第6話『魔王、やっちまう。』
文字数 2,701文字
魔王城を出て数分後、魔王達はとある場所に立っていた。そこは天界の総本山とも言える、あの白い建物の前。
光り輝く純白の城を前に、魔王とマリアンナはその全貌を眺めていた。
そう言って魔王は目の前の門に手を触れる。白き宮殿の門はかなりの大きさを誇り、まるで巨人の住処のようであった。
単純な力では、到底開くことは出来ないだろう。
ところ変わって、宮殿内の牢獄。薄暗く、通路の松明は怪しく動き影を揺らす。どこからともなく水滴が滴る音が響く。重く湿った空気が牢獄全体に広がり、不気味な雰囲気を産み出していた。
数多くある檻の中の一部屋。そこの椅子には、ルルリエが目を閉じ静かに座っていた。まるで覚悟を固めているかのように、彼女は微動だにしない。
その地下牢に、足音が近づいてきた。
その瞬間であった。
突如とてつもない爆音が響き渡り、建物全体が激しく揺れる。その直後から兵士達の動乱が聞こえ始め、警報音が鳴り響いた。
そして一人の兵が息を切らし牢獄へと駆け込んできた。
兵はそのまま、慌てるように階段を駆け上がっていった。
残る天使長は顎に手を添え、思案する。
何かを察した天使長は、ニヤリと笑みを浮かべた。
そして、門前の広場。
辺り一面に粉塵が立ち込め、視界を遮る。その中で魔王とマリアンナは、半ば呆然と立ち尽くしていた。
彼らの目の前にある巨大な門……もはや門とは言えないほどに崩れてしまい、拳大の破片が散乱していた。
こっちから声が聞こえるぞ!
兵を集めろ!!
そして兵の大群が、魔王達に襲い掛かるのだった……。