、
「ははっ!じゃあこれなら、取れるものならとってみな!」
と、聞こえないレオに向けて挑発の言葉をはき、コウはさらに印を結び直し術の威力を高めた。
ゴアアアー!!
「……先生」
レオは荒々しくふく嵐からコウの遺留品の刀を奪い取ろうと手にかけた。
「絶対に取ってやるぞ、刀を……
そして手に取り、エヴァン先生の友人とコンタクトをとり、絶対に弟子になって修業してもらうんだ!」
と、レオは意気込み、激しい嵐の中をレオの体はそのまま風の中を突っ込んでいった。
「先生!!」
「…………!!!!」
レオが手を伸ばし、後もう一区切りで刀を手にしようとしたその時、
それは突然墓の中から無数の生前コウが夜のおかずにし大切に愛用していた大人のHな本が大量にパラパラと宙を舞うように出てきた。
レオはその突然の大量の飛んできた本の紙を見て、
「うわあー!!なんだこれ?
なんで墓の下からこんな得たいの知れない物が!
くそ!俺の顔にまとわりついて前が見えない!
くそっ!邪魔だ!」
とレオはその無数に舞う紙を見て一人苛立ち、慌ただしくその本の紙を顔からむしりとろうとしていた。
そしてむしり取った瞬間、レオが後少しで目の前にある刀を手にしようとした時、何やらモヤモヤと人影のようなものがうつってきた。
そしてレオがなんだ?と思い、疑問に思ったその時、いきなりその影はレオに向かって、
「俺が見えるのか?」
と、レオに向かって語りかけ、そしていきなり、
「ばあー!!」
と言ってレオを驚かし、コウとレオの初対面の出来事は変わった形式の出会いになった。
少し時間がたち、山奥のかつてコウが住んでいたボロ屋敷に、コウはその場で座りながらレオに向かって話しかけた。
コウは久しぶりにうれしそうな口調で、
「いや~、まさか俺が見える奴がいて会話ができるやつがいるなんてよ~。
何年ぶりだ?人と話しができたのは……クックック……
お前、あのエヴァンの弟子なんてな~。
いや~、まさかあの男が本当に弟子を持つことができたなんて、正直俺弟子を持てとあいつに言ったけどまさか本当にできるとは思わなかったけど。
……まあ、よく来たガキ。
レオって言う名前だっけ。
あれから先、俺が死んだ後、あいつ(エヴァン)はどうなったんだ?」
レオはコウにいろいろな話をした。
エヴァンとの出会い。
彼がカルベロッカとの王女と出会い結婚してその国の王になったこと。
ハーバーの出現。
ハーバーのせいでその国が乱れエヴァンの体が吸血鬼になり一回エヴァンがレオを守るため死んだこと。
実は死んでなかったエヴァン。
生きていたが、尚も続行でハーバーの支配が解けずこの時自分の師の吸血衝動を恐れ、彼を一瞬拒絶し、怯んで怯えてしまった自分。
コウはレオの話をひたすら無言で聞き、ただ黙ってレオの話を聞いていた。
そしてレオのすべての話を聞き終わった瞬間、コウは話を聞いている時はただ黙って静かに目を閉じていたが、この時閉じていたコウの目はその瞬間パチッと目を開き、そして目の前にいたレオに向かってコウはレオに向かってこう一言つげた。
それは、
「お前が弱いから悪いんだ」
……と。
一方その頃エヴァンは城の中に帰り剣を部屋に置き洗面所の所に向かうと、エヴァンは外に行き汚れた手を石鹸でゴシゴシと洗っていた。
そしてふとエヴァンは洗面所にある鏡を口元の方に目をやると鋭くとがった犬歯がギラギラとして、そして明らかに恐ろしい人とは違った禍禍しい鋭い爪をしていた。
鏡越しで写ったエヴァンの表情は暗かった。
いくら自分の体が吸血鬼になり吸血衝動が抑えられなかったとはいえ、今まで可愛がっていた弟子に拒絶され奇異な目で見られてしまったから…
あの時のレオの表情がエヴァンの頭の脳裏で何度も焼きつく……
しょうがない……
あのような光景をみたら仕方がないと頭の中では理解しているが、でも……
……
…………
エヴァンは部屋に戻りベッドで寝ているティファーの様子を見に行った。
感情的になりあの場で彼女に手を出してしまった自分。
自分は本当にこちらの(人間側の世界)にいていいのか?
ミシェランを失ってからも魔物を復讐の名目とうたっていながらも自分の中にある殺しの味の欲望を本当は紙一重で持ってる自分をはたして完璧に人間だといえるだろうか。
わからない……
わからないが、でも……
エヴァンがそうこう悩み下を向き悩んでいると、暗いその部屋からか細い声でエヴァンの名前を呼ぶ声が聞こえた。
そう、その声の主はベッドで横たわり、長い間ハーバーの手によって時空間魔法で閉じ込められていたティファーだった。
「……エヴァン」
か細く声を出し夫の名前を呼ぶティファー。
エヴァンはそんな名前を呼ぶティファーの顔を見れずにこの時目線を下にし、顔を合わせられずずっと暗い部屋でうつむいていた。
そんなエヴァンの態度を見てティファーはそっとエヴァンに向かって、
「……エヴァン、あなた、こっち来て」
と言い、ティファーはエヴァンの名前を再度呼びエヴァンを自分のベッドの所にこさせた。
エヴァンは下を向き黙っていた。
あの場でハーバーからレオを逃がすためとはいえ、
感情的になりティファーに手をだしてしまったからだ。
エヴァンの心の中の気持ちがとぐろをまくように渦巻く。
彼女の顔がまともに見られない……
目線が合わせられない……
どうしたら……
するとエヴァンがそうこう暗い顔をしただ黙ってているとティファーがベッドからエヴァンに向かって、
「……ごめんなさい、エヴァン。
あの時貴方の気持ちをちゃんとくみ取るができなくて……、
貴方は貴方は、あの時ハーバーの前でレオを逃がすために自分を演じていたのね。
あのハーバーのいる状況の中で……
あの時あんな態度をとらなければレオは確実にハーバーに殺されていた。
相手は人を虫けらのように殺すハーバーだから……
ごめん、ごめんなさいエヴァン。
貴方の気持ちを気づいてあげらなくって……
私、妻失格ね、エヴァン」
それを聞いたエヴァンはベッドで寝ているティファーに向かって、
「……っっ!違う!!」
と大きな声でティファーに向かって声をだした。
そして少し間をあけ、エヴァンは再度ティファーに向かって口を開き、下を向き押し黙りながらもエヴァンは心の中で自分が思っていることを口にだしはじめた。
この時エヴァンが心の中で思っている事はこうである。
それは、
「確かに半分はあの時レオを助ける為に芝居をうった。
そうだ、あの時あの場面でそうしなければ確実にレオは殺されていた。
ハーバーはこの時すでにレオに目をつけ、確実にレオを葬ろうとしていたからな。
……だがもう半分は自分でもわからない。
見ろ、ティファー、この手……
私の象徴に相応しい魔族の手だ!
私は君やレオと出会う前数々の魔物を葬ってきた。
騎士団時代、無論組織は魔物を討伐することが主な生業だが、私はイタズラ半分で魔物を痛めつけこの手で多くの生き物をなぶり殺してきた。
楽しかったからだ……
楽しくって、いつの間にか私はミシェランの命を奪った魔物に対しての憎しみを通り越し、今度は私自身彼らにとって驚異の殺戮者になった。
軽蔑しているだろう……知らなかっただろう、ティファー。
君やレオに会う前はこんな烏滸がましく醜い殺戮者の本質を持ちながらも、あろうことか君に出会いこの国の王になり、カルベロッカの王になった。
由緒正しき歴史あるこの国の王なのに、あろうことか吸血鬼どもに取り込まれて……
私はもう、人間ではない。
そしてまた意識を失い君を襲う……
もう、君達とちがい人間ではないんだ。
私は、私は……」
エヴァンはティファーのベッドの前でうつむき下を向き黙っていた。
胸の内の本音をティファーに向かって話したエヴァン。
ハーバーが現れ、自分の体が吸血鬼に変化し、行き場をなくしたと感じるエヴァンであって、
ハーバーによって意識を失い操られていたとはいえ自分の国の国民を守れずなおかつハーバーに加担した形になり、国民を吸血鬼にかえ、自らも血を吸い歯止めがきいていない状態になっていた。
そして奇跡的にレオによって意識をとり戻し、自分の意思を保つことができたとはいえ、
今度は昔の殺しの本質を吸血鬼達に指摘され、もともとこちら側の者だと心の奥底にある本質をハーバー達によって言われ、
本当に自分はこちら側(人間)にいれるんだろうかと疑問に思い苦しんでいた。
そして輪をかけるように今回のレオとエヴァンとの亀裂が生まれたあの1件……
そんな重く悩みエヴァンは苦悩していると、ティファーはそんなエヴァンに対して、フッとこんな言葉を投げ掛けた。
それはエヴァン自身が本心で心の底から望んでいること。
過去や周りの状況がどうなってしまったとはいえ、今、エヴァン自身何を望んでいるか……
ティファーはベッドで暗くうつむき悩んでいるエヴァンに対してこの時エヴァンに向かって強く言葉を投げ掛けた。
それを聞いたエヴァンはフッとこの時下を向いてた顔をティファーの方を向いて顔をあげ、エヴァンはこの時ティファーに向かってボソッと、
「……私はもう一度やり直したい。
やり直して人間の体に戻って、レオや君とこの国の人達と仲良く暮らしたい。
こんな腑甲斐無い皆を守りきれてない私だが、今一度、もう一度チャンスが欲しい……
人の体に戻ってもう一度楽しい一時を過ごしたい……
私は、私は、ティファー……」
ポロポロポロ……
エヴァンはこの時下を向きながら涙を流しティファーの前で目を閉じた。
そんなエヴァンの様子を見たティファーは、
「出来るよ、エヴァン。貴方ならきっと……
一緒に人間に戻る方法を探しましょう、エヴァン」
と言い、ティファーはベッドの前にいるエヴァンの手をそっと握り、エヴァンの泣いている顔を包み込むようにぎゅっと抱きしめ、二人で支え会うように優しくその場をたしなみ涙を流しながら抱き合った。
それから間もなくして二人はベッドで重ねあい手を繋ぎキスをした。
何ヵ月ぶりだろう……
ティファーの体にふれあい、彼女の口にキスをし、肌と肌がふれあい小さな体を抱くのは……
愛おしい……
体がすごく熱い……
ハーバーによって半吸血鬼化してしまった私の体だが、もう温もりも冷めて半分組織が冒され冷えきってしまった体だが、
今、こうして愛おしい彼女の体を触れあうことによって、まるで彼女からでてる強い生命力エネルギーによって、私の体が癒され力がみなぎってくる……
好きだ……
好きだ、ティファー。
荒れ狂うように激しく、とてもじゃないが自身の理性の枠には押さえ付けられない感情が身体中にグルグルと駆け巡っていき、
そして、私は、私はもう……、
ぐぐっ、ぐぐぐぐっっ!!!
「!!!」
エヴァンはこの時突然力強くティファーの小さな手をベッドの所で押さえつけた。
そしてエヴァンは激しくティファーの舌を絡ませて舐めあい、なおかつ彼女の一番感じる所の穴にエヴァンの大事なものを入れ、この時エヴァンの固くきらしたものはティファーの体に全身激しく感じさせた。
「っっ!! あぁーっ!!」
思わずベッドの上で喚声をあげ、悶えるティファー。
ティファーは無言で何も語らずただ力強く抱いてるエヴァンに向かって、
「……貴方、優しく……」
と、汗をかき下を向きながらティファーの体を抱いているエヴァンに向かって行為をしている最中にぼそっといった。
それを聞いたエヴァンは、悶え息をきらしてるティファーに向かってボソッと、
「……ごめん、それは出来ない」
とエヴァンは言い、心の奥底にあるティファーに対しての激しい感情を抑制する事ができず、エヴァンはティファーに対してそのままベッドで強く抱きしめ、そのまま二人はベッドでいってしまった。
その後二人はベッドで枕を添えて横で寝て、初めて二人が出会いエヴァンがティファーの両親にあいさつをし、二人で一夜を過ごした日をエヴァンはふと思い浮かべていた。
そして隣で横になってティファーの様子を見ると、ティファーはエヴァンに向かって、
「……エヴァン、ごめん、あの時私がハーバーに捕らわれなければ貴方はハーバーを倒せてこんな状態になっていなかったかもしれないのに……
ごめん、ごめんなさい、エヴァン。
私は、私は……」
「…………」
それを聞いたエヴァンは隣で泣いているティファーに向かってそっと、
「……ハーバーを倒せていたのかわからない。
奴の力は未知数で全く読めない奴だからな。
それと私はもう二度と大切な人を失いたくない。
君を失ってまで私は……」
とこの時エヴァンは向かい合わせになっているティファーに言い、そしてエヴァンは泣いているティファーの体をぎゅっと抱きしめ、決意に秘めた目で、
「今度こそ、ハーバーを倒す。
だがその前に人間の身体に戻る方法を探すよ、ティファー」
と、エヴァンはこの時遠くを見つめ、ティファーをベッドの上で抱きしめながら元の身体に戻る方法をこの時頭の中で検索していた。
その者の名は相田コウ……
エヴァンと騎士団時代の同期、日本支部から派遣されたカラクリ部隊で、日本独自の特殊部隊に所属している実質エヴァンを除いてNo.2の実力の者だった。
レオはこの時大きな地図を拡げて、
「確かここだったかな……
エヴァン先生の友達の相田コウっていう日本人は……
一体どんな奴なんだろう?
なんか先生が破天荒やなんやらの性格っていっていたような……
うーん、この辺りの墓地に埋葬されているんだと思うんだけど、彼の墓地は一体どこに?……」
レオが山岳地帯の墓地でウロウロしていると、その声の主は後ろからレオに問いかけるようにレオに向かって話しかけてきた。それは、
「よぉー。
どこのおチビちゃんかわからんが、俺の墓地にわざわざ来て、一体俺に何のようだい?
ってか、俺の姿見えてねぇか、ぼうず……
へっへっへっ、少しばかり脅かしてびっくりさせてやるか、クックック……
ほらよ!」
そう言い、コウが辺りをキョロキョロして見知らぬレオを見てそう言うと、コウはぞくにいう幽霊独特の能力ポルターガイストをしかけ、目の前にいるレオを脅かさそうとした。
レオはその揺れ動く物とかを見て、
「わっ!なんだなんだ?地震か?
まったく、なんでこんな時に地震が発生するんだ。くそ!俺もついてないな、くっ……
とにかく一旦身を守らなきゃ……」
レオが身を隠し体を守りの姿勢にすると、コウはそのレオの様子を見て、
「おらおらー!おチビちゃん、怖いか怖いか、このボケがっ!
生憎地震じゃねえぜ、この現象はよ~。
それ、もっと激しく揺れるぜ、墓どもがよ~。
びびれ!ちびれ!そしてもっと怖がりな!クックック……」
別に単に地震だと思っているレオは決してポルターガイスト現象に怖がっているのではなく、安全確保の為に身を低くし体を固めていた。
そうとも感じず段々とエスカレートするコウの嫌がらせの行為……
やがて墓石の中からいろいろな物が中から飛び出し、その場は異常な状態になっていた。
レオは墓石の中から吹き出している物を見て、
「どれだ?相田コウの遺留品の物は?
たくさん物が空中に浮いて飛び出しているが、掘り出す手間は省けそうだな……
後は遺留品に触れて、彼と接触できたらいいけど……」
レオは自分の特殊能力、相手の体やその一部の物に触れるとその者と心を通わしコンタクトのとれる能力を使い、彼との会話を試みようとしていた。
実際エヴァンとはハーバーの支配からエヴァンがレオを守るため自分の心臓を貫ぬき血が大量に出た時、エヴァンの血液を伝って彼の心の中に無意識で入れる事に成功した。
そして今度はレオは実は生きていたエヴァンの口から話を聞き、彼が忍者使いの者だとエヴァンの話からちょこっと出ていた。
その中で忍者とは主にクナイや手裏剣、刀を使い敵と戦うと聞く。
そして日本人は武器に対して特に執着心を抱きやすく、自分の体の一部のように扱うと本で見たことがあった。
すなわち体の一部=武器(遺留品)
直接その者の体の一部のDNAでなくても、思いがつもっている物であればレオは彼との魂の会話ができると思い、ここに来るまで騎士団の所属していた情報を調べここに訪れたのだ。
(……なにせ遺体は爆死していると聞いてるから体の一部はとれないだろうとレオは思っている為)
「オラオラオラ!どんどん揺らすぜ!この野郎!
オバケだぁ~!怖いぞ!ガキ!」
ガタガタガタガタ!
コウがこの時声が聞こえてないレオに向かってそう言うと、墓の中からいろんな物が出てきて飛び出し、多くの物は宙を舞い、場は異様な雰囲気になっていた。
レオはこの状況を見て、
「なんで浮いてるのかわからんけど、この中から探すぞ!
刀……この中でそれらしい武器はないかな?
あれば触れれば彼とコンタクトが取れるんだけど……結構揺れが激しく動きにくいな……
でもやるしかない!絶対にエヴァン先生を救いだし、彼、(相田コウ)の元で修行をし、力を身につけなければ……
先生……
エヴァン先生!」
……!
レオはこの時エヴァンの顔を想い浮かべ、揺れる状況の中起ちあがり顔つきが変化した。
顔つきが変化する中、あまりにもハーバー達と対面し力量不足を感じたレオ。
そしてハーバーによって吸血鬼の身体と化したエヴァンでさえ、何も出来ずにレオはそのまま敗北を味わい、結局彼をハーバーの呪縛から解き放つ事が出来なかった。
エヴァンを自殺に追い込んだハーバー。
尚且つエヴァンが生きていて彼が奇跡的に意識が一時期戻ったとはいえ、吸血鬼の体であるかぎり完全にハーバーの支配から解かれたのではなく、 引き続きティファーの事も含め人質にとられてエヴァンは悪戦苦闘していた。
そんな中、レオはそのような状況の中彼を救うために、一刻も早くこの時なんとしても力を身につけなければならなかった。
もう、目の前で大切な人を失いたくない……
レオは墓の中から無数に飛び交ってる物を探し、地面が揺れ行く中、コウの遺留品を探し始めた。
その中で浮いてる物で1つ、刀らしき物が見つかった。
レオはこれだと思い、その刀を手に取ろうとした。
レオの様子を見てコウは、
「なんだ、あのガキ……
俺の刀を墓から奪うつもりかよ……
だめだだめだ、盗っ人め。それは俺の命より大事な大切な師匠からもらった刀なんだよ。
てめえみたいなガキにあげる物じゃねえ……
ボウズ、悪いがそれは邪魔させてもらうぜ!」
コウは手で印を結び、術を発動させた。
コウが印を結び発動させた術は竜巻を発生させる小さな嵐みたいな物……
ゴウゴウと音をたてながらまるでその小さな竜巻は刀を守るようにシールドをはっているような状態だった。
だがレオはその危険な竜巻をものともせず、そのまま竜巻に向かって刀を奪いにいった。
まさか臆する事もなくレオが刀を奪いに行く姿にびっくりしたコウ。
そしてそのレオの姿を見てコウはレオに向かって、
「……おもしれぇ!」
と、レオに向かって叫び、
「ははっ!じゃあこれなら、取れるものならとってみな!」
と、聞こえないレオに向けて挑発の言葉をはき、コウはさらに印を結び直し術の威力を高めた。
ゴアアアー!!
「……先生」
レオは荒々しくふく嵐からコウの遺留品の刀を奪い取ろうと手にかけた。
「絶対に取ってやるぞ、刀を……
そして手に取り、エヴァン先生の友人とコンタクトをとり、絶対に弟子になって修業してもらうんだ!」
と、レオは意気込み、激しい嵐の中をレオの体はそのまま風の中を突っ込んでいった。
「先生!!」
「…………!!!!」
レオが手を伸ばし、後もう一区切りで刀を手にしようとしたその時、
それは突然墓の中から無数の生前コウが夜のおかずにし大切に愛用していた大人のHな本が大量にパラパラと宙を舞うように出てきた。
レオはその突然の大量の飛んできた本の紙を見て、
「うわあー!!なんだこれ?
なんで墓の下からこんな得たいの知れない物が!
くそ!俺の顔にまとわりついて前が見えない!
くそっ!邪魔だ!」
とレオはその無数に舞う紙を見て一人苛立ち、慌ただしくその本の紙を顔からむしりとろうとしていた。
そしてむしり取った瞬間、レオが後少しで目の前にある刀を手にしようとした時、何やらモヤモヤと人影のようなものがうつってきた。
そしてレオがなんだ?と思い、疑問に思ったその時、いきなりその影はレオに向かって、
「俺が見えるのか?」
と、レオに向かって語りかけ、そしていきなり、
「ばあー!!」
と言ってレオを驚かし、コウとレオの初対面の出来事は変わった形式の出会いになった。
少し時間がたち、山奥のかつてコウが住んでいたボロ屋敷に、コウはその場で座りながらレオに向かって話しかけた。
コウは久しぶりにうれしそうな口調で、
「いや~、まさか俺が見える奴がいて会話ができるやつがいるなんてよ~。
何年ぶりだ?人と話しができたのは……クックック……
お前、あのエヴァンの弟子なんてな~。
いや~、まさかあの男が本当に弟子を持つことができたなんて、正直俺弟子を持てとあいつに言ったけどまさか本当にできるとは思わなかったけど。
……まあ、よく来たガキ。
レオって言う名前だっけ。
あれから先、俺が死んだ後、あいつ(エヴァン)はどうなったんだ?」
レオはコウにいろいろな話をした。
エヴァンとの出会い。
彼がカルベロッカとの王女と出会い結婚してその国の王になったこと。
ハーバーの出現。
ハーバーのせいでその国が乱れエヴァンの体が吸血鬼になり一回エヴァンがレオを守るため死んだこと。
実は死んでなかったエヴァン。
生きていたが、尚も続行でハーバーの支配が解けずこの時自分の師の吸血衝動を恐れ、彼を一瞬拒絶し、怯んで怯えてしまった自分。
コウはレオの話をひたすら無言で聞き、ただ黙ってレオの話を聞いていた。
そしてレオのすべての話を聞き終わった瞬間、コウは話を聞いている時はただ黙って静かに目を閉じていたが、この時閉じていたコウの目はその瞬間パチッと目を開き、そして目の前にいたレオに向かってコウはレオに向かってこう一言つげた。
それは、
「お前が弱いから悪いんだ」
……と。
一方その頃エヴァンは城の中に帰り剣を部屋に置き洗面所の所に向かうと、エヴァンは外に行き汚れた手を石鹸でゴシゴシと洗っていた。
そしてふとエヴァンは洗面所にある鏡を口元の方に目をやると鋭くとがった犬歯がギラギラとして、そして明らかに恐ろしい人とは違った禍禍しい鋭い爪をしていた。
鏡越しで写ったエヴァンの表情は暗かった。
いくら自分の体が吸血鬼になり吸血衝動が抑えられなかったとはいえ、今まで可愛がっていた弟子に拒絶され奇異な目で見られてしまったから…
あの時のレオの表情がエヴァンの頭の脳裏で何度も焼きつく……
しょうがない……
あのような光景をみたら仕方がないと頭の中では理解しているが、でも……
……
…………
エヴァンは部屋に戻りベッドで寝ているティファーの様子を見に行った。
感情的になりあの場で彼女に手を出してしまった自分。
自分は本当にこちらの(人間側の世界)にいていいのか?
ミシェランを失ってからも魔物を復讐の名目とうたっていながらも自分の中にある殺しの味の欲望を本当は紙一重で持ってる自分をはたして完璧に人間だといえるだろうか。
わからない……
わからないが、でも……
エヴァンがそうこう悩み下を向き悩んでいると、暗いその部屋からか細い声でエヴァンの名前を呼ぶ声が聞こえた。
そう、その声の主はベッドで横たわり、長い間ハーバーの手によって時空間魔法で閉じ込められていたティファーだった。
「……エヴァン」
か細く声を出し夫の名前を呼ぶティファー。
エヴァンはそんな名前を呼ぶティファーの顔を見れずにこの時目線を下にし、顔を合わせられずずっと暗い部屋でうつむいていた。
そんなエヴァンの態度を見てティファーはそっとエヴァンに向かって、
「……エヴァン、あなた、こっち来て」
と言い、ティファーはエヴァンの名前を再度呼びエヴァンを自分のベッドの所にこさせた。
エヴァンは下を向き黙っていた。
あの場でハーバーからレオを逃がすためとはいえ、
感情的になりティファーに手をだしてしまったからだ。
エヴァンの心の中の気持ちがとぐろをまくように渦巻く。
彼女の顔がまともに見られない……
目線が合わせられない……
どうしたら……
するとエヴァンがそうこう暗い顔をしただ黙ってているとティファーがベッドからエヴァンに向かって、
「……ごめんなさい、エヴァン。
あの時貴方の気持ちをちゃんとくみ取るができなくて……、
貴方は貴方は、あの時ハーバーの前でレオを逃がすために自分を演じていたのね。
あのハーバーのいる状況の中で……
あの時あんな態度をとらなければレオは確実にハーバーに殺されていた。
相手は人を虫けらのように殺すハーバーだから……
ごめん、ごめんなさいエヴァン。
貴方の気持ちを気づいてあげらなくって……
私、妻失格ね、エヴァン」
それを聞いたエヴァンはベッドで寝ているティファーに向かって、
「……っっ!違う!!」
と大きな声でティファーに向かって声をだした。
そして少し間をあけ、エヴァンは再度ティファーに向かって口を開き、下を向き押し黙りながらもエヴァンは心の中で自分が思っていることを口にだしはじめた。
この時エヴァンが心の中で思っている事はこうである。
それは、
「確かに半分はあの時レオを助ける為に芝居をうった。
そうだ、あの時あの場面でそうしなければ確実にレオは殺されていた。
ハーバーはこの時すでにレオに目をつけ、確実にレオを葬ろうとしていたからな。
……だがもう半分は自分でもわからない。
見ろ、ティファー、この手……
私の象徴に相応しい魔族の手だ!
私は君やレオと出会う前数々の魔物を葬ってきた。
騎士団時代、無論組織は魔物を討伐することが主な生業だが、私はイタズラ半分で魔物を痛めつけこの手で多くの生き物をなぶり殺してきた。
楽しかったからだ……
楽しくって、いつの間にか私はミシェランの命を奪った魔物に対しての憎しみを通り越し、今度は私自身彼らにとって驚異の殺戮者になった。
軽蔑しているだろう……知らなかっただろう、ティファー。
君やレオに会う前はこんな烏滸がましく醜い殺戮者の本質を持ちながらも、あろうことか君に出会いこの国の王になり、カルベロッカの王になった。
由緒正しき歴史あるこの国の王なのに、あろうことか吸血鬼どもに取り込まれて……
私はもう、人間ではない。
そしてまた意識を失い君を襲う……
もう、君達とちがい人間ではないんだ。
私は、私は……」
エヴァンはティファーのベッドの前でうつむき下を向き黙っていた。
胸の内の本音をティファーに向かって話したエヴァン。
ハーバーが現れ、自分の体が吸血鬼に変化し、行き場をなくしたと感じるエヴァンであって、
ハーバーによって意識を失い操られていたとはいえ自分の国の国民を守れずなおかつハーバーに加担した形になり、国民を吸血鬼にかえ、自らも血を吸い歯止めがきいていない状態になっていた。
そして奇跡的にレオによって意識をとり戻し、自分の意思を保つことができたとはいえ、
今度は昔の殺しの本質を吸血鬼達に指摘され、もともとこちら側の者だと心の奥底にある本質をハーバー達によって言われ、
本当に自分はこちら側(人間)にいれるんだろうかと疑問に思い苦しんでいた。
そして輪をかけるように今回のレオとエヴァンとの亀裂が生まれたあの1件……
そんな重く悩みエヴァンは苦悩していると、ティファーはそんなエヴァンに対して、フッとこんな言葉を投げ掛けた。
それはエヴァン自身が本心で心の底から望んでいること。
過去や周りの状況がどうなってしまったとはいえ、今、エヴァン自身何を望んでいるか……
ティファーはベッドで暗くうつむき悩んでいるエヴァンに対してこの時エヴァンに向かって強く言葉を投げ掛けた。
それを聞いたエヴァンはフッとこの時下を向いてた顔をティファーの方を向いて顔をあげ、エヴァンはこの時ティファーに向かってボソッと、
「……私はもう一度やり直したい。
やり直して人間の体に戻って、レオや君とこの国の人達と仲良く暮らしたい。
こんな腑甲斐無い皆を守りきれてない私だが、今一度、もう一度チャンスが欲しい……
人の体に戻ってもう一度楽しい一時を過ごしたい……
私は、私は、ティファー……」
ポロポロポロ……
エヴァンはこの時下を向きながら涙を流しティファーの前で目を閉じた。
そんなエヴァンの様子を見たティファーは、
「出来るよ、エヴァン。貴方ならきっと……
一緒に人間に戻る方法を探しましょう、エヴァン」
と言い、ティファーはベッドの前にいるエヴァンの手をそっと握り、エヴァンの泣いている顔を包み込むようにぎゅっと抱きしめ、二人で支え会うように優しくその場をたしなみ涙を流しながら抱き合った。
それから間もなくして二人はベッドで重ねあい手を繋ぎキスをした。
何ヵ月ぶりだろう……
ティファーの体にふれあい、彼女の口にキスをし、肌と肌がふれあい小さな体を抱くのは……
愛おしい……
体がすごく熱い……
ハーバーによって半吸血鬼化してしまった私の体だが、もう温もりも冷めて半分組織が冒され冷えきってしまった体だが、
今、こうして愛おしい彼女の体を触れあうことによって、まるで彼女からでてる強い生命力エネルギーによって、私の体が癒され力がみなぎってくる……
好きだ……
好きだ、ティファー。
荒れ狂うように激しく、とてもじゃないが自身の理性の枠には押さえ付けられない感情が身体中にグルグルと駆け巡っていき、
そして、私は、私はもう……、
ぐぐっ、ぐぐぐぐっっ!!!
「!!!」
エヴァンはこの時突然力強くティファーの小さな手をベッドの所で押さえつけた。
そしてエヴァンは激しくティファーの舌を絡ませて舐めあい、なおかつ彼女の一番感じる所の穴にエヴァンの大事なものを入れ、この時エヴァンの固くきらしたものはティファーの体に全身激しく感じさせた。
「っっ!! あぁーっ!!」
思わずベッドの上で喚声をあげ、悶えるティファー。
ティファーは無言で何も語らずただ力強く抱いてるエヴァンに向かって、
「……貴方、優しく……」
と、汗をかき下を向きながらティファーの体を抱いているエヴァンに向かって行為をしている最中にぼそっといった。
それを聞いたエヴァンは、悶え息をきらしてるティファーに向かってボソッと、
「……ごめん、それは出来ない」
とエヴァンは言い、心の奥底にあるティファーに対しての激しい感情を抑制する事ができず、エヴァンはティファーに対してそのままベッドで強く抱きしめ、そのまま二人はベッドでいってしまった。
その後二人はベッドで枕を添えて横で寝て、初めて二人が出会いエヴァンがティファーの両親にあいさつをし、二人で一夜を過ごした日をエヴァンはふと思い浮かべていた。
そして隣で横になってティファーの様子を見ると、ティファーはエヴァンに向かって、
「……エヴァン、ごめん、あの時私がハーバーに捕らわれなければ貴方はハーバーを倒せてこんな状態になっていなかったかもしれないのに……
ごめん、ごめんなさい、エヴァン。
私は、私は……」
「…………」
それを聞いたエヴァンは隣で泣いているティファーに向かってそっと、
「……ハーバーを倒せていたのかわからない。
奴の力は未知数で全く読めない奴だからな。
それと私はもう二度と大切な人を失いたくない。
君を失ってまで私は……」
とこの時エヴァンは向かい合わせになっているティファーに言い、そしてエヴァンは泣いているティファーの体をぎゅっと抱きしめ、決意に秘めた目で、
「今度こそ、ハーバーを倒す。
だがその前に人間の身体に戻る方法を探すよ、ティファー」
と、エヴァンはこの時遠くを見つめ、ティファーをベッドの上で抱きしめながら元の身体に戻る方法をこの時頭の中で検索していた。