ど田舎にて
文字数 606文字
ここは、かなりのど田舎。
ある農家の納屋である。
見つけたんだよ！ ついに見つけたんだ！ 苦労したぜ！ 見ろよこれ
何この錆だらけの物体？
知らねえのかよ、トヨタが作った名車トヨタ８００だよ！
まあ、車だってのは判ったけど、どうするのこれ？
乗るんだよ、俺様が！
ちょっと待って、どう見ても走らないわよねこれ。だいたいタイやだってついてないじゃん。
それは後から見つけてつけるに決まってるだろ
そうかー、とか納得すると思うかあ！ これ絶対エンジンとか動かないでしょ
まあ、今のままじゃ動かないに決まってるさ。バッテリーもないしね。だけど、このエンジン少し手を入れればまた動くぜ、シリンダ＾ブロックも大丈夫そうだし、シャフトにも問題なさそうだし
待って、それつまり、これあんたが直すってこと？
その通り！ これを俺がレストアして乗るのさ！
沈黙30秒……ｗ
なんか怒ってる？ 目が怖いんだけど？
あたりまえじゃん、良い物買ったから見せるって言われて、ど田舎まで連れてこられて。それが錆だらけのポンコツって、あたしの気持ちはどうしてくれるのよ！
え？ 杏奈の気持ち？ なにそれ、遠すぎて疲れたんで怒ったわけ？
うるさい、にぶちん！ あんたには永遠に乙女心はわかんないわ！
ああ、早くこいつを直して乗り回して～、く～
嬉しさに震える俺は、この先とんでもない苦労が待ってるなんて夢にも思わなかった。
そう、俺様はあまりにレストアというのを舐めていたのであ～る。
