第9話 ラインハルトのぼやき
文字数 2,339文字
ギルガメッシュの酒場では日課の掃除と洗濯が終わって、貴史達三人はのんびりしていた。
タリーが腰を上げた時、ぼろぼろの姿をしたヒマリア軍の士官がギルガメッシュの酒場に入ってきた。
貴史が駆け寄ってみると、その士官は体のあちこちに切り傷やひっかき傷があり、疲れ切った表情をしている。ヤースミーンも手助けして士官を酒場の中に案内し、椅子に座らせた。
士官が息も絶え絶えに言うと、ヤースミーンはあっさり答えた。
士官が立ちあがろうとするのをタリーが押しとどめた。
ヤースミーンがつぶやき、貴史達三人は顔を見合わせてニヤニヤした。
タリーがひやかし、貴史達の態度にいらっとしたラインハルトは椅子から立ちあがるが、途端に傷の痛みに顔をしかめる。
その時、酒場の隅で餌を食べていたスラチンが近寄ってきた。そして、何かぶつぶつ言いながらラインハルトの前に来ると気合いを込めてぴょんと跳び上がる。
すると、ほんわかした青い光が発生してラインハルトの全身を包んだ。光は直に消えたが、ラインハルトは驚愕の表情でつぶやいた。
ラインハルトは感動した様子で話すが、貴史達はラインハルトをほったらかしにしてスラチンを取り囲んでいた。
貴史がスラチンの頭をぽんぽんと叩きながら褒めちぎり、スラチンは得意げにピョンピョンと飛び回る。
ヤースミーンはスラチンの表皮を子細に調べている。
タリーもヤースミーンと一緒にスラチンをのぞき込みながら言う。
ヤースミーンが貴史に告げた。
貴史としてはまんざらでもない。その時、ラインハルトが遠慮がちに声をかけた。
タリーは腕組みをしてラインハルトの前に立ちふさがった。
ラインハルトは気弱そうに答えた。
タリーは厨房に向かいながらラインハルトに続けて言った。
ラインハルトは考え込んでいたがやがて答えた。
しかし、タリーの姿はすでになかった。ラインハルトが即答しないから、タリーは厨房に行ってしまったのだ。
ラインハルトの問いに、貴史が答える。
貴史はラインハルトに告げると、タリーの後を追って厨房に向かった。しかし、貴史としては別のことを言いたかったのだ。
貴史の訴えを聞いたタリーは苦い顔で答えた。
貴史が黙っているとタリーは話を続けた。
雇用主に下手に出られると貴史としても断りにくい。
タリーは貴史の答えを聞いてほっとした様子だ。
しばらくしてラインハルトが出発する時刻になると、タリーはできあがった昼食の包みをほれと貴史に手渡した。
包みは貴史の分以外に三つ作られている。
貴史が尋ねるとタリーは首を振っって答えた。
タリーは決定事項のように言い放ち、結局、身支度を調えた貴史とヤースミーンはスラチンを連れてラインハルトの案内役をすることになった。
ラインハルトのねぎらいの言葉に貴史がこたえた。ラインハルトは大きなため息をつくとつぶやいた。
ラインハルトはため息をついて答えた。