第1話

文字数 1,506文字

起)中学2年生のトオルは思春期真っ只中で、両親とはほとんど口を聞いていない。トオルは最近、ずっと付き合っていた彼女と別れたばっかりで気持ちが塞がっていた。そんなとき、SNSに正体不明の可愛い女子中学生レナがいるという噂が学校内で流れる。トオルはその噂が気になり、いままでやってこなかったSNSを始め、その女子中学生とコンタクトをとろうとする。

承)トオルはレナのアカウントをフォローするとすぐにレナがフォロー返しをしてくれて、2人はDMで会話をするようになる。2人は次第に仲を深めていき、トオルはレナに自分が出場する陸上の大会に応援しにきてほしいとお願いする。レナはそのお願いを聞き入れ、トオルが走る5分間だけ応援しに行くことを約束する。そして大会当日の朝、トオルの両親は「応援に行くね」とトオルに言うが、トオルは「来なくていい」と言い家を出る。そして、トオルはレナが応援に来てくれるとワクワクしながらウオーミングアップを始め、1500mに出場する。トオルは見事自己ベストを更新し、大会を終える。家に帰ってスマホを見るとレナからトオルが走っているときのビデオと自己ベストおめでとうというDMが送られていた。トオルはレナの応援のおかげで自己ベストが出たと返信し、2人の仲はさらに深まっていく。

転)トオルはレナに生で会いたいと思うようになり、二人でご飯を食べにいくことを頻繁に提案する。しかしながら、毎回レナにその日は忙しいからごめんと言われ毎回断られてしまう。そんな状況にトオルは痺れを切らし、一瞬だけでもレナと会いたいからレナの通う学校名を教えてと伝え、レナから教えられた学校に行く。トオルは校門でレナの帰りを待つがレナらしき人物は全く現れない。そのうちに日が暮れていき、先生たちに不審がられ、なんでここにずっといるのかと聞かれる。トオルはレナを待っていると先生に伝えると、そんな生徒はいないと言われてしまう。トオルは落ち込んで帰路につくが、レナに自分と会えない何か大きな理由があるのではないかと思い始める。そして、トオルはレナについての何か手がかりがないかどうかSNSの写真を徹底的に調べ上げることを始める。懸命な調査の結果、トオルは一枚の写真にリナとは別人のおじさんが小さく鏡に映りこんでいるのを発見してしまう。

結)トオルはリナの正体があのおじさんであり、だからこそ自分と会うことができなかったんだと推測し、自分を騙したおじさんの正体を突き止めてやろうと考える。しかしながら、トオルは突然レナからブロックされてしまい、これ以上調査ができなくなってしまう。困り果てたトオルだが、そういえば大会の応援の時に自己ベストおめでとうというDMが送られてきたが、どうして自分の自己ベストを知っていたんだろうと、ふと疑問に思い始める。自分の自己ベストを知っているのは部活の仲間と両親しかいない。その中でおじさんは自分の父親しかいない。もしかして、あのおじさんは自分の父親なのではないかと思い始める。しかしながら、トオルは父親と話すのがとても気まずい。そのため、夜にこっそり父親のスマホを持って寝室に潜入し、寝ている間に指紋認証で開ける作戦を計画する。この作戦は見事上手くいき、まさかまさかと思いつつトオルは父親の携帯をこっそり開く。するとレナのアカウントがあり、レナの正体はやはり加工アプリで女子中学生に変身したトオルの父親だったのだ。トオルは急に自分がやってきたことがとても馬鹿らしく思えてきて、笑いが止まらなくなってしまう。この出来事をきっかけにトオルの思春期の両親とのわだかまりは解消し、明るい生活が始まったのである。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み