第2話 お食事会
文字数 1,269文字
父に連れられた先はレストランだった。
渡されたメニューには値段が書いていなかった。
とはいえ、品数で想像はついたので高そうなのを選んでやった。
そう言って、父はすらすらとオーダーした。
恐らく、高いであろうシャンパンは私の口には合わなかった。
察してか、父は店員を呼んでベリーニというカクテルにしてくれた。
父は鮎をかじってから、シャンパングラスを傾ける。
大型トラックの運転手だからか、母の味付けは豪快だった。
そのことに対して呆れてはいたものの、憎んだ口調ではなかった。
母の言葉を伝えただけで無邪気な笑顔。
その後も、料理が来る度に父は蘊蓄を語ってはお酒を呷る。
母は基本的にお酒を飲まない。
なのに目の前でこんな風に飲まれたら、ストレスも溜まるだろう。
なんというか、ここまで来ると笑えてしまった。
父は本当にお酒が大好きで――
母はそのことを知っていて――