草里ってちょっとひどくない?(3)
文字数 1,898文字
その翌日のホームルーム。担任の赤居が入ってくる。
一息だけおいて、
そん……な。
わたしは一瞬、言葉も出ない。あんな酷い有り様にされた四副さんのあのときの光景が浮かび、次にその四副さんがそのまま紙のなかに浮かぶ。
草里!
わたしは隣の席を見据える。
草里は少しむっとして、小声で、
わたしも手は打った。どうしょうもなかったんだ。と伝えてくる。
わたしは一瞬、言葉も出ない。あんな酷い有り様にされた四副さんのあのときの光景が浮かび、次にその四副さんがそのまま紙のなかに浮かぶ。
草里!
わたしは隣の席を見据える。
草里は少しむっとして、小声で、
わたしも手は打った。どうしょうもなかったんだ。と伝えてくる。
一時限目が終わるとわたしは草里に詰め寄る。
わたしはまた、言葉をなくした。そこまでしてわたしたちがしないといけないことだったのだろうか。しかも草里は馴らしとか実験段階のように言っていた。それで四副さんは死んでしまった。
その放課後に、郡さんを見かけた。
わたしはショックでいたが、はっと、謝らなきゃ、ということを思い出す。
わたしはショックでいたが、はっと、謝らなきゃ、ということを思い出す。
と、郡さんは切り出した。
な……っ。どうしようも、ない…………郡さんはそのまま続ける。
一人の画家は、せめて絵として修復することを提案したのだけど、すると一人がすぐさま却下して、いやこの絵はこれでなかなかいい、と。若くてけっこうカッコいい画家で……結局四副の絵はその画家が買い取ってくれることになった
郡さんは慌て驚くわたしに何故? という表情を向け、
この世界での死なんて、そんなもんでしょう? わたしたちはこの学園に預けられときからもう、親からは切り離された存在なんだし、死んだって誰が悲しむでもない。四副は草里が言うにはクラスでもぼっちだったってことだし、さきの画家が買い取ったお金は四副の親に宛てて送金すると草里は言っていた。お金になっただけ、ましな方じゃないかな
草里は画家に絵を譲る代わりに、と話を付け、偶然峠で見つけたことにしてもらったのだと。四副さんは峠で野良ピエロにでもやられたということになっている。学園にも、そう伝わっているだろう。
戦系の子たちはそうやって覚悟を決めているってこと? それともわたしが寝ている間の授業でそういうふうに教えられているの? そう言えば、先生もただ淡々としていた……でもこの一年、今までに誰かが戦いで亡くなったっていうことは、なかったけれど。
えっ。郡さんは話題を変えて、話を続けた。泣いた、って、郡さんのこと?
戦いでの草里の顔をわたしも思い出す。普通だった。学園にいるときと同じに、そうだ、笑ってた。
郡さんはふっと笑って、
諦めと自嘲の入り混じった声で、言った。卒業後、プロとしてやっていくのは容易ではないと草里は言っていた。けどわたしたちには学園で習ったことが全て。学園はわたしたちが卒業するとき、ほぼ強制的にわたしたちをそれぞれに見合った仕事先へと送り出す。それができなければ、山を下りるか、野垂れ死にしかない。
郡さんはわたしの方をじっと見る。
えっ……何。
郡さんが指差す。
わたしの後ろに……
えっ……何。
郡さんが指差す。
わたしの後ろに……
小象。
一体いつの間に?
放課後だけど、辺りに先生がいないかきょろきょろ見回す。何人か残っていた生徒が一体何? と注目してくる。
あはは……とごまかしながら、小象を動かす。一応、素直に動いてはくれるので助かる。助かるけどこんな……
放課後だけど、辺りに先生がいないかきょろきょろ見回す。何人か残っていた生徒が一体何? と注目してくる。
あはは……とごまかしながら、小象を動かす。一応、素直に動いてはくれるので助かる。助かるけどこんな……
あなたは、パレードからは逃れられない運命ね。
そう郡さんの声がしたように思えた。けど……彼女の姿は、もうなかった。
そう郡さんの声がしたように思えた。けど……彼女の姿は、もうなかった。