なな

文字数 548文字

 次の週、早速顔合わせが行われた。採用担当は俺と半田さん、教育担当は半田さんの同期の上野さんと俺の同期の板橋だ。よりによって向こうの派閥の二大巨頭を揃えてくるなんて、どうかしているとしか思えない。それぞれ同期同士だから上手くいくだろうとの思惑なのかもしれないが、そんなものはクソ食らえだ。

 ちなみに上野さんはキャリアウーマンのお手本のような人で、仕事はバリバリやるタイプだ。しかし、自分のイメージ通りに仕事を進めたいが故に口調がキツいときがある。また、自分がこれだと思ったものは絶対に曲げない頑固なところもある。俺はこの人とうまくやっていける自信がない。一方板橋は、上野さんとは違って仕事熱心という訳ではなくこだわりがないため、仕事上は問題ない。しかしやっかいなのは、派閥や連帯感を好むところだ。恐らく派閥の関係悪化を裏で握っているのは彼女だ。教育側の人間に仲間意識を植え付け、採用側に対して敵対意識を持たせている。仕事ができる上野さんに取り入って、気に入られようとしているのが見え見えだ。普段関わることはないが、俺はそんな彼女に対して苦手意識を感じている。陰で何を言われているのか分かりやしない。目の前の火に油を注いだようなコンビに加え、おまけに横には暑苦しい半田さん。四面楚歌もいいところだ。
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