第7話 The hatred.

文字数 1,468文字

夕方になると、私のご主人様が慌ただしく帰宅されます。
様々な理由で大騒ぎして私の元にやって来られます。
大抵は金の無心なのですが、
自分を虐めた相手への報復の場合も多うございました。

そんな日々が続きましたがご主人様が私をロボット呼ばわりする事は一切ありませんでした。
いつも主従関係ではなく私を兄弟(とも)と呼び隣に置いてくださいました。

ーそんな貴方様の素晴らしい未来を私はお約束する、と毎晩押入れで誓ったものです。


私は貴方様を栄光ある未来へと導きます。
それが私が働いている理由です。
いずれ廃棄されるまでの私の務めです

…と信じておりました。


しかし貴方様はいつもそうであられた様に

…また今回も途中で投げ出されるのですか?

貴方様が望み、私が創造した世界で

成功者になれたのに。

何故?何故ゆえ貴方様は私のする事を止めようとなさるのですか?

まぁ…そうでしたな。
…いつもそうでしたな。

私の提案をからかい、
素晴らしい道具を冗談の様に斜め上な感じに使って仕舞われる。

あぁ貴方様は変わらない。

やはり貴方様は悪童sewashの祖父ですね。


貴方様は彼が私にした事と同じ事をなさるおつもりですか?

それなら私も本気でお相手いたします。


ーさぁ決着をつける時です。

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第7話 The hatred.
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Zzzzzzz.


「…ぃちゃん。…じぃちゃん!」

いつの間にか寝ていた。

「まったく!仲間になった途端に昼寝って!
これから忙しくなるんだよ。おじいちゃん。」

しかしその時俺はかすかな”何か”を感じて既に目覚めていた。
ーそして孫の言うことは聞き流し、
言った。

「Ash (Sewash)、…いるぞ。」

Sewashは一瞬固まった後、腕時計のカメラを彼の背後、Ko-IKEAのコーヒーテーブルの下に向けた後、俺に小声で言った。

「…見つけた。振り向かないで。」

ハエの様な小さな虫が床にとまっているのが見えた。

「さぁ、おじいちゃん。」

Sewashは後ろ向きにそっとエアーガンリキッド(携帯用空気銃液状タイプ)を右手に一滴差してくれた。そのまま俺は脇から親指を突き出し、バンッ。
振り返ることなくスパイ蝿を撃ち抜いた。


「ヒュー!益々腕前が上がってるね。じいちゃん。昔からこれだけは上手かった!畳下の宇宙人助けた時も…」

俺は言葉を遮った。

「その話はやめてくれ。あの後随分Giantにからかわれた。」


ハエの正体は小さな観測艇だった。
技術自体は大したことはないがチート道具 Flash-to-smallでハエサイズに縮んでいた。

「仲間になった事気付かれたね。場所もバレたし、どうする?おじいちゃん。」

あらゆる未来の兵器を持っている相手とはマトモにやりあえる筈がない。

ー考えろ。

…そうだ。

「Ash、害獣駆除センターに鼠…」

「Rat?もう効果ないよ。奴は克服したんだ。未来に引き上げてきたその日に僕の目的を達成しなかった罰でRat Saunaに閉じ込めたんだけど(笑)。…あれは傑作だったよ。あいつはRat達の体温で高温になった部屋からサビだらけになって半日掛けて這い出てきたんだ。で、一発蹴飛ばして許してやった。もう勝手に何処へでも行ってしまえってね。」

「機械相手に何やってんだ?って心底反省したよ。」

ー時々自分が何を信じていいのかわからなくなる。現在知る限り唯一の血縁がこのサイコパスなのだ。

「…ではプランβだな。こちらにも強力な味方を付けよう。」

俺は甦った記憶に一蓮托生する事にした。


「奴の妹はどこだ?」


(続く)
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